集英社文庫

琥珀の夢 下

伊集院静
『琥珀の夢 小説 鳥井信治郎 下』
集英社
2020年6月25日
20250210 読まないといけないものがいっぱいあるのですが、ついつい。琥珀の夢を読み終えました。最後の解説にある「生きること、生活することにおいて何が肝心なのか、人間形成において何が必要なのかをさまざまな状況で問いかけている」という伊集院静っぽさのある小説です。上巻では特に「陰徳」が印象に残りましたが、下巻での共感は、「そんなもん教わってできるもんやおまへん。やりたかったら勝手に己の甲斐性でやんなはれ」という信治郎の姿勢や「失敗して身につくことの方が多い」との座主の言葉でした。最終的には「やってみなはれ」に集約されそうです。我慢強く続けることは、我慢強く待ち続けることでもあるなと思いました。まだ読み返したい小説はあるのですが、読みたい本もたまってきているので、小説は少しお休みしたいと考えています。

琥珀の夢 上

伊集院静
『琥珀の夢 小説 鳥井信治郎 上』
集英社
2020年6月25日
20241225 六兵衛の続きとも思ったのですが、別のものにしました。こちらは2016年7月1日〜2017年9月5日に日経朝刊に連載されていたものです。ちょうど読み始めた頃に、サントリーHDの次期社長にひ孫の鳥井信宏氏が昇格というニュースがありました。昨年亡くなられた伊集院静氏は、高校の先輩にあたるということや、2014年の「マッサン」で扱われていたこともあって、比較的興味をもって読んでいたものと思います。「陰徳」や「嫉妬」の話が出てくると、伊集院静らしい気がしました。ノブレスオブリージュは大事です。最近、倫理について考えることがあるのですが、モラルってどうやって身につけるのでしょう。鳥井信治郎は、どうやって鳥井信治郎になったのか。偉人の話を読んでいると、そういうところがおもしろいとは思うのですが、教育に結びつけるのは難しい。上巻は奉公を終え、独り立ちしたところで、有金を叩いて1等客船に乗るところまでなのですが、お金の使い方が豪快で、長州の維新志士のようだと思いました。
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