梅津光弘
『ビジネスの倫理学』
丸善出版
2002年6月30日
ここのところ会計倫理に関心を持っているので、経営倫理関連のテキストとして読んでみました。倫理学の本は、途中で挫折してしまうのですが、本書はすごく読みやすくて、すごくよい内容でした。会計の根本には、信頼の醸成があると疑わない私は、道徳的責任をどこかに置いてきてしまっているような企業行動に違和感があるし、儲けることが存在目的であったとしても、法律を守れば何をしてもいいわけでもないし、「信なくば立たず」だと思っています。ただ、そんな私も功利主義的なところもあり、物事の良し悪しは結構ドライに割り切りがちで、倫理的にどうなのか、微妙なところもあります。本書では、アリストテレスの徳倫理に共感しました。行為の習慣づけであるエトスが大事だと思います。倫理は論じるものではなく実践するものであると心がけていきたいです。
『ビジネスの倫理学』
丸善出版
2002年6月30日
ここのところ会計倫理に関心を持っているので、経営倫理関連のテキストとして読んでみました。倫理学の本は、途中で挫折してしまうのですが、本書はすごく読みやすくて、すごくよい内容でした。会計の根本には、信頼の醸成があると疑わない私は、道徳的責任をどこかに置いてきてしまっているような企業行動に違和感があるし、儲けることが存在目的であったとしても、法律を守れば何をしてもいいわけでもないし、「信なくば立たず」だと思っています。ただ、そんな私も功利主義的なところもあり、物事の良し悪しは結構ドライに割り切りがちで、倫理的にどうなのか、微妙なところもあります。本書では、アリストテレスの徳倫理に共感しました。行為の習慣づけであるエトスが大事だと思います。倫理は論じるものではなく実践するものであると心がけていきたいです。
大学近くのブックオフにあったので購入しました。三部作の2作目です。本書は後半がよかったです。第6章 意思決定有用性アプローチの功罪、第8章 無形資産会計論の意義、第9章 会計の終焉と会計学社の責任は、興味関心と一致しているのでテンション上がりました。本書の内容に興味を持ってくれるような学生さん大募集です。こだわりどころを捨てることによって失うものと得るもの、こだわり続けることによって保たれるものと得られないもの、当たり前のことなのですが、感慨深いです。意思決定に有用かどうかを反駁できないようように、論理に無縁な意思決定有用性は、きっと理論的にどうこうということに興味がないのだということがわかります。昨今ののれん然りで、政治的に利用されかねない代物だと、改めて思いました。最近は、数字を使った研究ばかりしているので、規範的というか、記述的というか、理屈をこねくり回したような会計学に、一種の郷愁を覚えます。いいよね。
中途半端なことに三部作の1作目に手を出してしまいました。会計学はカネ勘定のための学問であって、収益の増やし方や費用の減らし方は会計(カネ勘定)の問題ではなく経営(カネ儲け)の問題というのは、世間一般の方にわかってほしいです。私どもは経済活動をどう表現するかを考える世界にいます。とはいうものの、「会計学者がやっていると管理会計論で、経営学者がやっていると経営学」といった曖昧なところもありますし、理論の話で言えば、発生主義会計と言っておきながら、未発生のものも多いし、実現主義なんてもはや現金主義に近いじゃないかとか、貨幣性資産と費用性資産という土台のズレた分類による理論的混乱であるとか、テキストに書いてあり、授業でごもっともな感じで説明している内容でも、少し考えると?なところも多いです。将来の予測や見積りまで拡大している認識について、いったい取引とは何かという視点は面白かったです。ゼミではこんなことをじっくり思量したいですね。
友岡先生の本は16年ぶりのようです。最後に読んだ新書以降、11冊も出されています。学術書になりますが、1冊目の『近代会計制度の成立』は院生の頃に読みました。歴史にふれる〜等も学部の頃に読んだようです。テキスト系も本棚にはあります。読むとおもしろいのですが、長らく触れていませんでした。さて、複式簿記論、資本維持論、利益計算論、会計主体論、、と心躍らせる魅力的な目次で、いつも通り会計学徒以外に本書を楽しく読める読者がいるのかという内容です。私でも難解に感じるので、理解しながら読める人は少ないと思います。でも、おもしろいのでぜひ手に取ってもらいたい1冊です。「行動を変える情報が有用」「複式簿記という制約」「比較可能性」については興味深い考察でした。大御所先生の論稿を引用しながら、チクリと刺していく内容は読みものとしておもしろいですし、巷の説を改めて考える機会として貴重な時間となりました。本書は三部作の完結本とのことですが、前の2冊を読んでいません。
大竹先生の本はいつぶりでしょうか。面白そうだなと思い、ポチりました。前々職から経済学部に所属していることもあって、経済学部で学ぶこととは的なことを話すことが多いこともあり、参考になりました。確かに、経済学というとおカネの話がメインで、どうやったら効率的に稼げるのか、儲かる投資の話が聞けるみたいな感じに捉えられがちです。特に会計学というと、本気で株価が上がる銘柄を教えてくださいと真顔で言われたりするので、困ります。いつも言うのは、本書のとおりで、世の中をよくするにはどうすればよいのかがテーマで、考えることは限りある資源をどう配分するとうまくいくかなのだと。会計については、世の中の経済活動を円滑にするため、争いを避けるために必須なのが会計だということを伝えたいと常々思っています(これが伝わらないんだ)。本書は、行動経済学の紹介的な要素が強めだと思いますが、経済学や研究活動がどういったものなのかを知るためには、コンパクトで読みやすいと思いました。行動経済学は、非常に有用だと感じます。悪用されがちですが
最近よく目にする齋藤ジンさんです。非常に明快で面白かったです。「失われた30年」とは何だったのか、日本の立場を覇権国家の視点から解説されています。ウクライナ、パレスチナ、イランのような昨今の世界情勢は、明らかにこれまでの常識では考えられないステージにあると言って過言ではないと思います。ただ、本書の視点は、今後の情勢は日本にとってプラスに働くというものです。東アジアの最前線として、力が求められていることによるものですが、諸々の抑止力や有事への備えには覚悟が求められる時代だと思います。個人的に、残念でならないのは、新自由主義の敗北というか、市場に任せておけばいい塩梅になるといった、経済主導によってバカげた戦争を起こすようなこともなくなる、という世界観が明らかに弱まっていることです。新自由主義が好きかと言われると、微妙なところですが、為政者の気持ち次第で情勢が動いてしまうような世界線は恐ろしいです。
のれん非償却派の私が通ります。5年近く積読になっていた石川先生の本です。とても楽しく読ませてもらいました。会計好きにはたまらない内容です。併存なりハイブリットな現行会計制度の構造分析や解釈は、20年以上テーマにしているので、合理的で客観的な分析に脱帽です。最近は、規制緩和の名のもとに、合理的な必要性があって設定されている決まり事をなくす動きが後を立ちません(制度疲労を起こしているものは構わないのですが)。一体何のために理論があるのかと憤ることもあります。会計の世界も、理論で説明できない処理が増え続けています。あとがきに、教科書では見えない現代会計とありました。巷のテキストは現行制度第一で、だいたい濁しているので、明確に混在している概念を真正面から整理しようとする意欲的なものはないように思います。授業でも、その辺りは+αで説明していますし、私の中では整理がつかなくなることもしばしば。慧眼とはこういう方のことを言うのだと思います。
新書が続きます。岩尾先生の新刊です。志ある本です。自分だけが良ければいいという価値奪取思考から価値創造思考へというのは、浸透するといいなと思います。奪い合いではなく、創り合い。なぜ、こうも世知辛い世の中になってしまったのでしょう。個人的には、何が善なのかを考えて生きることが大事なのではないかと思っています。「三方よし」で世界は救われるのではないかと結構真剣に考えています。誰から何かを奪うのではなく、価値を生む創造的な仕事は楽しく充実しているものです。本書に「今の時代に本を買って読むということは、精神的余裕とエリートとしての自覚がある方でしょう。」とありました。確かに今時、動画を観ずに本を読む学生は少なそうです。今学生だったら、読めなそう。本書は、「知っているということは、実際にできることだ」を実践することを求めています。普段の学びから知行合一ができているかと言われると自信がないです。
続けて集英社新書です。社会生活の中でなんとなくではあるが常にある違和感や、ホントにこのままでいいのかといった危機感をクリアにしてもらえるので、太田先生の本は好んで読んでいます。ジャニーズ、日大、ビッグモーターに宝塚、そして自民党と、枚挙に遑がない日本の組織不祥事ですが、これらの根底にある組織構造の問題を解明していく内容です。マックス・ウェーバーの支配の三類型は初めて知ったのですが、合法的支配と官僚制型、伝統的支配と伝統墨守型、カリスマ支配と絶対君主型という分類はわかりやすく感じました。あと、いつもの基礎集団と目的集団の話が出てきます。会計系の方の論文も紹介されていました。自ら行動しない、何もしない方が得という消極的利己主義が蔓延している日本社会は、本当に危機的だと思います。組織の一員の場合の私自身がそうであり、運営するときにはその空気に困り果てます。日本人は個人としては優秀なのに組織になるとダメだという話がありますが、空気を読んで動かない姿はそれを物語っています。時代も変わったので、新たな組織の形が必要なのだと思いました。
Xでちらっと見たのをきっかけに購入。8年前にインドに行ったときから、インド熱が冷めません。人々の生きるために生きている感がとても魅力的な国でした。人口が中国を超え世界一、来年あたりに日本のGDPはインドに抜かれるらしい、スナク、ピチャイ、ナデラといったインドにルーツを持った首相やCEOを見ていると、インドの国際的地位は怒涛の勢いで上昇しているという印象を持っていますし、どこで見聞きしたのかモディ首相はリーダーシップがあるらしいといった印象が強いです。そうした特に根拠もない印象論の危険性を訴えているのが本書です。大変興味深く読み進めました。あまり具体的なことには触れませんが、ヒンドゥー至上主義を強力に推し進めているモディ首相の政治手法が、権威主義が民主主義の仮面をかぶっているという表現で解説されています。自国の憲法を蔑ろにして、保障された権利を踏み躙るような行為は厳に慎むべきでしょう。インドがいかにカオスであろうと、そういった民主主義の土台を守れるか、試されている時期と言えそうです。
リアル書籍(電子ではないの意)が続きます。渡邉先生の本です。意思決定有用性批判と小さいからの道徳教育が大事、というお話でした。会計倫理を考えるにあって、個人的には実際の現場で事実とは異なる会計記録をつける場面をどう防ぐかという観点を重視したいと考えています。どんな素晴らしいガバナンス体制をとっていても、最終的には個人の倫理観に依存してしまうと。そして、これをどう育んでいくかというと、教育なんだろうと思います。とは言え、本書にある通り、乳幼児期に受けた家庭での道徳教育が〜となると、正しいけど現実から乖離しているように感じます。では、規制に頼るしかないのかというと、それでは何も変わらないです。難しいタイトルです。終章の表紙にある「事実なるものこそ存在しないのであり、存在するのは解釈だけなのだ」 byニーチェには考えさせられます。社会科学で実証研究が増えるなか、歴史や理論は大事だろうなと思う次第です。要は両方大事なんだが。
岩尾先生の新刊です。本当に一般向けなので、非常に読みやすかったです。平成生まれでいらっしゃいますが、大御所の大先生が定年後に徒然なるままに書いたエッセイを書籍にしたような雰囲気が漂っています。本書で伝えられている内容は、最後の一文の通りです。「人間とは、価値創造によって共同体全体の幸せを実現する、「経営人」なのである。」世の中の役に立ってなんぼ、というのを忘れて、おかしなことをするから、おかしなことになる。「歴史は登場人物の名前以外は似たような出来事の繰り返し」なんですよね。いつも本来の目的に立ち返って、社会生活を営んでいきたいものです。「部分に気を取られて全体を見失う、短期利益を重視して長期利益を逸する、手段にとらわれて目的を忘れる」私たちの生活場面のいたるところに経営はあります。何かうまくいかないことがあれば、それはうまく経営できていないのだと思います。ぜひ読んでみてください。
圧倒的積読のなかの1冊。『企業会計』の「ひょっとすると役に立つかもしれない会計のはなし」を書籍化したものです。印象論で語られていることを丁寧に根拠を示して否定する、皮肉たっぷりの福井節がとてもおもしろいのですが、いかんせん読み進めるのに集中力がいるので進まない。文章はコンパクトなのですが。誤魔化さずに真実を見つめるために、研究って大事だなって思わされます。個人的には、悪い動機より無知の重要性のところなんかが知的好奇心を揺さぶられました。世間ではモラルがひどく騒がれていますが、角度というか観点が間違っているように思います。何にせよ目的に沿った適切なインセンティブが、自分の描くよりよい世界に繋がると今は考えているし、内的動機が世界を変えていく原動力だと思っています。根源的無知を認識することは大事。最後の実測予測F/Sもよかったです。会計は自由だ!
『日本”式”経営の逆襲』を読んでいなかったので、読みました。新書で読みやすかったです。タイトルは、すでに持っている経営技術(強み)を捨てて、弱みを取り入れる笑えない現状を表現されています。個人的には最後の方のイノベーション自体のマネジメントのシミュレーションがおもしろかったです。こういうのやってみたいと思いました。「予言の自己成就」「信念の自己強化」に嵌ると加速度的に価値創出が高まるのは何となくわかります。日本が文脈に深く依存しているのは、良くも悪くも感があります。なんかよくわからないけど、たぶんそういう空気っていう感じで物事が進んでいる。これを抽象化・論理モデル化していくのが私の職業なのでしょう。あと、支配された空気に弱い。そこに事の真偽は関係ないという。。いい意味で、信念が実質をもたらし、その実質がまた信念を強化するという好循環を作りたいです。
コーポレート・ガバナンスというと、企業統治に関する規制のイメージがあったのですが、企業経営の非効率を排除して、企業価値を高めるメカニズムということでしっかり学習できたように思います。アメリカ、日本、東アジアのガバナンスの特徴について、データや研究成果をもとに説明されている本ですが、本書で筆者が発信したかったのは、90年代以降の日本における不良債権問題は、ガバナンスが効いていなかったメインバンクシステムによって長期化したという研究結果だと思いました。株主との共謀、実態の隠蔽といった銀行の状態をエントレンチメントと表現されていました。組織には、効果的な外部からの規律付けが必要なことがわかります。ガバナンスの問題に限らず、世の中は確実によくなっているのですが、なかなか皆が幸せに暮らせる仕組みとしてうまく設計ができないものです。むずかしい
久々に自己啓発っぽい本です。著者の言っている通り、精神論ではなく「やり方(ハウツー)」を提供している本だと思いました。なりふり構わず頑張れを、きちんと体系化してやることを具体化したものと言えます。そういう具体的な部分は、失敗していいから自分のやりたいようにやりたい気持ちが強い私にとっては刺さりませんでしたが、それ大事!だと思ったのは「自分の設定した夢や目標を変えるのに躊躇がない」「アイデアを温めてはいけない」「学習初期に無駄なルートを大量に試すのが成功に近い」といったところでした。いろいろ書きたいことは山ほどあるのですが、書き始めると止まらなそうなのでやめておきます。誰もわからない将来に対してキャリアプランを立てるより、キャラを作って、その場その場で演じていくのがよいと思います。あと、人生はエイヤっていうのが大事。
年末に日記を書いたときに読書量の激減に触れて、せめて飛行機で1冊。と思いスマホに入っていた本書をチョイス。全くの別物としているものの、著者の実体験がベースというのはスゴいです。中学生の頃の私は走ってしかいませんでした。放課後株式会社を設立して、プロモ動画を制作しているくだりで頭によぎったのが“株式会社ガンダム”。「飛べる踊れるエアリアル〜」水星の魔女関係者で本書を読まれた方もいないこともないでしょう。物語(縦書き)もいいのですが、教科書(横書き)部分が経営についてコンパクトにまとまっていてとてもよいです。ただ、解像度が低くて、読みづらかったです(webブラウザ上のebookjapan)。あと、中学生にはやや難しいかな。でも、一人でもビジネスや経営をしたいと思う人が出れば、いいなぁと思いました。
最近、中野先生の記事や論文を読んでいたので手に取りました。「最先端の研究を一般読者にもわかりやすく」ということですが、会計・ファイナンス・経済の初心者にはさすがに難しいかな、とは思います。結構な数のドッグイヤーになっているので、何を紹介するか迷うところですが、実証研究のいろはや、(くだけた感じの)研究者界隈の話は、この本ならではでおもしろかったです。一般の人からすると、当たり前の話を、難しそうな検証を通して、難しく説明しているように思われかねないですが、私は新しい領域の開拓というのは読んでいてテンションが上がりました。ガチガチの学術書は眠くなるし根気がいるのですが、こういう読みやすい専門書は貴重です。そういう意味では『企業会計』の連載記事はいいですね。Python、ニュートン、数学、5月号からは本書のテーマでの連載も始まりました。いつの間にか、データ解析なしには会計は語れない時代になってしまいました。理屈をこねくり回していた頃が懐かしい。
6,7年前くらいから実証系に移行していかないと、、と思いながら計量を勉強しないとなぁと本を買ったりしてきましたが、手付かずのまま。そうこうしているうちに行動経済学がおもしろそうだと『経済セミナー』なんかをチラ見しているうちに、いつの間にかサラッと読むように手元に置いていた本です。目次よりも索引を見た方が、扱っている内容がわかりやすいです。ざっと読んだ感じでは、プロスペクト理論の価値関数(左右非対称な傾きのS字型の曲線)がキーだと感じました。状況によって差がわかりにくくなる心理、見せ方・言い方で印象が変わることを使用して詐欺師まがいのことをする人たちの手法に通ずるところがありますね。役立つのは、モチベーション管理かな。ナッジに関連づけて、研究テーマ考えるとおもしろくなりそうなんですが、本格的に勉強しないと先に進めませんね。
『会計の世界史』読み終えました。↓の本は簿記・会計、ファイナンスの繋がりを理解する良本でしたが、本書は簿記、財務会計、管理会計、ファイナンスの違いを歴史から学ぶのにもってこいです。どうしても大学等の授業では、別々に学ぶので別物に感じてしまうのですが、同じ対象物を違う観点から捉えているに過ぎません。この間に感じたのは、教科書的な内容+αで、歴史から学ぶと無味乾燥な公式にも少し人間味が出てくるのかな、ということです。ビジネスを学ぶ際に必ず出てくる人や会社も会計の歴史にはもれなく登場してきます。会計=経済の歴史でもあるので。話は変わりますが、改めて歴史から学ぶっていうのは、重要だなぁと感じました(失敗や過ちを繰り返さないために)。JGAAP、USGAAP、IFRSをのび太基準、ジャイアン基準、スネ夫基準と呼んでいるのはおもしろかったです。
次は『会計の世界史』をと言いながら、本書です。会計初心者用の本です。いい本に出会えたと思います。自分では言語化できなかった(表現できなかった)、ストンと理解できる説明が体現されていて、爽快な気持ちで読めました。単なる財務3表の繋がりだけでなく、社会とのつながりを意識しているのがとてもよかったです。のれんをゴール(キーワード)にして説明するパート2部分は秀逸です。最後のパート3も次に繋がる(繋げる)内容で惹きつけるものがありました。簿記・会計やファイナンスの授業では、繋がりを理解してもらうことを意識しつつも、なかなかコンパクトにうまく説明できなかったのですが、本書の図解を利用しながら、解説をアップデートしていこうと思います。
更新が滞っています。いつ購入したのかは覚えていないのですが、『
『世界のエリートは〜』から嵌ってます。本書は、VUCA化が進む今日、オールドタイプ(「上司からの命令で動くエリート」「大企業の専門家」)がニュータイプ(「内発的動機に駆動されるアマチュア」「アマチュアのアントレプレナー」)に取って代わるよ、という内容です。「一所懸命」という価値観の危うさや、実績や従順さに応じてポジションを与えるということが危険だというのは、とても理解できるところです。カオスな世の中は何がどこでどう転ぶか、わかりません。好奇心、粘り強さ、柔軟性、楽観性、リスクテイクを大事にしていきたいものです。振り返ると人生の重大選択において、直感に従って常識から逸脱してきたことで、自分に合った生き方が今もできていると思っています。何より大事なのは、意味であり、モチベーションです。あと、未来はわからないし、正解に価値はないということ。
無理という単語に反応してDL。世の人の誤った認識を、当然のような法則をもとに客観的に説明している本なのかなぁと思いました。キーワードは、非対称性。あと不可逆性でしょうか。「部分を全体だと思ってしまうこと」(に気づかないこと)は本当に厄介というのは、筆者の気持ちがかなり出ていたように感じました。あと、「扉は内側から、閉じこもっている人からのみ開けることが可能で、外側からはどんなに努力してもこじ開けることはできない」という天岩戸の法則は、納得の説明でした。見えている・見えていないの溝は深いです。
直感を大事にしているので、そこから紐解ける何かがあればとDL。前の本で、非効率と無駄に満ちた偏愛こそが価値なのではといった考えと繋がっているのですが、本書では「妄想」を駆動力にできる人・組織は強いというコンセプトです。「成果を管理するための目標」ではなく、「人のモチベーションや創造性を引き出すための目標」が大事という、結局モチベーションかい、といったところでした。さて、本書の面白いところは、思考法について、「カイゼンの農地」「戦略の荒野」「デザインの平原」「人生芸術の山脈」といった表現で世界の全体像を捉えて、我々の内面を中心に思考過程を展開しているところです。方法論については、個人的には刺さる部分は少なかったです。「個人の内面から湧き出る得体の知れない妄想・直感」からスタートすることが必要とのことでした。私は自律分散型組織が好きです。
モチベーション大事ですよね。本書は、若者のモチベーション論です。無理とわかりつつも、定義上、自分もぎりぎりミレニアル世代と言っていいんじゃないかと思っています。ただ、団塊の世代の感覚は持ち合わせていないということは言い切れます。モチベーションを達成や快楽に求める旧世代に対し、本書で乾けない世代と表現されている若者は、意味合いや良好な人間関係、没頭に求めているという話です。ちょっと違和感のある部分もありますが「“労力の割に周りが認めてくれること”が、きっとあなたに向いていること」というのは、そうだと思います。人工知能には、理解することはできないであろう非効率と無駄に満ちた偏愛こそが、これからの価値なのかもしれません。また、やりたいことがない人にとっては、これからの時代は生き辛いと述べられています。生きやすいんだか、生きづらいんだか。
紙の本は、超久しぶり。偶然にも同じ中原先生の本です。働き方については、常に悩んでいるわけで手に取った次第。超長時間残業する人は、長時間残業をする人より、若干幸福度が高いという研究結果は、かなり病んでるなぁと思いました。「仕事」「時間」の2つの無限を持っている日本の職場から、青天井の残業が発生してしまうというのは、その通りでしょう。ポイントは、無限に仕事をしてしまうことは、その人の意志や勤勉さからではなく、単なる「慣習」であるということです。残業削減施策でマズいのは、残業のブラックボックス化、組織コンディションの悪化、施策の形骸化ということで、組織への信頼低下、改革ゾンビになるというのは、耐性がついてしまうことも含め、よくよく気をつけなければならないですね。
プラチナウィーク唯一の1冊。とても面白い1冊でした。『世界のエリートはなぜ「美意識」〜』を読んでから、ファンになりつつあります。副題にあるように50のキーコンセプト、そして最後に本が紹介されています。哲学・思想、アートは、苦手な部類なので、コンパクトにまとめてもらえるととても助かります。自分なりにそうだなって思ったのは、「説得より納得、納得よりは共感」、「ロゴス、エトス、パトス」が必要、「自由の刑に処されている」、「悪とは、システムを無批判に受け入れることである」、「反論の自由」の大切さ、「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」といったところでした。最近、創造力が落ちているのでいっぱい本を読みたいですね。
紙の本は超久々な感。新幹線の移動にて。中原先生の本は、前々から読みたいものが多いのですが、さらっと読めそうな新書をば。マネジメントの定義やフィードバックとは何ぞやといったところから、どのようにフィードバックを実施するとよいかを整理されています。日頃考えていることが整理されているので、示唆に富んでいて有用でした。研究にも言えることですが、トライアンギュレーションは大事ですね。果てさて、つくづくマネジメントには向いていないと実感する日々ですが、人材育成ほど大事なものはないわけで、日々精進です。フィードバックは「場数」とのことです。
時間が足りない生活に突入して久しいので、再考する材料として読んでみました。大量のブックマークが残るほどに、示唆に富んだ内容でした。要は、本質を見失わないこと、シンプル イズ ベストということだと思います。余裕を持って事に当たることも大事。あと、そうだよねと思った部分としては、「古典は読む者の視野を広げ、時の試練に耐えた本質的な思想に立戻らせてくれる。」「失敗を認めるということは、自分が以前よりも賢くなったことを意味する。」「ほとんどあらゆるものは、徹底的に無価値である。」がありました。
数年前に流行った本ですよね。Kindleに落として、ずーっと放置していました。最近は、統計も触るようになったので、出張の移動時間に読んでみました。データマイニング、機械学習、人工知能、自然言語処理、ビジネスインテリジェンス、競合分析、統計解析といった統計学を使用した分野は、今かなりアツいです。身につけておいた方がよい知識であることは確かです。難解なものではなく、端的に言ってしまえば、「十分なデータ」をもとに「適切な比較」をするだけで、経験と勘を超える真実を掴むことができる手法です。本書では、前半の方にその有用性、後半は実際の分析の基礎について説明されています。少し統計を囓ってから読むと読みやすいと思います。なお、一番驚いたのは、著者が自分より若い方だったこと。
かなり面白かったです。確かなデータと確かな分析、これに勝るものはありません。ビックデータの時代とはよく言われますが、世の中の膨大な情報を的確に処理して、課題に取り組むことは必要なスキルだと思います。前例踏襲であるとか、勘で物事にあたるのは、あまり望ましいことではないでしょう。大学にも宣伝のうまい大学があります。まさに情報参謀による情勢分析や話題の作り方が、データに基づいた緻密な戦略に基づいている背景があるのでしょう。これから圧倒的な情報処理で、AIをはじめ、世の中のあり方が変化していくことになります。変える方の立場で、変化を楽しみたいものです。
瀧本氏の本は4年ぶり。twitter(
2年半ぶりの田中先生の本です。例によって、『税経通信』の連載を書籍化したものです。そして、言わずと知れたIFRS&時価会計批判が綴られています。これまで出版されたすべてに目を通していますが、やはり読みやすくて面白い、田中先生の本はこれに尽きます。今回は、あわせて研究会で田中先生ご本人から、本書の話を聞けたのでさらによかったです。IFRSの出自から、その背景にある国際政治経済社会の動向、従来の会計観とは全く異なる論理を理解するには良書だと思います。ただ、批判精神旺盛なので、自分なりに客観性を持って読むことも大事です。制度会計に対して、疑問をお持ちの際は、是非手に取ることをお勧めします。
雑誌『會計』の書評に目が止まり、副題も気になって購入してみました。読みやすく分量も少なかったので、すぐに読了。大変おもしろかったです。著者は、「存在していないモノをあたかもそこにあるかのように見せかける」機能をもって会計をお化けと呼んでいます。そして、現代において「会計は、マネーによるマネーそれ自体の獲得・運用に資する当該情報の産出手段の一つとして重要な役割を演じている」と批判的に論じられています。それは、「現代の資本主義経済が、本来一体となって動くべきモノとマネーとが分離して、マネーが実体的裏付けのない、国家による「信認」だけが頼りの段階に立ち至った」そして「そうしたいわばニセ物が本物であるかのような顔をして跋扈している時代」ということであり、「精神のない専門人、心情のない享楽人(『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』より)のすること」と喝破しています。50年以上にわたり会計研究に携われてきた方の言葉は非常に明快です。
著者に敬意を表したい素晴らしい本でした。3月に読んだ『バランスシートで読みとく世界経済史』に続いて、会計に関する良書が続きますね。本書は、会計責任を果たすことの難しさを700年の財務会計の歴史を紐解きながら明らかにしていきます。一国の浮沈のカギを握るのは政治の責任と誠実な会計である、繁栄する社会では、よい会計慣行や商業文化が根付いていただけでなく、それを支える健全な倫理観や文化の枠組みが存在し、会計を無視したり操作したり怠ったりしがちな人間の性癖をうまく抑えていたということが非常に単純明快に語られています。度重なる金融危機に脅かされる現代は、会計の責任の歴史を振り返るのにふさわしい時期ではないかという著者の問いにも頷けます。会計は職業倫理の基本要素の一つです。「共和国に必要なのは、教育水準が高く、己を律することができ、高い職業倫理を備えた証人である、そうした証人は事業経営においても政府においても役に立つ」というパチョーリの持論に同意するとともに、会計の有用性は、責任を問う手段としての脅威であることも然りです。会計は「すばらしく輝かしく、途方もなく大変で、圧倒的な力を持ち、しかし実行不能」というのも真であり、「金融システムが不透明なのは、けっして偶然ではなく、そもそもそうなるようにできているのではないか」というのも間違いではないでしょう。
book diary初の研究費による購入本(大学の管理バーコードが付いています)です。紀元前7000年から現代における、簿記・会計の歴史、そしてそれを取り巻く文化・経済を非常にわかりやすく、そして何より面白く書かれた本です。会計の専門家ではない著者と訳者だからこその作品ではないかと思います。複式簿記の素晴らしさやその限界を知るには、大変よくできていると思います。印象に残った箇所は多過ぎて紹介はできませんが、本書の主張はGDPという指標や現在の決算報告書の欠陥(限界)です。現在の物質的な価値に偏った資本主義経済は、新しい会計で進化する必要があると思います。経済に関わる全ての方にお勧めします。
『東大合格生のノートはかならず美しい』の続編に位置付けられる本です。ノートって、なんでこんなに面白いのかと思わされますね。主として勉強するときにノートテイキングをするわけですが、美しい(ただきれいに書くというのではない)ノートを作るというのは、その背景には“学び”があるのだと思いますし、“勉強を楽しむ”という要素が大きいように感じました。私も昔からノートにまとめるのは好きです。勉強するって、やっぱ楽しいんですよ、きっと。気分の浮き沈みや継続性というのが、ノートを取り続ける上での難しさなのですが、そういう意味で東大生のノートは、やはりスゴイですね。自身の大学受験時代のノートや大学時代の講義ノートも手許にありますが、機械的な部分が多くて、これじゃダメだと思ったりします。今でも講義ノート、研究ノート、日々のメモ帳とノートは必須アイテムで、日々書き込んでいますが、本書でいうテンションの乱れ全開だと思います。あと、研究ノートがある日を境に、プツンと切れたように白紙になっているのが…。
めっきり読書量が減ってしまっている今日この頃。ようやくの更新です。本書は、いろんな分野で活躍されている26名の方の自分なりの学び方が紹介されています。本当に多岐にわたる面々で、思うところもいろいろありました。私なりに共感した部分としては、“自分の役割を最大限に引き受けてつとめること”、“「ぶれない」より「ぶれる」人間でありたい”、“失敗するとわかっていても、本当に失敗するまで納得できない”、“コンプレックスは「克服」ではなく「共存」する”、“「真似び」からの「学び」”、“ゆったりとした自然な流れの中で起きる「?」と「!」の双発による学び”といった、学校で授業で学ぶものとはかなり距離感のあるものでした。教えるというより、相手が自ら変わっていくような場を与えること、相手に「面白い」と思ってもらうかが大切であろうと思います。“新宿アルタ前で授業をする覚悟”というフレーズがあったのですが、毎回この気持ちを忘れずに教壇に立ちたいものです。
夏にABC本店によったときに購入した本です。そんなに疲れ果てているわけではありません。副題にあるアドラー心理学についての本で、要はものごとは捉え方次第だという話です。「人間の行動には、【原因】があるのではなく、未来の【目的】がある」という考え方は、その通りで結局は皆、自分で思っているようにしか行動していないものです。あと、主観というのは本当にコワイもので、人間関係が拗れる場合、大抵は事実に対して歪んだ捉え方をすることが多いものです。なんだかうまくいかないときには、まわりとズレていることが多く、極端な場合なんかはまわりと合せていったほうがよいとするアドラー心理学には共感しました。何はともあれ、楽観的で建設的な心の持ちようで、すべてはうまくいくと思います。
SBSでふと目に留まった本です。特にやりたいことを見つけたいとか思っているわけではありません。帯に「慶應大学SFCビッグママの人生が変わる授業」とあったので、どんな授業なのか興味が湧いて読んでみました。私には到底できない芸当ですが、語られていることは本質をついていると思いました。特に「社会貢献」や「ボランティア」という言葉の危うさについて、ボランティアの押し売りや美化し過ぎて本質を失っている様子を指摘されているのは、実践されているだけあって説得力があります。「交流筋」を鍛える、という部分があるのですが、コミュニケーションをとり慣れている人から始めるのは、定石ですね。相手との距離感がとれずに負荷をかけてくる方や反応しない方だと、鍛えられるどころか萎えてしまいます。私のようなコミュニケーション下手には、あと数が必要でしょう。生活のリズムの大切さは、事を成す人の共通項だと思います。規則正しい生活こそ、力を発揮する基礎です。
去年『日々の100』を読んでから、たまに読むようになった松浦さんの本です。SBSで見かけて購入しました。こないだ読んだ『100の基本』で十分だったな、というのが率直な感想です。よくある自己啓発系ハウツー本とあまりかわらない印象です。「「なりたい自分」を想像し、きちんと計画してコツコツやっていくより、今、目の前にあることをしっかりと務めて、流れに身を任せたほうがうまくいくと僕は思っています。」というのは、私もそう思っています。その人の経験なのでしょうが。あと、はっきり注意するのは大事だと言われるけど、性格に起因しているものであれば難しいというのも同感です。人間どれだけ失敗して、どれだけ気付きを得るかですね。
読もう読もうと思って約1年眠っていた本です。会計学を本格的に学ぼうとする方には、打って付けの本ではないでしょうか。洋書も含め、古典から現代に至るまで主要文献が紹介されています。多くが前書きの紹介になっていますが、おおよその内容を把握するには十分だと思います。私の研究室にある本も多く、その多くが院生時代のものなので懐かしく感じました。手元の専門書は、多くが積読になってしまっているので、なんとか時間を作って、こなしていきたいものです。手元にないものは早速amazonで注文してしまいました(すごい広告効果)。あと、誤字脱字が多かったです。以下、今後の研究に向けて。会計基準の設定については、Concept(理論)+利害関係者間のCompromise(妥協)とConsensus(合意)+会社や社会一般に対するConsequence(影響・結果)の4C説を考慮して考えていく必要があります。また、会計基準は、時空を超えた普遍性があるわけではなく、体系的な秩序とその変化の経路を分析し、将来の方向を展望することが研究の課題という斎藤先生の言もまた然りで、その難しさを感じました。
最近、自分が思っていることが文章化された書籍ばかり手に取っています。思考が偏りそうです。さて、本書は、「宇宙人ジョーンズ」や「エネゴリくん」を作成されたCMプランナーの方が著者で、“電信柱の陰から見てるタイプの企画術”というコンセプトで書かれています。生来、リーダーシップ、積極性といったものが苦手なので、共感しまくりな内容でした。物事はSimple is bestで、説明はプロセスをすべて順番通りに話すことでうまく伝わるし、ひと言でいえるような企画は高い確率でいいものです。表現したいかことがある!というクリエイタータイプと受注体質のノンクリエイタータイプという表現が出てくるのですが、私も後者であると思います(経験則)。また、ひとりの人が整合性をもって考えたものよりも、他の人の違う意見を無理矢理取り込んでみるのも、ふくらみや広がりが出てくるというのも同感です。「人は、自分にできることしか、できない」というのは的確な表現だと思います。あと、一番働いているのは白紙の時間ということです。スケジュールの中の空白ほど重要なものはなく、そこで考えたり、作ったりしているわけで、決して空いているわけではないというのは、なぜか世の中では通じない…。なかなか面白かったです。根暗な人にオススメ。
私は小林賢太郎作品のファンです。舞台は可能な限り観に行っています。さて、ここのところ説教くさい本が続いているのですが、この本もそういった感があるのは否めないところです。ここに書かれてあることは、コントや演劇に関わらず、すべての職業に通じる話だと思います。賢太郎氏の考えていることは、基本的に私のスタンスと一致していると感じました。「うちはうち、よそはよそ」であるとか「「ウケる」と「売れる」と「有名になる」を分けて考える」というのは、絶対そうだと思うし、基本を忘れずにズレた行動を律しながら、自分の道を楽しみながら極めていきたいなぁと思う次第です。こういう話は(とくに芸事に関しては)、『風姿花伝』のような古典にしっかり書かれてあることでしょう。
松浦さんの日々の100の基本と“COW BOOKS”という本屋での100の基本(チェック項目)が短文解説付きで紹介されている本です。仕事場でのチェック項目は、かなり説教臭く感じると思います。まあ、大人になると誰も指摘してくれないので、よかったのではないかと。「100冊の本を読むよりも、よい本を100回読む。」わかってはいても、本については多読の方針をとってしまうのですが、100人と付き合うより、好きな人に100回会った方が相手と自分の本質がわかってくるというのは、なるほどです。古典をしっかり読めば、道徳については言うことないと常日頃から思います。ただ、「本は読むもの、飾るものではない。読んだら処分」蔵書という感覚はないというのは、相容れません(笑)「面倒くさいを楽しむ」“面倒くさい”という言葉は、本当にネガティブに働きます。日頃から気をつけるに越したことはないです。「健康管理が一番の仕事」病気で休むのが、健康管理という仕事を疎かにしたことの結末と捉えるのはその通りです。仕事を通して社会のために何ができるか、これなしに仕事はできませんよね。
タイトルを見たとき個人的にはセンスをアイディアに変換しました。水野さんの作品はとても好きで、著書もかれこれ6年くらい前ですが『グッドデザインカンパニーの仕事』を読んだことがあります。「センスのよさ」を数値化できない事象のよし悪しを判断し、最適化する能力と定義されています。社内説得の道具となりがちな市場調査の功罪についても触れられていました。人の感覚はとても敏感なもので、理由はわからないけど、高い精度で丁寧につくられたものであることは鋭く感じ取れるものです(言葉を巧みに使って騙すものは除きますよ)。相手を小手先で欺いても通用しない(続かない)のは自明で、相手を欺かないための精度が必要というのは共感せざるを得ないです。
前期に会計学特別演習で使用していた『経営財務』の記事が書籍になっていたので改めて読みました。『経営財務』にはなかったシャム・サンダー先生と井尻先生との対談は、最高に面白かったです。会計アカデミズムがどう貢献できるかということについて、相対化を軸に話は進んでいきます。対談では、better accounting、better market、better societyと、何が「より良い」のか、どう繋がっているのかという、難しいですが重要な話が多く出てきます。会計基準について、初期のいくつかのパラグラフのものから、今日数千ページの細則ができて改善したのかという問いは鋭いです。教育についても面白いことが書いてありました。容易な「なに」から「なぜ」へ。そして「なぜそうでないのか」という問い。最後の問いは、すごく重要ですね。本文中にもありますが、大抵2度、3度のなぜで自分の知識の限界に行き詰まってしまいます。日本の研究スタイルを華道や茶道や能に例えられているのは、なるほどでした。
久々に本を手に取りました。学会シーズンに入って、移動が多いので売店でふと購入。社会生活を送る以上、必ず他人との関わりは避けられません。攻撃欲・支配欲の強い人は確かにいます。好感を与える仮面の下に破壊衝動を隠して、そっと忍び寄ってくる、うわべは優しくて善良そうなのに相手の弱点を繰り返し指摘して傷つけるような人です。自信がなく、自責の念が強い人は、操られてしまいがちです。SATCの言葉らしいのですが、フレネミー(フレンド+エネミー)というのは言い得て妙ですね。本書のスタンスは、そういう人は、基本的に変わらないので自分が変わるしかない(対策をする)というものです。読んでいて思ったのは、要はヤクザですよね。真の意図は隠しながら、心理的負担を与えながら相手を追い込んでいく。気を付けたいものです。こういうのを読んでいると世の中世知辛いなぁと思ってしまいます。
昨日に引き続き、¥99の電子書籍です。経法大→瓢箪山の15分で読めます。簿記や原価計算の授業をしていて、学生が躓きやすいのが割引現在価値です(おそらく経済学でも同じでしょう)。ゆっくり考えればわかるはずなのですが、慣れないとどうしても頭がこんがらがる代物です。どんな解説なのか興味があったので読んでみました。読んでいて特になるほど!という内容はないのですが、簡潔に説明されているので、根気がなくても読みこなせるというのがいいところでしょうか。敢えて挙げるとすれば、棒グラフは視覚的にわかりやすいし、“年金”の意味(あの年金ではないこと)は、意外と教科書には書いてないかもしれません。思いつきですが、数学が苦手な人のために、数式の解説も含めた説明がある本があるとわかりやすいかもしれませんね。