2013年08月

会計リテラシーが仕事も人生も変える!

久保憂希也
『会計リテラシーが仕事も人生も変える!』
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2012年9月15日
IMG_1438 一般向けの会計本を1冊。個人的には、とてもわかりやすい本だったという印象。タイトルの“会計リテラシー”は、あとがきのところに“会計感覚”とあるのですが、一般にわかりにくいとされる会計を、直観的にわかりやすい例えで解説されており、まさに感覚を掴むことに重点が置かれています。外部での一般向け講演会なんかで、本書のネタを少し借りようかとも考えてしまいます。高校生向けの模擬授業にも使えるかも。“会計”というものを掴みどころがわからない代物だと感じていらっしゃる方にお勧めです。「会計をマスターする方法は何ですか?」という質問は、自転車に乗れる人に「どうやったら自転車に乗れるようになるんですか?」と聞いているのと同じという表現は、なるほどです。

税理士試験の受験生日記

福田広文
『税理士試験の受験生日記』
Amazon Services International, Inc.
2013年3月13日
IMG_1421 またもKindle。税理士試験を受けたことはないのですが、ゼミ生には受験生もいますし、体験記を読むことで何かアドバイスできることでもあればとダウンロード。科目合格制度というものがなければ、日本において最も難しい国家試験が税理士試験ではないでしょうか(1回で5科目合格する方は、1年に1人か0人ですからね)。会計学科(しかも税務会計ゼミ)、そして科目免除系の大学院(会計学)だったこともあり、今となっては周りには多くの税理士先生(昔は受験生)がいらっしゃいます。そして、私の授業を受けた学生のなかにも5科目合格者が出始めています。みなさん、どんな苦労をされたのか…、改めて税理士試験の過酷さを痛感しました(なんて恐ろしい試験…)。そして、特に資格を持っていない私ごときが、受験生を前に教壇に立ってよいものか、と思わされました。ある程度、体系的な知識はつけておかなければ…

イメージでわかる簿記の本

伊平彰俊
『イメージでわかる簿記の本』
Amazon Services International, Inc.
2013年2月12日
IMG_1413 移動時間のKindle本として数冊ダウンロード。電子書籍は、通常の書籍では絶対に流通しないようなものまでありますよね(笑)。超初心者向けとして書かれてある簿記の基本です。簿記って、本当に最初のハードルが高くて、どうすれば理解できるかを追求した内容と言えます。ただ、本当にわかりやすいかについては初心者の方が読んで、どう思うかです。個人的には、仕訳が出てきたところあたりから、勘定科目が出てきたあたりから、雲行きが怪しくなっている(結局ハードル高くなっている)ような気がしました。導入部分、B/SとP/Lの仕組みくらいまでは、とてもわかりやすいと思いました。まあ、簿記の授業は、私もいろんな角度から毎年攻めていっているのですが、なかなか受講生の多くを簿記・会計の世界に引き込むことには成功していません。

さっさと不況を終わらせろ

ポール・クルーグマン
『さっさと不況を終わらせろ』
早川書房
2012年8月25日(電子版)
IMG_1364 久々のKindle本。クルーグマンの本は実は初めて(HBRの論文を読んだことはありますが)。スティグリッツの本は好んで読むので、感覚的にはその延長線上。内容は単純明快で、ケインズ的な財政出動の推進、金融緩和についての流動性の罠に嵌まっている現状分析、規制緩和批判(あと共和党批判)と、今の経済の仕組みのマズいところを大変わかりやすく説明しています。皮肉っぽい書き方が多いので、田中先生の時価会計(国際会計基準)批判を読んでいるようです。読みやすさとその言い回しも似ています。結局、行き着く先は“政治”なんですよね。どこぞのパワーバランスで政策(制度)というのは決まっているということ。富めるものがますます富んでいくという構造、欲望の歯止めが利かない仕組みに誰がどういう意図でしてしまったのか…。経済学を勉強したのは、12年以上前で、今では記憶から消えてしまっているのですが、経済学の面白さが伝わりますね。経済学部生には、読んでもらいたい1冊です。

論点思考

内田和成
『論点思考』
東洋経済新報社
2010年2月11日
IMG_1247 いつ購入したのかは定かではありませんが積読の1冊。姉妹書である『仮説思考』は読んでいたのですが、book diaryを検索すると読んだのは7年前のようです(驚)。日々、教学改革に携わっていて感じるのが、論点設定の重要さ。正しい問い、真の問題に気付く力が問題解決の肝であるということです。今回、なるほどだと戒めておきたいのが、現象か観察事実を論点と間違えないことです。これは多くの議論、特にビジネスの現場でありがちです。実行すれば成果が上がる「筋のよい」論点を設定したいものです。コンピュータのシステムダウンを例にした、症状から原因のあたりをつける難しさは言い得て妙ですね。

会計理論のアポリア

藤田昌也
『会計理論のアポリア』
2012年12月10日
同文舘
IMG_0850 そういえば、藤田先生の会計計算構造論は好んで読んでいた頃もありました。冒頭に「利益は存在しているのであろうか? 利益はどこからくるのであろうか?」という問いかけがあり、フロー計算、ストック計算の論理から包括利益や分配可能利益、引当金、資本と負債・資本と利益の区分について、会計学のアポリア(行き詰まり)を展開されています。おもしろいです。知的好奇心を刺激されまくり。会計学をしっかり学んで、卒論のテーマを考える時期にある学生さんなどには読んでもらいたいなぁと思う一冊です。試験寄りになりがちな授業でも、こんな話ができるといいなぁとか思ったり…。そう言えば、研究室には藤田先生編著の『会計利潤のトポロジー』があります。こういう言葉が好きなのかな
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