2008年10月

ビジネスマンのための「読書力」養成講座

小宮一慶
『ビジネスマンのための「読書力」養成講座』
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2008年9月15日
10.30 “読書は「目的」によって使い分けるべき”というのは共感です。ボクはあまり速読というものが好きではないですし(必要なときはしますけど)。普段の読書は、本書で云うところの通読レベル1ばかりですね。最初から最後まで普通に読む。論理的思考力を求める本は、あまり手を出しません。電車で集中して読むパワーがないので。専門書や論文は熟読レベルになりますが、BookDiaryに載せる本ではないに等しいです。通読レベル2とされている論点整理しながら考えて読むということもあまりないです。いい本は、そのくらいのパワーを使って読みたいですけど、何せパワーがありません。まあ、そんないい訳はせず、自分のためにも頭の良くなる読書をしてきたいものです。役立つ本がいっぱい紹介されているのも本書の魅力です。

ほんとはこわい「やさしさ社会」

森真一
『ほんとはこわい「やさしさ社会」』
筑摩書房
2008年1月10日
10.27 昔、精神科医の大平健さんの本なんかをよく読んでいましたが、それを思い出しました。対人関係に慎重にならざるを得ない今の社会には困ったものです。対人恐怖症とも言えるくらいに、相手を傷付けるのではないかという恐れを常に抱いて人と接し、ちょっとした注意にもキレられるんじゃないかと見て見ぬ振りをする。愛のムチならぬ、優しい厳しさが通じヅライ世の中、相手を追い込むような厳しい優しさは、どんどん強くなってます。対人関係について、本書にあった「結合定量の法則」は非常に頷ける内容でした。あと、人生の自己目的化(自己中心化)は、祖先への敬意と心の拠り所(ゆとり)を奪うものだと思いました。家や先祖を大事にすることはとても大切なことです。

すべての経済はバブルに通じる

小幡績
『すべての経済はバブルに通じる』
光文社
2008年8月15日
10.25 バブルの本質を論理的に解説した良書です。リスクに変質を起こし、膨張する金融資本主義を支える“証券化”の功罪を考えさせられる内容でした。これまでのバブルとは異なり、構造的な必然性を持って生じるリスクテイクバブル、そしてキャンサーキャピタリズム。合成の誤謬が支配する市場は、やはり常軌を逸してると思います。本書では、2007年2月末の上海発世界同時株安からサブプライムショック、そしてそこから続く世界同時株安スパイラルを2008年3月くらいまで詳細に分析検討されています。今思えば、リーマン破綻以前の暴落はかわいいもんだと思わされます。

下流大学が日本を滅ぼす!

三浦展
『下流大学が日本を滅ぼす!』
KKベストセラーズ
2008年8月20日
10.22 このベスト新書という新書は、どうも品がありません。新書yと同様に、週刊誌的なものを感じます。また、文章のなかで“バカ”という単語を連呼するんですよね、読んでいてあまりいい気がしません。と、そんな内容なのですが、当を得ている部分も少なくありません。大学の危機的状況は、かなり切実なものです。「今の大学教員はファミレスの店員みたいなもの」というのも関係者として笑えません。私大の入学者のうち一般入試が49.6%という数字には、少々驚かされました。今時、受験勉強して大学に入るというのは少数派なのですね…。個人的に、大学進学率は2割程度でいいと思ってます。大学の数も今の1/3でいいんじゃないかと…。

座右のニーチェ

齋藤孝
『座右のニーチェ』
光文社
2008年6月20日
10.18 Book Diaryちょうど500冊目。30までに1,000冊読もうと目論んでましたが、ムリっぽいです。さて、齊藤先生の本は久々でした。世間のくだらない文化に染まらず、自分をしっかり持って創造的に生きるヒントがいっぱいでした。ネットや週刊誌における嫉妬心や復讐心を露にすることを恥じない文化は、確かにどーしたものかと思うところです。ニーチェの言う「小さな人間」が多いのは確かです。まあ、人間とはそもそもそういうものだとも言えますが。あと、全く新しいアイデアなりを発表してもなかなか評価を受けず、予定調和のあるある感に満ちたものがウケるというのには、確かに頷けました。才能より意欲のほうが本質的な力という意見も同感です。

だれかに話したくなる小さな会社

浜口隆則、村尾隆介
『だれかに話したくなる小さな会社』
かんき出版
2008年9月19日
10.16 企業のブランド構築についての本です。現実は厳しいですが、いい内容でした。ブランドを持つと顧客、人材、情報、お金などが向こうからやってきてくれるのに対し、ブランドを持たないと顧客、人材、情報、お金などの獲得にいつも必死になっていなければならないと(しかもすぐ逃げられる)。ブランドを作るというのは「誠実であること」。誠実に、当たり前のことを、当たり前にこなすことだとするのは、大共感です。そして、ファンを作ることだとするのも大いに頷けます。誠実を忘れた“ズル賢い会社”なんて絶対大成しません。必ずしっぺ返しを食らうこと請け合いです。あとがきにある「大人という名札と交換に、捨てられる無邪気さ」も忘れたくないものだと思いました。

プロフェッショナルプレゼン。

小沢正光
『プロフェッショナルプレゼン。』
インプレスジャパン
2008年9月21日
10.13 ちょっと心に余裕がなくなってきたのか、読書量がガクンと減ってしまいました。字数も少なく、読みやすい本でした。プレゼンは説得ではなく、理解してもらう場というのは確かに的を射ています。あと、あくまでライブであるから、その場の空気にあわせた臨機応変な対応が必要というのもまさにそのとおりだと。そういう意味では、講義はまさにライブです。学生の理解を無視して計画通り進めても何も意味ないですからね。プレゼン同様、用意周到な準備が必要です。あと、謙虚に質問や意見に耳を傾けることは重要ですね。大抵、こちらの説明不足ですから。相手に反論しても意味はないです。
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