2014年09月

僕がコントや演劇のために考えていること

小林賢太郎
『僕がコントや演劇のために考えていること』
幻冬舎
2014年9月10日
IMG_0177 私は小林賢太郎作品のファンです。舞台は可能な限り観に行っています。さて、ここのところ説教くさい本が続いているのですが、この本もそういった感があるのは否めないところです。ここに書かれてあることは、コントや演劇に関わらず、すべての職業に通じる話だと思います。賢太郎氏の考えていることは、基本的に私のスタンスと一致していると感じました。「うちはうち、よそはよそ」であるとか「「ウケる」と「売れる」と「有名になる」を分けて考える」というのは、絶対そうだと思うし、基本を忘れずにズレた行動を律しながら、自分の道を楽しみながら極めていきたいなぁと思う次第です。こういう話は(とくに芸事に関しては)、『風姿花伝』のような古典にしっかり書かれてあることでしょう。

100の基本 松浦弥太郎のベーシックノート

松浦弥太郎
『100の基本 松浦弥太郎のベーシックノート』
マガジンハウス
2012年9月25日
IMG_9941 松浦さんの日々の100の基本と“COW BOOKS”という本屋での100の基本(チェック項目)が短文解説付きで紹介されている本です。仕事場でのチェック項目は、かなり説教臭く感じると思います。まあ、大人になると誰も指摘してくれないので、よかったのではないかと。「100冊の本を読むよりも、よい本を100回読む。」わかってはいても、本については多読の方針をとってしまうのですが、100人と付き合うより、好きな人に100回会った方が相手と自分の本質がわかってくるというのは、なるほどです。古典をしっかり読めば、道徳については言うことないと常日頃から思います。ただ、「本は読むもの、飾るものではない。読んだら処分」蔵書という感覚はないというのは、相容れません(笑)「面倒くさいを楽しむ」“面倒くさい”という言葉は、本当にネガティブに働きます。日頃から気をつけるに越したことはないです。「健康管理が一番の仕事」病気で休むのが、健康管理という仕事を疎かにしたことの結末と捉えるのはその通りです。仕事を通して社会のために何ができるか、これなしに仕事はできませんよね。

センスは知識からはじまる

水野学
『センスは知識からはじまる』
朝日新聞出版
2014年4月30日
IMG_9855 タイトルを見たとき個人的にはセンスをアイディアに変換しました。水野さんの作品はとても好きで、著書もかれこれ6年くらい前ですが『グッドデザインカンパニーの仕事』を読んだことがあります。「センスのよさ」を数値化できない事象のよし悪しを判断し、最適化する能力と定義されています。社内説得の道具となりがちな市場調査の功罪についても触れられていました。人の感覚はとても敏感なもので、理由はわからないけど、高い精度で丁寧につくられたものであることは鋭く感じ取れるものです(言葉を巧みに使って騙すものは除きますよ)。相手を小手先で欺いても通用しない(続かない)のは自明で、相手を欺かないための精度が必要というのは共感せざるを得ないです。

揺れる現代会計 ―ハイブリッド構造とその矛盾

石川純治
『揺れる現代会計 ―ハイブリッド構造とその矛盾』
日本評論社
2014年8月20日
IMG_9643 前期に会計学特別演習で使用していた『経営財務』の記事が書籍になっていたので改めて読みました。『経営財務』にはなかったシャム・サンダー先生と井尻先生との対談は、最高に面白かったです。会計アカデミズムがどう貢献できるかということについて、相対化を軸に話は進んでいきます。対談では、better accounting、better market、better societyと、何が「より良い」のか、どう繋がっているのかという、難しいですが重要な話が多く出てきます。会計基準について、初期のいくつかのパラグラフのものから、今日数千ページの細則ができて改善したのかという問いは鋭いです。教育についても面白いことが書いてありました。容易な「なに」から「なぜ」へ。そして「なぜそうでないのか」という問い。最後の問いは、すごく重要ですね。本文中にもありますが、大抵2度、3度のなぜで自分の知識の限界に行き詰まってしまいます。日本の研究スタイルを華道や茶道や能に例えられているのは、なるほどでした。
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