幻冬舎新書

イライラしない本

齋藤孝
『イライラしない本』
幻冬舎
2016年1月(電子版)
20160728 副題は『ネガティブ感情の整理方法』。ストレスフルな日々を過ごす方々には、よい指南書なのではないでしょうか。インターネットやSNSによる感情の揺れやザワつき、心の不安定さは、現代人なら皆が持っているネガティブ感情だと思います。不満や羨み、後ろめたさは、ストレスを生みます。本書を通して、「来るものは拒まず、去るものは追わず」を勧められていますが、「君子の交わりは淡きこと水のごとし」が大事ですね。あと、未来への不安と過去への後悔を断ち切って、今この瞬間、「今やるべきこと」に集中することです。その他、カタルシスとして、愚痴る、歌う、芸術に触れることを勧められていました。そして個人的には大の苦手な「ムダ話」、雑談力には心の中のちょっとしたガス抜きができる、「意味のないおしゃべり」には大きな意味があるとのことでした(耳が痛い)。

男尊女卑という病

片田珠美
『男尊女卑という病』
幻冬舎
2015年8月(電子版)
48 iBooksでの幻冬舎新書が続きます。本書の最後に「男性に女心がわからないのはなぜか。それは男性に生まれたからにほかならない。逆もまたしかり。」とあるのですが、この性差のある男女が同じ存在になりえないという基本認識を持った上でのバランス感覚が肝要だと思います。心理学的に見て、男女の精神構造を分析している部分は面白かったです。日本社会は、家制度の名残で今でも男性優位の風習が非常に強く残っていますが、少しずつ社会は変わり始めているという感覚を日々覚えます(男女問題に限らずですが)。おそらく世代が変われば文化は変わるでしょう。あとは、過度なバッシングや男女に限らず「自慢賞賛型」「特権意識型」「操作支配型」みたいに性格を拗らせてしまうといったことをどう克服するかですね。「過去と他人は変えられない」とは言い得て妙です。

文豪はみんな、うつ

岩波明
『文豪はみんな、うつ』
幻冬舎
2015年2月(電子版)
11 読み始めて気付いたのですが、『他人を非難してばかりいる人たち』と同じ著者のようです。夏目漱石、有島武郎、芥川龍之介、島田清次郎、宮沢賢治、中原中也、島崎藤村、太宰治、谷崎潤一郎、川端康成といった文豪たちを精神疾患という視点で批評されています。誰しもが性格的にどこかが歪んでいるものですが、並外れた能力を発揮する人物というのは、大抵この歪み具合が激しいと思っています。ここで紹介されている文豪たちも何かしらの執着性格が起因で精神疾患に罹患していたということになるでしょうか。また、その本人の精神状態やその経験が、作品に強く投影されているのも頷けました。感受性が豊かなことは、なかなか生きづらいものだと感じさせられます。立派な鈍感力を持った私には、縁遠い話なのかもしれません。あと、不倫や心中といった、世間的なタブーがこれほど自由に繰り広げられる文壇というか、時代に結構驚かされます。

人生を面白くする 本物の教養

出口治明
『人生を面白くする 本物の教養』
幻冬舎
2015年10月(電子版)
20160123 ↓と同時に購入。共感するところが多かったので、電子書籍でなかったらドックイヤーだらけになっていたかもしれません。出口さんの合理主義、実質主義は、基本的に私の思考回路と重なります。自分が腑に落ちている「数字、ファクト、ロジック」と照らし合わせながら考えて判断しますし、相手がどういう数字を用い、どういうファクトを重視し、どういうロジックを積み上げているかを重視します。まさに「文は人なり」で「てにをは」ができていない人は、筋の通った思考ができていないので、信用しません。話は変わりますが、「あっ、そうか!」という原体験って大事ですよね。

他人を非難してばかりいる人たち

岩波明
『他人を非難してばかりいる人たち』
幻冬舎
2015年10月(電子版)
01 久々にiBooksを開いて購入。日々、SNSやTVでは不寛容な非難(バッシング)が繰り返されています。世知辛いものです。なぜ、このように排他的で不寛容なのか、日本独自の空気があるように思います。あと、日々感じるのは、妬みです。「人の不幸は蜜の味」とは言ったもので、人間とはつくづく厄介なものです。本書では、いくつかの事例をもとに、その構造を解説しています。個人的に関心が高かったのは、「規範」のない日本社会の独特な文化構造です。良くも悪くも、右へ倣えな風土は国民性なのでしょうか。

ぶれない人

小宮一慶
『ぶれない人』
幻冬舎
2010年7月30日
IMG_1252 小宮さんの本は巷に溢れ返っていますが、意外と読んだものは少ないです。検索してみると今まで2冊でした。「ぶれない」というのは非常に大切なことで、芯を持った人というのは言動に一貫性があり、信頼に足る人だと思います。これは接していれば、自然とわかるものです。そして、ぶれないようにするためにはどうすればいいのかと言えば、やはり『論語』などの古典に語りつくされていると思います。本書にもあるように「お金儲けをしようとする人ほど、お金儲けすらできない」はずで、「お金を稼げるくらいに良い仕事をしよう」という意識が肝要です。信念を貫き通せる人は、必ず成功します。正しいと信じる道は、迷わず歩み続けてほしいものです。

脳に悪い7つの習慣

林成之
『脳に悪い7つの習慣』
幻冬舎
2009年9月30日
DSC05464 最近よく売れている本のひとつです。面白そうなので読んでみました。私、常日頃から何かを行うときには気分を大事にするのですが、いい意味でも悪い意味でも、その効用を垣間見たような気がします。損得勘定で動いてもいい方向に向かわないのは、脳科学的にもそうですが、やはり気持ちがない分だけ広がりに欠けます。「だいたいできた」で詰めが甘いという自身の欠点も「まだできていない部分」「完成するまでに残された工程」へのこだわりを突き詰める習慣をしっかりつけていきたいものです。“忙しい”の一言で片付けるには、あまりにももったいない。ひとつ、とてもいいなぁと思ったのが、「一人ひとりをえこひいき」という著者の小学校の時の先生のお話。平等に接しないといけないと思い、あまり個人的に優遇するような対応をしない私ですが、それぞれに違った形でみんなにえこひいきというのは、アリだなと思いました。

なぜ正直者は得をするのか 「損」と「得」のジレンマ

藤井聡
『なぜ正直者は得をするのか 「損」と「得」のジレンマ』
幻冬舎
2009年7月30日
20090811 本書のテーマは、利己主義者は最終的に損をし、非利己主義者は最終的に得をするというものです。正直者はバカをみないという道徳的なテーマを、心理学、進化論、経済学や倫理学をもとに実証されています。中身は、新古典派(ミクロ経済学)における合理的選択理論の批判であり、規制緩和、民営化に対する批判です。合理的選択理論なんてあり得ない前提であることは、誰にでも明白ですが(昨今の暴利を貪って経済危機を招いた証券マンには当て嵌まりますが)、教科書的にはこれが基本です。後者については、極度な利己主義に陥らないための規制をなくし、利己主義が跋扈した。公に資するための職務である公務員、もしくは公務を利己的な利益を追うシステムに改造し、必要な無駄を排除し、公共の利益を社会から削ぐ結果になった、と。昨今の経済至上主義は、一部の裏切り者(利己主義者)に歩調を合わせた“腐ったリンゴ効果”によって社会が退廃していく様を見ているようでした。でも、やはり正直者が勝つのが自然の摂理です。

続ける力

伊藤真
『続ける力』
幻冬舎
2008年3月30日
9.20 司法試験の“伊藤塾”の塾長さんです。私にとって受験勉強は最も不得意とするものです。未だかつて勝利を手にしたことがありません。さて、受験勉強に限らず、「継続は力なり」です。ムリをせず、自分のペースで十分なモチベーションを保ちながら、生活に取り込んでいくことが秘訣だと思います。そういう意味では、カメさんペースながらも研究もこのBook Diaryも無理なくマイペースに続けているかもしれません。わかりやすい成功という結果に繋がるかはわかりませんが、自分にしか出来ないことができるようになるための何らかの肥しになっていると思います。本書では、伊藤さんの熱い志に触れられたことが一番よかったです。

凡人として生きるということ

押井守
『凡人として生きるということ』
幻冬舎
2008年7月30日
9.19 「イノセンス」や最近では「スカイ・クロラ」なんかを撮っていらっしゃる映画監督さんです。全体を通して、現代の日本の有様を批判的に語られています。共感する部分も多いですが、少し違和感のある主張もちらほら。基本的に、押井さん自身の経験をもとに人生観を述べられていると思います。ボクは、今の若者はサービスに徹した便利で楽しい「娯楽」と昔ながらの人としての「倫理」という大人が提供する二重基準に翻弄されていると思いました。映画監督という職業を通して、自分の表現したい、主張したいことを貫いている姿は、スゴイなぁと思います。

日本人の精神と資本主義の倫理

波頭亮、茂木健一郎
『日本人の精神と資本主義の倫理』
幻冬舎
2007年9月30日
9.17 いつも温厚に見える茂木さんが、怒れる人として語ってます。憂うべき日本の現状を遺憾なく批判されているように感じました。「サンダル突っかけているオバサンも100億円稼いだ資産家も、精神性において違いなどまるでないのが今の日本」であって、「ピアプレッシャー」+「大衆というバケモノ」が世の中をおかしな方向に導いているのだと思います。やはり今の日本人は、あまりに享楽的過ぎるのでしょう。「ノーブレス・オブリージュ」を持ちえた人を育むためには、何が欠如しているのか。ボクは↓の本なども含めて、ストーリーの欠如だと思います。行動の起点に、倫理感や信念が足りないのだと。
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