渡辺利夫
『放哉と山頭火 死を生きる』
筑摩書房
2015年8月25日
IMG_9155 ふと新聞の書評で見かけて購入。思いのほか面白く読みました。俳人ならぬ廃人と言われる自由律俳句の巨星である放哉と山頭火の酒浸りのダメダメ度と昇華された自由律俳句が人間の深い業を儚くも美しく表現していることに心を揺さぶられずにはいられない、といった感じでした。こういった人間に住まう暗鬱な心を扱う文学に少し興味を持った次第です。こんな破滅的な人生はまっぴらだとは思いながらも、どこか羨ましく感じるところがまた魅力なのでしょう。辞世の句がとてもいいです。「春の山のうしろから烟が出だした(放哉)」「もりもりもりあがる雲へ歩む(山頭火)」