2009年07月

共産党宣言

マルクス=エンゲルス、浜林正夫 解説、村田陽一 訳
『共産党宣言』
大月書店
2009年7月21日
20090731 この時期に“マルクス・フォー・ビギナー”なんてシリーズが出されるなんて、時代ですね。『蟹工船』に続けということでしょうか。ワーキングプアに代表される現代的貧困を搾取される労働者という視点で考えるのが、流行りのようです。「共産主義者に対する中傷とそれへの反論」や「社会変革の基本路線と課題」といった部分は、The 共産主義的でかなり偏ってるなぁと思わざるを得なかったですが、大局観はさすがだと思いました。基本的人権も保障されて、民主主義の今の世で、真面目な経営者が力を発揮できることは間違いなくいいことだと思います。ここで言う打倒ブルジョアは、昨今の金融危機で暴利をむさぼった人には当て嵌まるかもしれません(彼らは搾取者と言えます)。最後に一言。私、アカじゃないですよ。

進化倫理学入門 「利己的」なのが結局、正しい

内藤淳
『進化倫理学入門 「利己的」なのが結局、正しい』
光文社
2009年2月20日
20090730 非常にいい本でした。複雑な社会や多様な価値観を背景に、倫理や道徳がわかりにくくなっている現代社会において、非常にわかりやすく「善/悪」「正しい/正しくない」ということについて解説されています。利他行動が返ってくるという正のスパイラルを意識して行動することの大切さを確信しました。みんなが幸せに暮らせる社会の基本を「利益獲得機会の配分」と主張されていることにも共感。何かと個別事例と原則論を混同した議論が多い世の中で、冷静に(かつ合理的に)物事の善悪を判断できる資質が問われていると思います。気がつけば最近、読みやすさと経費削減のため新書が続いています。

小林賢太郎戯曲集 STUDY ALICE TEXT

小林賢太郎
『小林賢太郎戯曲集 STUDY ALICE TEXT』
幻冬舎
2009年3月30日
20090727 『大喜利猿』を買ったついでに、3月に出た戯曲集も買ってみました。ラーメンズの公演は、暗記してしまうほど観ていますが、文字で読むとまた違った感じがします。ALICEも好きですが、やはりTEXTの完成度が高いです。

大喜利猿 北海道

小林賢太郎、升野英知
『大喜利猿 北海道』
河出書房新社
2009年6月30日
20090726 私としたことが、、6月末に出てるの忘れていました。例によって15分で完読。相変わらずくだらないです。

「説明責任」とは何か メディア戦略の観点から考える

井之上喬
『「説明責任」とは何か メディア戦略の観点から考える』
PHP研究所
2009年7月31日
20090723 説明責任(アカウンタビリティ)と言えば、その原点は会計です。ということで、タイトルがアンテナに引っ掛かり、購入してみました。ただ、本書は説明責任をPR(パブリック・リレーション)の観点から論じることを主眼としています。世間に言われる「説明責任」を解剖する部分や実例は、面白く読めたのですが、PRの観点からの部分は、あまりピンときませんでした。共感したのは、自己修正がきかない日本の社会は、本当の意味で責任を取りづらい社会だというところです。責任を追及するとき、相手の首をとることが目的となるのは、メディアも含め反省の余地があります。

資本主義崩壊の首謀者たち

広瀬隆
『資本主義崩壊の首謀者たち』
集英社
2099年4月22日
20090717 金融資本主義の実体を垣間見れる内容です。読めば読むほど憤ってしまいます。少し穿った見方という気もしますが、それなりに真実に近い内容だと思います。いたるところで紹介されている風刺漫画は、よくできています。封建的な不平等や闘争、または植民地主義などは、教科書のなかでの話で、現代において起こらないと考えがちですが、経済的支配、知的支配といった形で再現されているんだと思います。日々のジャーナリズムに流され、冷静かつ的確な判断ができない日本人の平和ボケも極まっているなぁとつくづく感じました。愚行が繰り返され、庶民が疲弊していく構造をどこかで断ち切らなければなりません。

偶然のチカラ

植島啓司
『偶然のチカラ』
集英社
2007年10月22日
20090714 偶然とか運とか物事の因果関係っていうのは、小さい頃から、悪いことをすれば自分の身に返ってくるし、逆も然りだと思っていましたし、歳をとるにつれて、経験則でもって、そういうもんだなって思います。本書では、いい流れには黙って従うべきで、何か流れを変えようとしたり、自分で選択したりしないよう心掛けるべきだとアドバイスされています。確かに、自分で選択するときっていうのは、何かとぐるぐる考えて、素直な答えとはちょっと曲がった選択をしてしまうのが常で、そのズレでおかしくなってしまうことが多い気がします。言い得て妙です。あと、南方熊楠の話は、なかなか含蓄がありました。そして、我らがルカ・パチオリが文中で出てきたのには、ちょっと驚きました。

人が壊れてゆく職場 自分を守るために何が必要か

笹山尚人
『人が壊れてゆく職場 自分を守るために何が必要か』
光文社
2008年7月20日
20090710 景気悪化でボーナスも激減な世の中。それはそれで、非正規の環境は輪をかけたように劣悪だと思います。今の日本は、ワーキングプアに見られるように労働云々というより貧困の様相をみせています。改めて、労働組合の重要性について考えさせられます。本書に出てくる首都圏青年ユニオンの存在は知っていましたが、こうして活動をみると頑張っていますね。労働環境という意味では、特に権利主張することもなく、働かしてもらっているという状態の私は、諭吉さんに愚民と言われてしまいそうです。誰もが納得した形での公正な職場というのは、なかなか難しいものです。

現代語訳 学問のすすめ

福澤諭吉、齋藤孝 訳
『現代語訳 学問のすすめ』
筑摩書房
2009年2月10日
20090701 言わずと知れた名著ですが、実際手に取ったのは初めてでした。book diary600冊中ベスト3に入る名著です。福澤諭吉が一万円札の顔になるわけです。偉大な啓蒙家ですね。齋藤先生がせっかく文語体から口語体に訳されたわけですし、日本人は改めて読んでおくべきだと思いました。現代社会は、複雑なので言行一致した啓蒙というのが、なかなか難しいところですが、こういった見識を持った人物が現代にいれば、腐った日本も良い国になっていけるかもしれません。それにしても、冒頭の「天は人の上に人を造らず〜」は知っていながら、意外と中身を知らない人が多いし(私もその一人でしたが・・・)、小中高と国語や道徳なんかで読む機会があってもいいものなのに、、、と思います。
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