2024年12月

琥珀の夢 上

伊集院静
『琥珀の夢 小説 鳥井信治郎 上』
集英社
2020年6月25日
20241225 六兵衛の続きとも思ったのですが、別のものにしました。こちらは2016年7月1日〜2017年9月5日に日経朝刊に連載されていたものです。ちょうど読み始めた頃に、サントリーHDの次期社長にひ孫の鳥井信宏氏が昇格というニュースがありました。昨年亡くなられた伊集院静氏は、高校の先輩にあたるということや、2014年の「マッサン」で扱われていたこともあって、比較的興味をもって読んでいたものと思います。「陰徳」や「嫉妬」の話が出てくると、伊集院静らしい気がしました。ノブレスオブリージュは大事です。最近、倫理について考えることがあるのですが、モラルってどうやって身につけるのでしょう。鳥井信治郎は、どうやって鳥井信治郎になったのか。偉人の話を読んでいると、そういうところがおもしろいとは思うのですが、教育に結びつけるのは難しい。上巻は奉公を終え、独り立ちしたところで、有金を叩いて1等客船に乗るところまでなのですが、お金の使い方が豪快で、長州の維新志士のようだと思いました。

黒書院の六兵衛 上

浅田次郎
『黒書院の六兵衛 上』
文藝春秋
2017年1月10日
20241209 家康の続きとも思ったのですが、浅田次郎になりました。単行本で購入した家康が出張で持ち歩くには不便という理由です。こちらは2012年5月14日〜2013年4月17日に日経朝刊に連載されていたものです。amazonで検索したとき、吉川晃司で映像化されていてビックリしました。当時は字をなぞっただけだったようで、もはや初めて読んだ気持ちです。江戸時代の旗本、御家人がどんな様子だったのか、これを読むまで特に興味がなかったので、とても興味深かったです。江戸の解像度が上がった気がします。呼び方が、お殿様なのか、旦那様なのか、奥様なのか、御新造様なのか、おひいさまはお姫様のことだったのかとか、勉強になりました。260年続いたしきたりというものの意味を考えさせられました。三河以来の直参旗本みたいな世襲や武士としての体裁から、太平の世を築いた家康の不穏分子は作らないという徹底した制度設計に凄みを感じました。『花神』や『世に棲む日日』と同じ時代とは思えない暮らしぶりでした。大金を手にしたら、遊んで使い果たす長州藩士の自由奔放さときたら
Archives
記事検索
最新コメント