太田肇
『何もしないほうが得な日本 社会に広がる「消極的利己主義」の構造』
PHP研究所
2022年11月4日
移動ばかりしてるくせに読んでない、、スマホ内で積読状態の太田先生の本を読み進めようと思い手に取りました。本書に書いてある日本人の特徴を絵に描いたような自分。私の場合、とにかく「目立ちたくない」というのがあります。あと、よくあるパターンは、空気を支配する力が強い人がいるやつ。こんなこと思う人はいないよね、という前提から入られると、もう何も言えません。あとは、目立たず、淡々とやり過ごすだけ。どんどん状況が悪化しているのを理解しつつ。本書では、全体の利益と個の利益が調和することを暗黙の前提にしていると説明されていました。そして、世の中の改革と呼ばれる類のものの本末転倒感もすごく気になっています。この空気感でみんなが合理的な選択をするので、本来の目的から外れたところに行き着くやつ。入試対策としての「主体的」活動という、主体的活動の対極にあるような活動や、本気でやろうとしている人はごく一部で圧倒的多数の「総論賛成、各論反対」派に足を引っ張られ、骨抜きに終わるパターンが多過ぎます。世界最低水準のワークエンゲージメントと帰属意識が物語ってるし、「何もしないほうが得」という意識は本当に根深いものがあります。本当に、みんな見せかけ過ぎて何を考えているのか、わからないし、大きな欠点がない平凡なものが評価されがちです。「新人のころは輝いていた目が、1年も経つと曇っていく」し、「能ある鷹は爪を隠す」という処世術を身につけるのは仕方がないことです。それが合理的なのですから。とは言え、「するほうが得」な社会にするためには、意識が変わるちょっとした仕掛けでよいはずなので、そんな前向きな社会になる日がくることを祈念して、今回は終了です。
『何もしないほうが得な日本 社会に広がる「消極的利己主義」の構造』
PHP研究所
2022年11月4日
移動ばかりしてるくせに読んでない、、スマホ内で積読状態の太田先生の本を読み進めようと思い手に取りました。本書に書いてある日本人の特徴を絵に描いたような自分。私の場合、とにかく「目立ちたくない」というのがあります。あと、よくあるパターンは、空気を支配する力が強い人がいるやつ。こんなこと思う人はいないよね、という前提から入られると、もう何も言えません。あとは、目立たず、淡々とやり過ごすだけ。どんどん状況が悪化しているのを理解しつつ。本書では、全体の利益と個の利益が調和することを暗黙の前提にしていると説明されていました。そして、世の中の改革と呼ばれる類のものの本末転倒感もすごく気になっています。この空気感でみんなが合理的な選択をするので、本来の目的から外れたところに行き着くやつ。入試対策としての「主体的」活動という、主体的活動の対極にあるような活動や、本気でやろうとしている人はごく一部で圧倒的多数の「総論賛成、各論反対」派に足を引っ張られ、骨抜きに終わるパターンが多過ぎます。世界最低水準のワークエンゲージメントと帰属意識が物語ってるし、「何もしないほうが得」という意識は本当に根深いものがあります。本当に、みんな見せかけ過ぎて何を考えているのか、わからないし、大きな欠点がない平凡なものが評価されがちです。「新人のころは輝いていた目が、1年も経つと曇っていく」し、「能ある鷹は爪を隠す」という処世術を身につけるのは仕方がないことです。それが合理的なのですから。とは言え、「するほうが得」な社会にするためには、意識が変わるちょっとした仕掛けでよいはずなので、そんな前向きな社会になる日がくることを祈念して、今回は終了です。
ここのところ、ちょっとした移動が多かったので読めました。『人新世の「資本論」』の批判本です。『人新世〜』が競争と成長の社会に人類の幸福があるのかという批判とすれば、本書は『一九八四年』のような社会に人類の幸福はあるのかと批判している感じでした。ノスタルジーに浸るのはよいのだけど、明らかに世界は進歩していることを忘れてはならないと思わされました。圧倒的に豊かになり便利になっている暮らしを以前の水準に戻すのは嫌ですね。目的を共有することもなく、お互いに知り合うことさえなく全人類の協力を実現できる方法としての資本主義は、やはりすごいシステムだと感心しました。資本主義を支えている会計システム(複式簿記)も然り。全体主義が苦手な私は、基本的人権が保障された自由な社会で過ごしたいです。多様性こそ社会成長の源泉だと思います。一方的な力による現状変更が許されない社会になりますように。
同調圧力の正体とされる「閉鎖性」「同質性」「個人の未分化」は、まさに田舎だな、日本社会だな、いじめの構造に似ているな、と思いました。建前と本音のダブルスタンダードの中で、外面と内面を使い分け、空気を読んで和を乱さないよう周囲に同調する。私自身もそうやって社会生活を過ごしていますし、もっとしっかり自己主張をと言われても、そう簡単なものではありません。ここは日本なのです。コロナ禍で日本社会の特異性が炙り出されたように思います。同質性を崩すためには「異端者」を入れることが有効であり、異端者の力が同調圧力を跳ね返すための「閾値」を超えると空気が一変すると述べられていました。若者を中心に多様性への理解は進んでいるので、多くの集団で同調圧力(違和感)を吹き飛ばせるだけの異端者が増えるといいなぁと思います。ただ、その新しい風でさえ、新たな同調圧力となるのが日本だったりするんですよね。
「グローバル時代に守るべき価値観とは何か」という副題の本を、英国がEU離脱の国民投票を決めた昨日に読み終えました。読み応えがあって、なかなか面白かったです。前半は、固定的人間関係におけるシステムと流動的人間関係におけるシステムとの比較で、考え方や必要となるもの、振る舞い等が全く異なるという話で、後半からは、リベラル派とコミュニタリアンの矛盾を題材にした話を皮切りに「自由」について考える内容(特にマルクスを引き合いに出されています)になっています。自分自身の思想・信念の再確認という意味で、大変意味のある読書でした。ブックマークも多く、書きたいことは多くあるのですが多過ぎるので省略するとして、この時代に生きる我々にとって示唆に富む内容だと思います。話は少し変わりますが、不寛容社会と言われている昨今、多数派の思想や感情による抑圧がいかに恐ろしいかというのは、時代に学ぶべきでしょうね。
同じ流れでiBooksからの1冊。世の中、実しやかに囁かれていることが全く真実とかけ離れているということが多過ぎます。本書に「根も葉もないことはふつう誰も信じない」の前提の方が間違っていて、根も葉もなくとも信じたいことがよくあるというのは言い得て妙です。論理的な説明よりも、感情に訴える物語のほうが人々を操作しやすいのは、まさにその通り。科学は反証可能性がないと成り立たないのは言うまでもないのですが、なぜ疑似科学がここまで世の中に影響を与えているのでしょう。論理的思考が鍛えられていると、疑似科学の類に騙されずに済むかもしれないのですが、なかなか人間というのはそこが苦手なようです。本書では、疑似科学の例を交えて、科学とは何か、疑似科学を信じてしまうのはなぜかについて書かれてあります。「それも神の思し召し」と万能理論様々では、騙されてしまいます。
電子書籍でオススメから選択しているため、同じ著者が続く傾向にあるようです。さて、人間生きていれば、落ち込むこともありますが、日々「自分はダメだ」と思っていては人生楽しめません。また、そんな罪悪感を掻き立てることで人を支配しようとする人も多くいます。そんな罪悪感は、抑え込もうとしてもどこかで表面化するので、受け入れることが大事で、無視したり排除したりするのではなく、さらに罪悪感に限らず、すべての感情を自身についての重要な情報を与えてくれるものとして捉えて、対応しようというのが本書の内容だったように思います。こうでなければならないといった気持ちのある人は、要注意です。割り切りは大事です。
久々に本を手に取りました。学会シーズンに入って、移動が多いので売店でふと購入。社会生活を送る以上、必ず他人との関わりは避けられません。攻撃欲・支配欲の強い人は確かにいます。好感を与える仮面の下に破壊衝動を隠して、そっと忍び寄ってくる、うわべは優しくて善良そうなのに相手の弱点を繰り返し指摘して傷つけるような人です。自信がなく、自責の念が強い人は、操られてしまいがちです。SATCの言葉らしいのですが、フレネミー(フレンド+エネミー)というのは言い得て妙ですね。本書のスタンスは、そういう人は、基本的に変わらないので自分が変わるしかない(対策をする)というものです。読んでいて思ったのは、要はヤクザですよね。真の意図は隠しながら、心理的負担を与えながら相手を追い込んでいく。気を付けたいものです。こういうのを読んでいると世の中世知辛いなぁと思ってしまいます。
久々に読みましたよ、香山さん。昔から結構読むことは多いんですよね。エンタメ系でさらーっと読めるので。まあ胡散臭いですが。こういう極端な例示で相手を納得させようとする論法は、ツッコミどころ満載ではありますが、やはり読み手としては面白く読めるものです。結局、否定している対象に対してと同じパターンで逆の内容を返しているだけなのですが…。ワードショーを鵜呑みにするような方、思い込みの激しい方なんかは嵌ってしまうのかな。勘違いはしない方がいいです。物事は客観的に判断しましょう。さて、「気にしない」ことは結構大切です。ちょっと前に鈍感力なんてものがありましたが、まさにそれ。ストレスは溜め込まないことです。はい。





読みやすい本です。勉強はできなくても頭の悪い人にはなりたくないですよね。読みながら、いるいるこういう人、自分もそうかもしれないなんて思いながら普段の会話を省みてみるとよいのでしょう。少なからず、人間みんな自分勝手なもんですから、よっぽど人間ができているか(生き仏?)、関係が薄いということ以外に不愉快な思いをさせない人はいないでしょう。今、気付きましたがblog形式にして、ほとんど岩波だったんですね。初PHP。