岩波新書

コーポレート・ガバナンス

花崎正晴
『コーポレート・ガバナンス』
岩波書店
2014年11月20日
20231126 コーポレート・ガバナンスというと、企業統治に関する規制のイメージがあったのですが、企業経営の非効率を排除して、企業価値を高めるメカニズムということでしっかり学習できたように思います。アメリカ、日本、東アジアのガバナンスの特徴について、データや研究成果をもとに説明されている本ですが、本書で筆者が発信したかったのは、90年代以降の日本における不良債権問題は、ガバナンスが効いていなかったメインバンクシステムによって長期化したという研究結果だと思いました。株主との共謀、実態の隠蔽といった銀行の状態をエントレンチメントと表現されていました。組織には、効果的な外部からの規律付けが必要なことがわかります。ガバナンスの問題に限らず、世の中は確実によくなっているのですが、なかなか皆が幸せに暮らせる仕組みとしてうまく設計ができないものです。むずかしい

会計学の誕生

渡邉泉
『会計学の誕生 ー複式簿記が変えた世界』
岩波書店
2018年2月15日(電子版)
20230601 スマホ積読の1冊。日本簿記学会の学会賞(2018年度)受賞作です。お恥ずかしながら今読みました。帳簿の世界史あたりから、簿記・会計の歴史が流行りましたが、本書は学者による会計学を知っている人向けな内容になると思います。なるべく平易にとは言うものの、会計学ゼロ知識では、わからない単語が多すぎるでしょう。渡邉先生の損益会計への想いに触れられて、大変よかったです。最後にある文献解題もとてもよかったです。研究室にある書籍をじっくり読んでみたくなりました。近代会計については、ある程度知っているので3章まで、特に1,2章の複式簿記の完成までがとても勉強になりました。会計学も実証研究がメインになっていますが、こういった歴史研究や伝統的な規範的・記述的研究がおもしろいと思ってしまいます。会計学の入門レベルを終えた大学生に勧めたい1冊です。

あいまいな日本の私

大江健三郎
『あいまいな日本の私』
岩波書店
1995年1月31日
IMG_3935 久々に岩波新書読みました。心斎橋のSTANDARD BOOKSTOREで目にして、読んでみようかと思い購入。最近軽い本ばかり読んでいたため、久々の文章らしい文章にちょっと読むのに時間がかかりました。内容は、大江さんのノーベル賞受賞記念講演などの講演集です。読んでいて、いかにも旧世代、という感を持ってしまうのですが、それはそれで味があります。思想が強く反映されている内容だなぁとも。あと、自分の教養のなさを痛感するとか。正直、文学評論はさっぱりです。

金融工学とは何か

刈屋武昭
『金融工学とは何か』
岩波書店
2000年5月19日
1.8 金融工学というと、難しい数学が駆使されていて文系の私には理解できそうにないですが家にあったので読んでみました。リスクのあるところに金融が必要となってくるというコンセプトで書かれている本です。不確実性の高まる経済社会で、リスクはあらゆるところに潜んでいますよね。最近では、相次ぐ災害が起きていますが、保険も金融。不確実性の高まる経済社会で金融の知識は必要ですよね。この本が書かれたのが2000年、今年はもう2005年、経済環境も金融もかなり進化していると思います。金融工学も難しくなってるんだろうなぁ。

映像とは何だろうか

吉田直哉
『映像とは何だろうか』
岩波書店
2003年6月20日
12.13 映像にしろ何にしろ何かを制作するときにどれだけ意味(意識)を持って行うかということが重要だということを感じました。そういう意味で、NHKでディレクターをされていた著者は番組作成に高い意識を持って臨んでいらっしゃったと言えます。このくらいの意識を持って番組を作成してもらいたいものですね。この本に出てくる1962年放送の『日本の模様』は、少し前にアーカイブスで見たことがあります。日本の家紋のデザイン性とこの番組の発想は素晴らしかったです。

裁判官はなぜ誤るのか

秋山賢三
『裁判官はなぜ誤るのか』
岩波書店
2002年10月18日
12.8 全く関係のない本を読むときが一番安らぐ時間と言えます。さて、この本は冤罪がなぜ起こるか、起こさないようにするためにはどうすればよいかということが元裁判官の著者によって書かれてあります。「疑わしきは被告人の利益に」という言葉に表される基本的な思考が裁判官において希薄であることが問題であると指摘しています。しかし、刑事裁判における有罪率が99.9%というのは確かに異常です。裁判官がいる意味があるのかないのか。これじゃ検察官が有罪か無罪かを決めているみたいですよね。

宇宙人としての生き方

松井孝典
『宇宙人としての生き方』
岩波書店
2003年5月20日
12.2 ものごとを考えるうえで、一番大きな視点といえるのが宇宙の話でしょう。宇宙の話を進めるにしても対照や視点を明らかにしないと話は進みませんが。この本は、そういうところが非常にきちんとしていて論理一貫性があり、分かりやすいと言えます。章のはじめに知求ダイヤグラムとして8個の図が示されています。これ何かに使えるかも。この本のように、非常に論理的に宇宙をみていくのもいいですが、宇宙のロマンに浸るのもまた一興。

市民科学者として生きる

高木仁三郎
『市民科学者として生きる』
岩波書店
1999年9月20日
11.25 かなりクセのある方だということがひしひしと伝わってくる本でした。でも、その気持ちや考え方には共感します。しかし、自分に誠実であり続けることはそう簡単にできることではないです。高木さんのような市民科学者として生きるのはかなり難しいと思いますが、私自身かなり考えさせられるところがありました。研究が研究を呼ぶ世界にはまりこみ、何のための科学なのかということや人々に求められているものからどんどん離れていってしまうということが多々あると思います。まあ、そこから生まれてくるものもあるとは思いますが。う〜ん、難しい。

科学の目 科学のこころ

長谷川眞理子
『科学の目 科学のこころ』
岩波書店
1999年7月19日
11.24 この本を読んだのは先週なんですけど、更新できなかったんで。でも、確実に最近読む量が減ってますね。まあ、それはいいとして、著者が行動生態学の学者さんということで主に生物関係の話が多いです。あと、科学における過去の偉人の話ですね。振り返ってみると兎角いろいろな話があったように思います。感覚的な常識にとらわれないことの大切さ、つまりは科学の目によって見ることによって真実が見えてくるということですね(何かクドイ言い方)。人文・社会科学も自然科学も関係なく。

社会責任投資の基礎知識

秋山をね・菱山隆二
『社会責任投資の基礎知識』
岩波書店
2004年4月6日
11.13 貰い物の本のなかに、アクティブ新書が一冊紛れ込んでいました。内容は、書名のとおりです。最近、企業の不祥事のニュースが多いですが(いつでもあるとも言えますが)、このような不祥事などを起こす企業はSRIには入らないようになっているのでしょうね。SRIの基本は、企業の倫理、法令順守であり、その企業がいかに誠実に経営をしているかです。しかし、これは企業に限らず人として守るべきことでしょう。でも人間、欲に駆られて悪いことしがちですよね。

私の脳科学講義

利根川進
『私の脳科学講義』
岩波書店
2001年10月19日
11.11 ノーベル賞受賞者の利根川先生です。先生の歩まれた道や脳科学に関する内容もかなり面白かったですが、最後に収録されているインタビューがよかったです。科学者に必要なことは、楽観的であること。つまり、いろいろ難しいことがあっても滅入らない、諦めない人であって、そしてプライオリティがしっかりしている人だそうです。感銘。あと、頑張って研究し続ければ、いつか大きな発見ができると思い込んで、自分の心理をコントロールできることが大切だとも。人間プラス思考が大切ですね。まあ、勘違いや見当違いなプラス思考はダメだけど。

日本人のための英語術

ピーター・フランクル
『日本人のための英語術』
岩波書店
2001年11月20日
11.9 本棚をよく見たら英語に関する新書がまだありました。ということで早速読んでみました。この本は易しい内容だったのでとてもよかったです(私の英語レベルでは)。数学者かつ大道芸人といったあのピーターさんがこんな本を書いているとは。日本人の完璧主義や寡黙なところが英語を話すのにかなりマイナスだというのは的を射ていますね。内容は、日記の勧めや英単語のゲームなど。英語が苦手な人にお薦めです。

大学生の学力を診断する

戸瀬信行、西村和雄
『大学生の学力を診断する』
岩波書店
2001年11月20日
10.17 一時期かなり議論された学力低下論争の火付け役ともなった『分数のできない大学生』『少数ができない大学生』など本をまとめたものですね(たぶん)。新学習指導要領への反対にかなり説得力のある本です。当時、これらの本を見たときの衝撃は大きかったです。でも、「そんなもんだよな」とも思いました。何せ、私自身が学力低下の申し子と言える存在です。高校数学はかなり怪しい。何が悪い?科目数が極端に少ない受験制度か?その受験勉強一本槍の教育か?ともかく、私は学生のうちに高校教育を自分なりにやり直さなくてはならないです。

少年犯罪と向きあう

石井小夜子
『少年犯罪と向きあう』
岩波書店
2001年12月20日
10.12 この本もよくある最近の子供に関する本のひとつですね。犯罪が多くなったとか、凶悪化したということは実際ないわけですが、何が変わったかといえば罪を犯してしまう子供の質なんでしょうね。これまではそんなことをしなかった層の子供が犯してしまう。また、誰が起こしてしまうか判別がつきにくいということでしょう。この本は、少年法の改正についての筆者の見解が書いてあるのですが、なかなか難しい問題ですね。あと、犯罪を起こしてしまう子供は、自尊感情や自己肯定感が弱いというのは的を射ていると思いました。

子供の危機をどう見るか

尾木直樹
『子供の危機をどう見るか』
岩波書店
2000年8月18日
10.7 よくある最近の子供に関する本です。学級崩壊やら凶悪事件などを振り返りながらその原因について、それなりの見解が示されていると思います。最後のほうは、これに対応するための現代的教育のあり方について、これまでの数々の試みなどを挙げながら提案されています。昔のツッパリなんかと違う形で表れてきた子供の荒れはそもそもいつから表面化してきたのかと考えると、結構私の年代がそのキーとなる学年だと思います。ルーズソックスやポケベルに携帯、プリクラに厚底ブーツ、ガン黒に一時期流行った「チョベリバ」などの言葉も私の世代です。援助交際のピークも私の世代。なんだか、半分当事者としても読める本な気もしますね。

伝わる英語表現法

長部三郎
『伝わる英語表現法』
岩波書店
2001年12月20日
10.2 意外と英語に関する本が家にあったようです。でも、これが最後。前回同様、私には少しレベルが高い内容でした。基本的に単語で読んでしまう私には、それを否定する内容の本だったので、これまた自信を失いました。ただ単語英語では、気持ち(内容)は伝わらないということは、説得力のあるものでした。英語は単語で表現するより単語に縛られずに具体的に説明しないとわからないものなんですね。英英辞典ばりに。さて、これからどうやって英語勉強していこっかなぁ〜。チャイ語もやらなきゃなぁ〜。…。

心にとどく英語

マーク・ピーターセン
『心にとどく英語』
岩波書店
1999年3月19日
929 題名通り、心にとどく英語を話すために、日本人があまり理解していないと思われる英語の微妙なニュアンスについて、映画などに出てくる会話を例に説明しています。まあ、私の英語力に対して少し早い内容でした。微妙なニュアンスの違いについて言われても私にとっては、混乱を招くどころか自信喪失以外の何者でもない感じです。勉強にはなりましたけどね。しかし、日本語というのは複雑なだけに、表現力だけはあるなと思いました。とりあえず、読むことができれば十分で、バイブルはビック・ファット・キャットですね(笑)。

日本人はなぜ英語ができないか

鈴木孝夫
『日本人はなぜ英語ができないか』
岩波書店
1999年7月19日
926 我が家には、未読の岩波新書・文庫がいっぱいあります。バイト(本屋)を辞めるときに70冊ほど戴いたものです。お陰で今年度中は読む本には困らないと思います。これはそのなかの1冊。ちょうど先日英語の試験も受けたし。英語のできない日本人の一人として(英語コンプレックスを持つ一人として)読ませて頂きました。内容は、日本人の持つ文化的な特性や英語教育の問題点などが述べられています。書いてあることはその通りだと思います。日本にいれば日常において英語を使うことはほぼないに等しいというか、できなくても生活はできます。しかし、やはり使用する必要のある人間はしっかり身に付けないといけませんね(自分のこと)。
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