2008年09月

シンプリティの法則

ジョン・マエダ著/鬼澤忍訳
『シンプリティの法則』
東洋経済新報社
2008年4月24日
9.28 複雑なものを間違のない状態でシンプルにするのは至難の業です。本書では、シンプリティについて、10の法則と3つの鍵を用意してくれています。たった100ページの本ですが、かなり奥が深いです。この本は洋書なのに、なにかと日本の話が多かったです。日本文化は、シンプリティを体現していると言えるのかもしれません。あと、“マエダ”って言うくらいだから、著者は少なからず日系なのでしょう。教育について、人生について、少し考えさせられた1冊でした。

[非公認]Googleの入社試験

竹内薫
『[非公認]Googleの入社試験』
徳間書店
2008年7月31日
9.25 ホンモノかどうかはわからないわけですが、まあほとんど実際に使用されたものなんだと思います。フェルミ推定のような問題やユーモアを求める問題もありますが、ほとんどが超理数系の問題で、模範解答を読むのも投げ出す始末でした。さすがGoogleといったところです。この問題を楽しんで取り組める素養がある人はスゴイです。それにしても、企業側が求めている人材像が明確で受ける側にとっても納得のいく内容だと思います。この本を読んで数学の素養のなさをつくづく感じました。ある程度できないといけないよね…。

ひらめきの導火線

茂木健一郎
『ひらめきの導火線』
PHP研究所
2008年9月2日
9.22 新書が続いてます。やっぱ、新書は読みやすくていいです。日本人には、創造性・個性・独創性がないということろから始まり、そんなことはないよ、でも課題はいっぱいあるね、という本でした。日本のサブカルチャーは世界的にも戦えるようになってきてますが、ハイカルチャーはめっきりという指摘は頷けました。知性の試される総合科学・学問というものが、“専門”という名の下に等閑にされていると思います。あと、人文科学での閉鎖的な雰囲気と日本語という壁は厚いですね。ボクも英語が苦手なのでなんとも言えませんが…。

続ける力

伊藤真
『続ける力』
幻冬舎
2008年3月30日
9.20 司法試験の“伊藤塾”の塾長さんです。私にとって受験勉強は最も不得意とするものです。未だかつて勝利を手にしたことがありません。さて、受験勉強に限らず、「継続は力なり」です。ムリをせず、自分のペースで十分なモチベーションを保ちながら、生活に取り込んでいくことが秘訣だと思います。そういう意味では、カメさんペースながらも研究もこのBook Diaryも無理なくマイペースに続けているかもしれません。わかりやすい成功という結果に繋がるかはわかりませんが、自分にしか出来ないことができるようになるための何らかの肥しになっていると思います。本書では、伊藤さんの熱い志に触れられたことが一番よかったです。

凡人として生きるということ

押井守
『凡人として生きるということ』
幻冬舎
2008年7月30日
9.19 「イノセンス」や最近では「スカイ・クロラ」なんかを撮っていらっしゃる映画監督さんです。全体を通して、現代の日本の有様を批判的に語られています。共感する部分も多いですが、少し違和感のある主張もちらほら。基本的に、押井さん自身の経験をもとに人生観を述べられていると思います。ボクは、今の若者はサービスに徹した便利で楽しい「娯楽」と昔ながらの人としての「倫理」という大人が提供する二重基準に翻弄されていると思いました。映画監督という職業を通して、自分の表現したい、主張したいことを貫いている姿は、スゴイなぁと思います。

日本人の精神と資本主義の倫理

波頭亮、茂木健一郎
『日本人の精神と資本主義の倫理』
幻冬舎
2007年9月30日
9.17 いつも温厚に見える茂木さんが、怒れる人として語ってます。憂うべき日本の現状を遺憾なく批判されているように感じました。「サンダル突っかけているオバサンも100億円稼いだ資産家も、精神性において違いなどまるでないのが今の日本」であって、「ピアプレッシャー」+「大衆というバケモノ」が世の中をおかしな方向に導いているのだと思います。やはり今の日本人は、あまりに享楽的過ぎるのでしょう。「ノーブレス・オブリージュ」を持ちえた人を育むためには、何が欠如しているのか。ボクは↓の本なども含めて、ストーリーの欠如だと思います。行動の起点に、倫理感や信念が足りないのだと。

企業力とデザイン

ピエ・ブックス
『企業力とデザイン』
2008年7月20日
ピエ・ブックス
9.15 また、デザイン系です。日頃なんとなしに使ってるカフェや知ってる人なんかが出てきて、思いのほか楽しめました。↓も含めて、なにごとにもストーリーが大切だなぁと思わされました。形や結果だけでは、まだまだだと。もっと濃い思考で、ものごとに取り組む必要性を感じました。それにしてもこういう写真入りのキレイな本は高いです。↓もこれも¥2,500以上でした。専門書並みだ。

60VISION ロクマルビジョン 企業の原点を売り続けるブランディング

ナガオカケンメイ
『60VISION ロクマルビジョン 企業の原点を売り続けるブランディング』
美術出版社
2008年7月25日
9.13 主として60年代の廃番商品を「復刻し、販売し続ける」ということを事業としているのが“60VISION”です。単に復刻ということではなく、ブランドの整理・確認という過程を重視していらっしゃいます。本のなかで紹介されている商品は、どれも魅力的でステキなモノばかりです。そして、必ずどこかで見たことがある。マーケティングを起点とした既存の商品開発について、いろいろと考えさせられた1冊でした。ちなみに、本書を手に取るまで “60VISION”自体知らなかったです。

ウチのシステムはなぜ使えない

岡嶋裕史
『ウチのシステムはなぜ使えない』
光文社
2008年3月20日
9.11 正直、ヒドイ言われ様だと思いました。真面目にきちんと業務をこなしている方にしてみれば、許し難い内容でしょう。でも、それなりに思い当たる節もあるのは事実だと思います。まあ、その分改善していかなくてはならない問題が、余すことなく書き連ねられている気がしました。システム開発は本当に大変なものです。ましてや運用・保守は、もう…ね。筆者は“あとがき”で「自身がSEもどきだったから」と書かれています。きっと、現場で思うことが沢山あったのでしょう。

ゆらぐ脳

池谷裕二、木村俊介
『ゆらぐ脳』
文藝春秋
2008年8月10日
9.5 脳のこと、研究のこと、とても示唆に富んだいい本でした。特に研究に関しては、池谷さんの思っていることがありのままに書かれてあり、非常に勇気付けられました。また、「系統のなかの派生」だとか、「合理主義は非効率的」だとか、共感する部分が多かったです。所属していた研究室では、学部、修士、博士で研究テーマを変えなければならないとされていたということには、正直驚きました。普通は一貫したテーマでの研究を強いられますからね。でも、私はその方が様々な観点からモノを捉えることができるようになるし、何より発想の幅が広がるので、その後の研究にとって有用だと思います。研究には、幅広い知識(専門以外の知識)と俯瞰する力が必要です。

中国人のビジネス・ルール 兵法三十六計

梁増美
『中国人のビジネス・ルール 兵法三十六計』
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2008年6月15日
9.2 中国人の強かさは、筋金入りです。ましてや、ビジネスにおいては言うまでもありません。生き残るためには何でもありです。生ぬるい島国ニッポンと大陸の違いを感じます。本書は、そんな中国大陸の歴史から生まれた『兵法三十六計』が紹介されています。生き残るための術がわずか136字でまとめられています。私は『孫子』の“彼れを知り己を知らば、百戦殆うからず”を座右の銘にしていますが、『兵法三十六計』はそんな哲学的な内容ではなく、もっと生々しい処世術です。確かに的を射ていますが、倫理的にどうも受け付けないといった感じです。でも、そんな甘っちょろいことを言っていては、世の中渡っていけないんで、必要に応じて使うべきでしょう。
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