2025年10月

ビジネスの倫理学

梅津光弘
『ビジネスの倫理学』
丸善出版
2002年6月30日
20251019 ここのところ会計倫理に関心を持っているので、経営倫理関連のテキストとして読んでみました。倫理学の本は、途中で挫折してしまうのですが、本書はすごく読みやすくて、すごくよい内容でした。会計の根本には、信頼の醸成があると疑わない私は、道徳的責任をどこかに置いてきてしまっているような企業行動に違和感があるし、儲けることが存在目的であったとしても、法律を守れば何をしてもいいわけでもないし、「信なくば立たず」だと思っています。ただ、そんな私も功利主義的なところもあり、物事の良し悪しは結構ドライに割り切りがちで、倫理的にどうなのか、微妙なところもあります。本書では、アリストテレスの徳倫理に共感しました。行為の習慣づけであるエトスが大事だと思います。倫理は論じるものではなく実践するものであると心がけていきたいです。

会計学の地平

友岡賛
『会計学の地平』
泉文堂
2019年12月30日
20251007 大学近くのブックオフにあったので購入しました。三部作の2作目です。本書は後半がよかったです。第6章 意思決定有用性アプローチの功罪、第8章 無形資産会計論の意義、第9章 会計の終焉と会計学社の責任は、興味関心と一致しているのでテンション上がりました。本書の内容に興味を持ってくれるような学生さん大募集です。こだわりどころを捨てることによって失うものと得るもの、こだわり続けることによって保たれるものと得られないもの、当たり前のことなのですが、感慨深いです。意思決定に有用かどうかを反駁できないようように、論理に無縁な意思決定有用性は、きっと理論的にどうこうということに興味がないのだということがわかります。昨今ののれん然りで、政治的に利用されかねない代物だと、改めて思いました。最近は、数字を使った研究ばかりしているので、規範的というか、記述的というか、理屈をこねくり回したような会計学に、一種の郷愁を覚えます。いいよね。
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