2004年11月

市民科学者として生きる

高木仁三郎
『市民科学者として生きる』
岩波書店
1999年9月20日
11.25 かなりクセのある方だということがひしひしと伝わってくる本でした。でも、その気持ちや考え方には共感します。しかし、自分に誠実であり続けることはそう簡単にできることではないです。高木さんのような市民科学者として生きるのはかなり難しいと思いますが、私自身かなり考えさせられるところがありました。研究が研究を呼ぶ世界にはまりこみ、何のための科学なのかということや人々に求められているものからどんどん離れていってしまうということが多々あると思います。まあ、そこから生まれてくるものもあるとは思いますが。う〜ん、難しい。

科学の目 科学のこころ

長谷川眞理子
『科学の目 科学のこころ』
岩波書店
1999年7月19日
11.24 この本を読んだのは先週なんですけど、更新できなかったんで。でも、確実に最近読む量が減ってますね。まあ、それはいいとして、著者が行動生態学の学者さんということで主に生物関係の話が多いです。あと、科学における過去の偉人の話ですね。振り返ってみると兎角いろいろな話があったように思います。感覚的な常識にとらわれないことの大切さ、つまりは科学の目によって見ることによって真実が見えてくるということですね(何かクドイ言い方)。人文・社会科学も自然科学も関係なく。

社会責任投資の基礎知識

秋山をね・菱山隆二
『社会責任投資の基礎知識』
岩波書店
2004年4月6日
11.13 貰い物の本のなかに、アクティブ新書が一冊紛れ込んでいました。内容は、書名のとおりです。最近、企業の不祥事のニュースが多いですが(いつでもあるとも言えますが)、このような不祥事などを起こす企業はSRIには入らないようになっているのでしょうね。SRIの基本は、企業の倫理、法令順守であり、その企業がいかに誠実に経営をしているかです。しかし、これは企業に限らず人として守るべきことでしょう。でも人間、欲に駆られて悪いことしがちですよね。

私の脳科学講義

利根川進
『私の脳科学講義』
岩波書店
2001年10月19日
11.11 ノーベル賞受賞者の利根川先生です。先生の歩まれた道や脳科学に関する内容もかなり面白かったですが、最後に収録されているインタビューがよかったです。科学者に必要なことは、楽観的であること。つまり、いろいろ難しいことがあっても滅入らない、諦めない人であって、そしてプライオリティがしっかりしている人だそうです。感銘。あと、頑張って研究し続ければ、いつか大きな発見ができると思い込んで、自分の心理をコントロールできることが大切だとも。人間プラス思考が大切ですね。まあ、勘違いや見当違いなプラス思考はダメだけど。

日本人のための英語術

ピーター・フランクル
『日本人のための英語術』
岩波書店
2001年11月20日
11.9 本棚をよく見たら英語に関する新書がまだありました。ということで早速読んでみました。この本は易しい内容だったのでとてもよかったです(私の英語レベルでは)。数学者かつ大道芸人といったあのピーターさんがこんな本を書いているとは。日本人の完璧主義や寡黙なところが英語を話すのにかなりマイナスだというのは的を射ていますね。内容は、日記の勧めや英単語のゲームなど。英語が苦手な人にお薦めです。

若きウェルテルの悩み

ゲーテ作/竹山道雄訳
『若きウェルテルの悩み』
岩波書店
1951年4月25日
11.6 よかったです。『修業時代』や『遍歴時代』と比べて精神的なレベルとしては低い内容ですが、青年のもつ複雑な心がよく表されていると思います。最後に解説がついていますが、こっちのほうが意外に面白かったような気もします。どうも私は途中に出てくる挿話が苦手です。私の脳みそはそんなに柔らかくないんで。ゲーテがこれを書いたのが25歳。納得です。歳とってこんな話を書いていたら、未練がましいし、ちょっとどうかとも思います。本人が読み返したくないのもよく分かる。『修業時代』や『遍歴時代』は、青年が見る世界なんかより桁外れに広く、内容も深いです。

きょうのできごと

柴崎友香
『きょうのできごと』
河出書房新社
2004年3月20日
11.3 映画を観たので原作を読んでみました。日テレ系列のニュースではありません。映画を観て原作を読むこと自体が初めてでした。こういう本を読むのも。別にこの映画が凄くいいということでもないですけど。何が起きるわけでもない平凡な映画です。個人的にはこういうの好きなんですけど。ハリウッドみたいなドッカンドッカンやるのよりは。原作も映画と基本的には変わらないというかほぼ同じでした。台詞まで。壁に挟まれた男と鯨の座礁がないだけで。最近観た映画で面白かったのは、“恋の門”かな。“茶の味”もよかった。あと、“笑の大学”が観たい。

武士道

新渡戸稲造著/矢内原忠雄訳
『武士道』
岩波書店
1974年11月18日
11.1 今日から新札が流通し始めて、新渡戸稲造の5千円札は消えていく運命ですが、『武士道』は日本人が忘れてはならない素晴らしい精神が詰まって消えることのない名著でしょう。昨今の世知辛い世の中では、武士道精神を育むこと自体が困難ともいえますが、だからこそこういう人間として生きていきたいですね(切腹はなしですけど)。斯くも今の日本は、精神的に崩壊してますから。メディアを中心に誠意のないものが多過ぎます。結果やお金も大事ですけど、もっと大切なものがあるはずなんです。
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