齋藤ジン
『世界秩序が変わるとき 新自由主義からのゲームチェンジ』
文藝春秋
2024年12月20日
20250622 最近よく目にする齋藤ジンさんです。非常に明快で面白かったです。「失われた30年」とは何だったのか、日本の立場を覇権国家の視点から解説されています。ウクライナ、パレスチナ、イランのような昨今の世界情勢は、明らかにこれまでの常識では考えられないステージにあると言って過言ではないと思います。ただ、本書の視点は、今後の情勢は日本にとってプラスに働くというものです。東アジアの最前線として、力が求められていることによるものですが、諸々の抑止力や有事への備えには覚悟が求められる時代だと思います。個人的に、残念でならないのは、新自由主義の敗北というか、市場に任せておけばいい塩梅になるといった、経済主導によってバカげた戦争を起こすようなこともなくなる、という世界観が明らかに弱まっていることです。新自由主義が好きかと言われると、微妙なところですが、為政者の気持ち次第で情勢が動いてしまうような世界線は恐ろしいです。