文系ビジネスマンでもわかる数字力の教科書

久保憂希也
『文系ビジネスマンでもわかる数字力の教科書』
大和書房
2010年9月20日
IMG_3046 どうも相変わらず本を読みません。困ったものです。久々の休日にサクッと読んでみました。大変読みやすい本で、簡潔に本質を突いているのでお勧めです。数字の魔力については、読みやすい会計系の本でよく書かれてありますが、合理的な意思決定に数字力がモノを言うのは間違いないです。アンカリング、パレートの法則、ランチェスターの法則、ハインリッヒの法則、組織バス1台の法則など、簡易かつ重要な法則も多く紹介されています。仕事、学校、日常の生活においても、数字力を身につけておくこと、有意義な日々を過ごすことが可能になるでしょう。もちろん、感性も重要であることは言うまでもありません。

複式簿記のサイエンス−簿記とは何であり、何でありうるか−

石川純治
『複式簿記のサイエンス−簿記とは何であり、何でありうるか−』
税務経理協会
2011年4月1日
IMG_2738 石川先生の新著、『税経通信』の連載をまとめたものです。一般的に簿記というと、簿記検定とか税理士試験、会計士試験といった検定簿記、受験簿記がメインで扱われ、学問としての簿記は、大学の講義であっても触れられることはあまりありません(私の講義も同様)。いつも残念に思っているのですが、本書はそんな気持ちを晴らしてくれる大変いい内容になっています。常識や通念にとらわれずに、一般的なテキストに書いてある簿記を相対化することで、純粋に簿記の本質、計算構造を分析、解説されています。複式簿記の科学性は大変高く、その可能性は想像以上のものであることがわかってもらえる良書です。簿記を学んでいる方には是非手に取ってもらいたい1冊です。

複眼思考の会計学−国際会計基準は誰のものか−

田中弘
『複眼思考の会計学−国際会計基準は誰のものか−』
税務経理協会
2011年2月1日
IMG_2559 また1カ月経ってしまいました。例によって、上京の新幹線での1冊となりました。読み始めたのは結構前な気がしますが…。田中先生の本は、発刊される度に読んでいますね。個人的に共感する部分が多いからかな。本書は、税経通信の連載をまとめたものです。会計のあり方については時価だの原価だの、資産負債アプローチだの収益費用アプローチだの賛否両論ありますが、田中先生は一貫して原価主義会計を主張されている論客です。そして、いつも通り、時価会計、コンバージェンス(アドプション)に懐疑的な内容になっています。最後の方は会計職に関する話(主に税理士)になっています。目指されている方は、参考になるかもしれません。

法人税が分かれば、会社のお金のすべてが分かる

奥村佳史
『法人税が分かれば、会社のお金のすべてが分かる』
光文社
2009年11月20日
IMG_2215 読もう読もうと思っていて放置していた1冊。今回は機内で。長距離移動時にはやはり読書です。法人税の本としては、真っ当かつ読みやすい内容です。巷のいかさま節税本を読むのであれば、こちらを読んだ方がいいと思います。ただ、会計本の悪いところですが、やはり少し知識がないと読みづらいかもしれません。普段、簿記や会計の授業では、どうしても形式的な話(「これはこうです」みたいな)ばかりになって、実務的なところまで踏み込めないし、そもそも実務を知らないし、というもどかしさがあるのですが、授業内でのちょっとしたネタの宝庫とも言えそうです。付随費用の損金算入のタイミングなんてのも正直考えも及ばないのは、想像力の欠如ですね。いやはや勉強せねば。

バランスシートで考えれば、世界のしくみが分かる

高橋洋一
『バランスシートで考えれば、世界のしくみが分かる』
光文社
2010年12月20日
IMG_2173 また、新幹線内での1冊。もう新幹線移動のときくらいしか読書をしていないですね…。改札内の本屋で購入しました。内容は、バランスシートを使って、金融絡みの事柄の本質を見ていくというものです。少なからず簿記を知っていないとちょっと難しいんじゃないかと思います。最初のバランスシートについての説明がちょっと不十分な感が否めません。分析は、統計数値に基づいたかなり正確なもので、的を射ているものだと感じました。物事の本質を見るという点については、政治家、学者の認識の甘さを痛烈に批判されています。そういう意味では、かなり痛快な内容でした。こういう指摘ができるようにならなければ。

テレビの大罪

和田秀樹
『テレビの大罪』
新潮社
2010年8月20日
IMG_1986 帰阪の新幹線で途中になっていた本を読了。この2カ月は、新幹線でしか本読んでないな…。ということで、2011年の1冊目は久々の和田先生の本からです。衆愚政治を主導しているのは、マスコミであり、その最たるものがテレビでありましょう。本書は、テレビをとことん悪く言い連ねています。国民の命を奪い、冤罪を生み、医療崩壊を招き、教育を損ない、地方を殺し、格差を広げ、高齢者を貶めるテレビとして。私見としては、テレビや各種報道等のあり方が、認知のゆがみ(選択的抽出、読心、縮小視、過度の一般化、すべき思考、レッテル貼り、単純思考)を生み出していることに問題があるかなと思います。二分割思考や属人思考の強まりを肌で感じますね。認知的複雑性が大切です。

導入前に知っておくべきIFRSと包括利益の考え方

高田橋範充
『導入前に知っておくべきIFRSと包括利益の考え方』
日本実業出版社
2010年6月1日
DSC06949 今月も1冊も読んでいないという怠惰っぷり。帰省の新幹線でとりあえず2冊。読みやすそうだなと思い購入していた中大の高田橋先生の本です。世間で大騒ぎなIFRSですが、専門家らしく客観的にその背景や内容を解説されており、また内容は明解でわかりやすく、非常にいい本だと思います。IFRSに興味のある方には是非読んでもらいたい1冊です。この本1冊でも世の中に蔓延しているIFRSの誤解が少なからず解消されるのではないかと思います。基本スタンスをきちんと知ることはとても大切です。会計の専門家(少なからずそうでしょう)になって思うことは、新聞やビジネス誌で囃し立てていることがいかに薄っぺらくて、欺瞞に満ちたものなのかということです。きちんとした方の意見を聞くことほど勉強になることはありません。

だれでも一流講師になれる71のルール―仕事が殺到するセミナー講師の秘訣―

茅切伸明
『だれでも一流講師になれる71のルール―仕事が殺到するセミナー講師の秘訣―』
税務経理協会
2010年3月25日
DSC06950 会計大学院協会のニュースレターに広告が載っていたのがきっかけで購入してみた本です。一応、教壇に立っている身ですし、ちょっと興味本位で。内容は先生というより、セミナー講師として売れっ子になるためにはどうすればいいかというものです(教員とは明らかにジャンルが違います)。よくあるHow to本ですね。講師派遣会社なんてのもあるんですね。登録してみよっかなぁ、なんて。

35歳の幸福論 成熟社会を生きる12の戦術

藤原和弘
『35歳の幸福論 成熟社会を生きる12の戦術』
幻冬舎
2010年8月27日
DSC06742 忙しさにかまけて、全く本を読まない日々が続いています。とりあえず、月に一冊読まないのはマズいと思い、読みやすそうな本を一冊。上京の際に、新幹線でサクッと読んでみました。著者は、民間から杉並区立和田中学校の校長を勤めたことで有名な藤原さんです。内容は藤原さんの人生観というか、こんな生き方(哲学)はどうですか?といった提案です。共感はしますが、藤原さんの提唱するダイヤモンド・アップルは、ボク的にはイマイチな感(よくまとまっているとは思います)。個人的には後半がおもしろかったです。正解をいくら言い当ててもチカラはつかない、正解が一つではない不確かな世界で、自分なりに納得できる「解」を見つけることが大切というのは、そうですね。あと、宗教的に生きるという部分で「感謝」と「畏れ」の感覚について触れられていますが、これは非常に重要だと思います。私自身、特定の宗教を信奉しているわけではないですが、この感覚は正しく生きるために不可欠です。どっかで、表参道ヒルズ地下のPASS THE BATONが紹介されていました。単なる雑貨屋だと思っていましたが、コンセプトを知るともう少しゆっくり見てみたいなと思いました。

衆愚の時代

楡周平
『衆愚の時代』
新潮社
2010年3月20日
IMG_1380 読み終えてから、かなり時間が経ってしまったので、正直内容をあまり覚えていません。タイトルから推測すれば、国民がバカになった、もっと常識に照らした振る舞いをしなくてはならないといったものだったと思います。特に、メディアで取り上げられる内容やアホなコメントをするコメンテーターの言うことを鵜呑みにしてしまうところがよろしくないといったことでしょう。もっと常識的な、子供が判断できるくらい当たり前の基準で、冷静にものごとを見る力を持たなくてはならないということです。まあ、確かに世間はメディアに流され過ぎだとは思いますが、今も昔も変わらない気がします。ただ、情報技術が発展して、少なからず真実に近い情報(まともな意見)にも触れやすくなったとも思います。

ぶれない人

小宮一慶
『ぶれない人』
幻冬舎
2010年7月30日
IMG_1252 小宮さんの本は巷に溢れ返っていますが、意外と読んだものは少ないです。検索してみると今まで2冊でした。「ぶれない」というのは非常に大切なことで、芯を持った人というのは言動に一貫性があり、信頼に足る人だと思います。これは接していれば、自然とわかるものです。そして、ぶれないようにするためにはどうすればいいのかと言えば、やはり『論語』などの古典に語りつくされていると思います。本書にもあるように「お金儲けをしようとする人ほど、お金儲けすらできない」はずで、「お金を稼げるくらいに良い仕事をしよう」という意識が肝要です。信念を貫き通せる人は、必ず成功します。正しいと信じる道は、迷わず歩み続けてほしいものです。

就活のバカヤロー 企業・大学・学生が演じる茶番劇

石渡嶺司、大沢仁
『就活のバカヤロー 企業・大学・学生が演じる茶番劇』
光文社
2008年11月20日
IMG_1229 前々から存在は知っていましたが、下世話な感があって手を出していなかったのですが、学生の就活支援もありますし、ちょっと読んでみるかと思い購入。本来の目的からどんどん離れていく就職活動、他もやっているのでという形式主義が歪めている根本なのでしょう。これは就活に限らず、社会制度全般に言えることだと思います。悪しき慣習は社会の活気を奪っていきますね。個人的に、面接はいかに自分をさらけ出すか(いい意味で)ですよね。異常なほど取り繕ってもいいことないと思います。本書の内容は、“おわりに”部分に集約されていますね。とにかく就活が気持ち悪いと。

モレスキン「伝説のノート」活用術 −記録・発送・個性を刺激する75の使い方−

堀正岳、中牟田洋子
『モレスキン「伝説のノート」活用術 −記録・発送・個性を刺激する75の使い方−』
ダイヤモンド社
2010年9月9日
IMG_1191 モレスキンは、3,4年前から愛用しています。個人的には、スケジュール+ノートがお気に入りです(ノート部分がもう少し多ければもっと使いやすいのですが)。あと、定番のプレーンノートブック。ここに紹介されている使用方法をそのまま真似る気は毛頭ないのですが、どんな編集方法があるのか気になって購入。多くの使用方法が紹介されていて、なかなか面白かったです。よく、誰かがプロデュースした「○○手帳」のようなものがありますが、やはり自由に使えるモレスキンがいいですね。読んでいて、どんどんメモしてクリエイティブな毎日を過ごすことを想像して楽しくなりました。

BARレモン・ハート 会計と監査

日本公認会計士協会(監修)
『BARレモン・ハート 会計と監査』
日経BP社
2004年8月23日
IMG_1164 こないだPART?を読んで面白かったので、買ってみました。この本も大変よくできた内容です(マンガです)。これほど会計士の仕事をわかりやすく正確に、かつ、ある程度の水準をカバーしたものはないでしょうね。監査さん、松ちゃん、メガネさん、マスターも私の中でかなりお馴染になった感があります。まだ読んでいない方には、ぜひ読んでもらいたいですね。

国際会計基準(IFRS)はどこへ行くのか −足踏みする米国・不協和音の欧州・先走る日本

田中弘
『国際会計基準(IFRS)はどこへ行くのか −足踏みする米国・不協和音の欧州・先走る日本』
時事通信出版局
2010年9月1日
DSC06646 2004年の『不思議の国の会計学』以来、久々に田中先生の本。いつもと同様、大変面白く読めました(多分に穿った見方という点でも)。時価主義反対論者の先鋒とも言える田中先生のIFRS批判です。内容は、副題が非常に簡潔に示しています。磯山さんの『会計基準戦争』とあわせて読んで頂くと会計に関する興味が沸いてくるのではないでしょうか(ただし、ワイドショー的な感覚で)。巷で騒がれているIFRSを丸飲みしない観点を得るという意味では有用だと思います。大変読みやすいので読んでいない方は、既刊の『時価主義を考える』『時価会計不況』『不思議の国の会計学』もお勧めです。

拝金

堀江貴文
『拝金』
徳間書店
2010年6月30日
IMG_1121 堀江君のRT攻撃に負け購入。自伝的小説なんでしょう。面白く読めますけど、良い子は読んじゃダメってな感もあります。あまり真に受けて拝金主義者になってもらっても困りますからね。良くも悪くもカネを中心に世の中回っていますが、カネや権力を中心に物事考えてしまうと歪んでしまいます。人の心は弱いものです。溢れる欲をどうコントロールするかは、なかなか難しいものです。相変わらず日本社会は混沌としていますが、世の中がいい方向に向かうように欲を発散して頂けるといいですね。欲望の世界を「突き抜ける」って、一体どんな感じなのでしょう。

わかったつもり 読解力がつかない本当の原因

西林克彦
『わかったつもり 読解力がつかない本当の原因』
光文社
2005年9月20日
IMG_1095 サラーっと読んで、わかったつもりになるというのは日常茶飯事です。深く読むことをあまりしない自分にとってはかなり自戒的な内容でした。ただ、論文のような超論理的な文章については、わかったつもりで読み進めてはいけませんね。そこは書く方も読むほうもキッチリしていかないと解釈は人によって異なるでは済まされません。昔からあった国語の読解問題に対する答えが一つしかないという違和感について、筆者が述べている見解にはとても共感しました。最後の国語教育に対する提言は、その通りだと思います。世の中には、速読というものがありますが、これはわかったつもりの典型になるのかと少し思いました。何でもかんでも熟読は難しいですし、ポイントをしっかり掴んでいればいいのでケースバイケースですが。

BARレモン・ハート 会計と監査 PART2

日本公認会計士協会(監修)
『BARレモン・ハート 会計と監査 PART2』
日本公認会計士協会出版局
2010年7月6日
IMG_1055 学生の頃からその存在は知っていましたが、絵がビミョーなので読む気になれなかった会計士協会が作成している『BARレモン・ハート』。お勧めというコメントをチラホラ目にしたので、手に取ってみました。評判通り、思っていた以上によくできていました。読みやすいし、わかりやすいです。公認会計士の宣伝として、大変結構な内容です。公認会計士を目指そうと考えている学生さんは一読をお勧めします。マンガですし、すぐ読めます。私も“監査さん”くらいわかりやすく説明してあげられるといいなぁ。

ゆるい生き方 ストレスフリーな人生を手に入れる60の習慣

本田直之
『ゆるい生き方 ストレスフリーな人生を手に入れる60の習慣』
大和書房
2010年6月5日
IMG_1046 気付けば、『レバリッジ・リーディング』や『なまけもののあなたが〜』と本田さんの本、かなり読んでいるみたいです。日々追われてストレスを抱えている方は、こんな考え方もあるんだと気軽に読んで頂くといいかもしれません。ただ、行き過ぎな部分もあります。筆者は1年の半分をハワイで過ごされるそうですが、確かにそういうゆっくりした世界に身を置くのは悪くないです。みんながピリピリしている空気が伝染する環境に四六時中さらされているとおかしくなりますからね。効率化すればするほどストレスになるというのもわかります。プライベートでは白黒をつけない、トレンドに翻弄されない、というのは大事ですね。ただ、本書にあるお土産を買わない、年賀状を書かないというのは、なんか極端な気がしましたね。まあ、私自身、お土産は買わない人ですけど。

一流たちの修業時代

野地秩嘉
『一流たちの修業時代』
光文社
2010年7月20日
IMG_1007 同日付発行の光文社新書が続きます。修業時代と言うと『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』を連想させますが、よくある敏腕経営者のインタビュー集です。この類の本は、好きでよく読みますが、エリートコースまっしぐらな方がいないのが魅力です。それぞれの方がそれぞれに苦難な道程を経て、今があるというのはとても勇気付けられます。共通点を見出すとすれば、諦めずに続けてきたことである気がします。継続は力なり。日々、芯をもって、事に当たりたいですね。

一億総ガキ社会 「成熟拒否」という病

片田珠美
『一億総ガキ社会 「成熟拒否」という病』
光文社
2010年7月20日
IMG_1007 久々に精神・心理系の本を読みました。面白かったです。「成熟拒否」を象徴する「打たれ弱さ」「他責的傾向」「依存症」という3つの問題を分析されています。端的に言えば、大人になれない人が多くなったとの分析です。「もっとできる」はずのイメージ上の自分と、「これだけでしかない」現実の自分の落差を受け入れられない、万能感の喪失、「断念」を受け入れられない人が増えているということです。「挫折に挫折を繰り返し、親の期待とも折り合いをつけながら、自らの卑小さを自覚していく過程」、「自己愛の傷つきを積み重ね、万能感を喪失していくことによって、初めて等身大の自分と向き合えるようになる」、つまりは、自らの立ち位置を認識する、“身の程を知る”ということができていないと。そのなかで依存症を取り上げ、典型的な例として「アメリカ人は朝、目覚めると興奮剤を飲んで気合を入れて出勤し、悲しみは抗うつ剤、怒りは精神安定剤で鎮め、バイアグラでセックスし、睡眠薬を飲んで寝る。今の精神状態が自然なのか、薬物で作られたものなのか分からなくなっていく」という話が挙げられていました。著者の「人があまり死なず、規範から解放された自由な社会、おカネさえあれば欲しいものが手に入る消費社会の副作用」との分析は同感です。

学者のウソ

掛谷英紀
『学者のウソ』
ソフトバンク クリエイティブ
2007年2月26日
IMG_0963 初ソフトバンク新書です。なかなか読み応えがありました。改めて、世の中詭弁だらけだなと感じました。マスコミの常套手段として、誰もが納得する理念を前面に出し、反対する者に悪人のレッテルを貼るという封じ込め論法には注意しないといけません。世の中には、そうしたものから生まれた変な制度が多いですし、既得権益を守るために仕組まれていることが少なくないです。その点については、確かに可逆性テストが判断材料として優れていると思いました。エリートの堕落についても、かなり批判されていましたが、同感です。現在の科学が科学性を取り戻すためには、非線形性をどう捉え、処理するかが重要ですね。あとがきにあるとおり、真の主題は倫理問題であったように感じました。ただ、著者の主張する言論責任保障や先見力検定が成功するかは、謎です。

ペンギン・ハイウェイ

森見登美彦
『ペンギン・ハイウェイ』
角川書店
2010年5月30日
IMG_0937 久々のモリミー。森見さんの小説は、読みやすいし、自分にフィットするので好んで読んでいます。今回は、大学生ではなく小学生が主人公というところがいつもと違いますが、研究熱心な主人公と、好意を寄せる不思議な女性という登場人物は不変。小説を読むあたり、少し心に余裕が戻ってきているかなという今日この頃。楽しませてもらいました。

これからを生き抜くために大学時代にすべきこと

許光俊
『これからを生き抜くために大学時代にすべきこと』
ポプラ社
2010年3月18日
IMG_0796 大学1年生に、大学生活をどう過ごしてもらうか、どんなことを伝えればいいか、と考えていた春に購入していた本です。パラッと見ていたのですが、今回サラッと完読してみました。大学教員が言いたいことがすべて語られているような内容です。「そうだそうだ」と思いながら目を通しました。日々の指導にちょっとお疲れなこの時期に、少し勇気をもらったような気もします。本書で書かれていることくらいのことを意識して、大学生活を送ってもらいたいと願わずにはいられません。

会計HACKS!

小山龍介、山田真哉
『会計HACKS!』
東洋経済新報社
2010年4月29日
IMG_0784 〜HACKS!という本は、いっぱいありますが、その会計バージョン。多くのHACKS本を書かれている小山さんとさおだけ屋〜の山田さんの共著になっています。発想としては面白い内容が多いのですが、実用的かどうかと言われれば謎です。無理やりHACKS!な感がありました。知らぬ間に使っているラテマネーなんかの意識付けとしては、よい内容だと思います。副題の「楽しんで資産を増やすお金のコツと習慣」のとおり、本書のハックを実践すれば、お金も貯まりそうですが、現実は厳しそうですね。こういうのはその人の性格によります。

国際会計基準戦争【完結編】

磯山友幸
『国際会計基準戦争【完結編】』
日経BP社
2010年4月26日
IMG_0738 またもや1ヶ月ぶりの更新。こんなに本を読まないのは残業続きのサラリーマン生活以来。結構、余裕なっしんな日々です。さて、本書は2002年の『国際会計基準戦争』の続編です。学術書や新聞にはないドキュメンタリーなタッチがたまりません。会計基準にまつわる方々の人物像にも迫れて、読み応えがあると思います。特に簿記会計の細かい内容に立ち入るものではないので、誰にでも面白く読めると思います。特にIFRSに興味のある方には。おすすめです。

変わる会計、変わる日本経済

石川純治
『変わる会計、変わる日本経済』
日本評論社
2010年4月20日
IMG_0610 実に1カ月ぶりの更新。通勤読書がほとんど皆無状態です。石川先生の本は、会計学を知らないと少々難しいかもしれませんが、実に充実した内容です。新聞記事などのトピックをここまで会計学的に説明してくれる人は、石川先生以外にいないと思います。そして、自分の見識のなさを痛感します。現代経済に翻弄され、問題が山積している会計学。理論と政策の狭間で苦悩する会計学。いろいろと考えさせることが多いです。こんな本が書ける学者になりたいですね。会計学徒には、是非読んでもらいたい1冊です。

学びのティップス

近田政博
『学びのティップス』
玉川大学出版部
2009年11月30日
IMG_0431 玉川大学出版部の高等教育シリーズの1冊。3月に読んだティップス先生同様、大学での学びに関する本です。本書は、1年生向けに大学ではどのように学ぶのかを解説したものです。まあ、大学生がこれを読むとはあまり思えないのですが、一応心構え的な感じで読めば少しは意味があるかもしれません。個人的には、大学で勉強する前に『学問のすすめ』を読んでもらいたいと切に思います。齋藤先生の現代語訳がお勧め。

現役大学生による学問以外のススメ 実在学生21人による「学外活動」ドキュメント

「学外活動」出版プロジェクト
『現役大学生による学問以外のススメ 実在学生21人による「学外活動」ドキュメント』
辰巳出版
2007年3月10日
IMG_0363 1回生に読んでもらおうと思っている本。指定したくせに、今読了。面白かったです。何事にも本気で全力で取り組むことが大切。そして、挫折も大切です。環境や過去のせいにして動かなかったら何も変わりません。自分と違う道を歩む人を理解しない人もいますが、やらずに否定するのはよくない。環境が変われば人は変わるし、人が変われば環境も変わるものです。第一、やりたいことなんて、そう簡単に見つかるものではありません。結果を追い求めるのではなく、原因を作り続ける、これが重要。学内での勉強も学外活動も本質的には一緒です。学外で学んだことは、必ず大学に同じものがあるもんです。実践してから戻ってくると、そこには理論がある。一度社会に出て、学びなおす時の吸収力の違いはここにあると思います。これからの方には、頑張ってもらいたいです。

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

岩崎夏海
『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』
ダイヤモンド社
2009年12月3日
IMG_0298 萌え系の表紙なので、かなり躊躇いましたが購入。山田先生の『女子大生会計士事件簿』や『会計探偵クラブ』、林先生の『餃子屋とフレンチでは〜』と同じ感じで、面白く読み進められると思います。サラッと読めてしまうはずです。ドラッカーは、正直読んだことないんですけど、経営者や一般のビジネスマン、経営系の学生に限らず、誰でも何かしらの組織に属して社会生活を送っているはずなので、一読しておいて損はないと思います。内容としては、「いかに愛想がよく、助けになり、人付き合いがよかろうと、またいかに有能であって聡明であろうと危険である」という部分に考えさせられました。真摯さが大切。著者が日野出身で、舞台となる高校が程久保高校というのは、親近感がわきました(昔、9年ほど日野市程久保に住んでいたので)。

決算書はここだけ読め!

前川修満
『決算書はここだけ読め!』
講談社
2010年1月20日
IMG_0237 試算表から構造を理解するというのが、本書の特徴だと思います。内容は、極めてシンプル。誰でもサラッと読めると思います。最近は、随分と減ってきましたが、巷の会計本は、やはり作り手の内容が多いです。決算書を読むだけなら簿記の知識は特にいりません。読み手に必要な知識は、基本的な構造を押さえることでしょう。細目は見ず、まずは全体をパッと見で把握することが大切です。本書で興味深かったのは、「減点思考の弊害」という部分。一字一句間違いのない解答をする癖のついた日本人は、減点されないように、細心の注意を払うのが習性になっているという指摘です。英語教育がまさにそれを物語っています。ちょっとしたことでも、真っ先に自分の知識が乏しいことに意識が移り、細かい部分も気にして、懸命に知識不足を克服しよう、減点されないようにしようと意識してしまう。この習性だと、なかなか前に進めませんよね。

ご冗談でしょう、ファインマンさん(下)

R.P.ファインマン 著/大貫昌子 訳
『ご冗談でしょう、ファインマンさん(下)』
岩波書店
2000年1月14日
IMG_0225 ここのところ読書が滞っていました。1か月ぶりに読み終えたファインマンさん下巻、上巻と同様に面白く読めました。特に、カリフォルニア工科大学の卒業式式辞のカーゴ・カルト・サイエンスの話は、貴重な内容でした。“徹底的な誠実さ、己をごまかすことのない潔癖さ”、“研究をするうえで、細心の注意を払う努力を怠るなら、一時的な名声や興奮は得られても、科学者としては決して尊敬されない”。肝に銘じておく必要がありそうです。あと、専門家の報告を鵜呑みにせず、自分でちゃんと確かめるというのは、大量の情報にさらされた現代社会において、すべての人が注意すべき事柄だと思います。

民法大改正 ビジネス・生活はどう変わる?

浜辺陽一郎
『民法大改正 ビジネス・生活はどう変わる?』
日本経済新聞出版社
2010年2月16日
DSC05701 読みやすそうな本から内容を探ろうと思い購入。最初のほうの理念や方向性は面白く読めましたが、具体的な部分は興味のある部分以外、集中力が切れて、きちんと読めませんでした。これだけ平易な形で書いてあるのに、法律は読むのに一苦労。1896年制定以来、基本的な骨格を引き継いだままの民法の現代化は、確かに必要不可欠です。一般的な人が読んで、誤解しない内容にしてもらいたいものです。それにしても、商法は会社法制定、民法改正で、かなり量や重要度が低下していますね(あくまで相対的にです。重要でないわけではありません)。それにしても本を読む余裕がない。

成長するティップス先生 −授業デザインのための秘訣集

池田輝政、戸田山和久、近田政博、中井俊樹
『成長するティップス先生 −授業デザインのための秘訣集』
玉川大学出版部
2001年4月15日
DSC05700 余裕がないせいか、BookDiaryの更新が止まっている今日この頃。読んでおきましょうと送付されてきた本を早速読んでみました。表紙、タイトルともに微妙ですが(ティップス先生は、もぐらでしょうか?)、中身はとても良かったです。大学教員向けに、こんなにわかりやすくて良質の本があるなんて正直思いもしませんでした。堅苦しくなく、簡易でわかりやすい上、構成もよく、非常に洗練された内容だと思います。まるで自分の心のつぶやきを見ているようでした。授業を受ける学生も大変ですが、講義する教員もなかなか苦労が絶えません。新年度から心を新たにして臨もうと思います。

ご冗談でしょう、ファインマンさん(上)

R.P.ファインマン 著/大貫昌子 訳
『ご冗談でしょう、ファインマンさん(上)』
岩波書店
2000年1月14日
DSC05678 ↓にお勧めとあった1冊。1965年にノーベル物理学賞を受賞したリチャード・ファインマンの自叙伝です。かなり面白く読めました。興味のあることにトコトンな姿勢は、科学者に必要不可欠の素養だとつくづく思いました。知識をきちんと理解して、実際にあてはめて使うことの少なさ。「知っていること」を知らないということが、どれだけ多いことか、考えさせられました。あと、「教える」ことは、少しでも世の中に役に立っているという心の支えというのは、共感です。ただ、社会に役立つ発明を、と言われても途方に暮れますし、進まないときには罪悪感にかられるものです。

大人げない大人になれ!

成毛眞
『大人げない大人になれ!』
ダイヤモンド社
2009年11月19日
DSC05653 MSの元社長さんです。結構、独りよがりな持論だと思いますが、これも“大人げない”の一例なのでしょうか。あまりに自由奔放過ぎるのも困りものですが、人が子供っぽさに魅力を感じるのは確かにそうだと思います。得てして、オトナはつまらない。とか言っている自分は、かなり保守的な人間です。でも、生来大人げない人です。そんな自分を抑え続けて生きています(みんなそうか)。何かを起こすためには、偶然の力を引き寄せるざっくばらんさが必要です。良いも悪いも含めて個性であり、いいとこだけの人間なんて胡散臭過ぎる。もっと自由に生きたほうがいいのかなって思いました。最後に、昔からの強く憤っているんですけど(世の中の仕組みとしてはしょうがないのですが)、他人と同じ尺度で評価されるのは、我慢なりません。

幕末維新を「本当に」動かした10人

松平定知
『幕末維新を「本当に」動かした10人』
小学館
2010年2月6日
DSC05646 「その時歴史は動いた」を模したタイトルだと、松平さん。坂本龍馬、高杉晋作、小栗上野介、近藤勇、土方歳三、大村益次郎、榎本武揚、篤姫、和宮、岡倉天心の10人のエピソードです。岡倉天心は?ですが、まさに幕末維新の魅力ある人物が並んでいます。長州人でもある私は、もちろん幕末維新に熱いです。非常に楽しく読ませて頂きました。30を目前にして、30前後の短い生涯のなかで、維新を成し遂げた志士の姿をみると勇気と共に焦りさえ感じてしまいます。いい大人が言うことではありませんが、自分は何がしたいのか、自分は何をするべきなのか、自分は何ができるのか、考えさせられます。

会計探偵クラブ

山田真哉
『会計探偵クラブ』
東洋経済新報社
2010年2月11日
DSC05628 2年ぶり?「女子大生会計士の事件簿」が「会計探偵クラブ」になって帰ってきました。今回のシリーズのテーマは税金。財務会計や管理会計のような、企業が主たる対象となるものではなく、誰もが関わっている会計領域です。私自身、税金について考えるのは確定申告のときくらいです。でも、重要過ぎるほど重要。しかし、体系的に学ぶには、あまりに膨大な領域でもあります。ちょっと税金について知りたい方には、とてもいいと思います。いつも通り、サクッと楽しく読める内容となっています(相変わらず多分にベタですが)。続編を気長に待ちます。

近頃の若者はなぜダメなのか 携帯世代と「新村社会」

原田曜平
『近頃の若者はなぜダメなのか 携帯世代と「新村社会」』
光文社
2010年1月20日
DSC05608 若ぶるつもりはありませんが、少なからず自らの感覚にかなり近いと思いました。“新村社会”とは、よく言ったもので、確かに一昔前と違って、今の若者はものすごく日本的です。空気がすべてと言っても過言ではありません。しかも、情報通信の発達によって、巨大なネットワークに組み込まれ、コミュニケーション能力も明らかに上がっています。しかし、調べものは検索で済ませ、図書館などでの魅力的な本との出会いを失っているというのは、先日読んだ『偶然ベタな若者たち』そのものです。体験もせず、情報を鵜呑みにして、わかった気になって行動しないといった、本書で言うところの既視感は、かなり危うい気がします。あと、下流化する上流も。それにしても、PCよりも携帯で打つ方が、速いしラクというのは、かなりカルチャーショックでした。

『論語』でまともな親になる 世渡りよりも人の道

長山靖生
『『論語』でまともな親になる 世渡りよりも人の道』
光文社
2009年12月20日
DSC05583 最近、『論語』の本が多い気がします。昨今の強欲資本主義に対して、道徳を大事にしようというアンチテーゼなのでしょうか。自らを省みるのには、最適の教材です。ちょっと長いですけど、戒めにメモしておきます。「君子固より窮す。(大志を抱いて、自分のことよりも天下万民のことを思い、真実のために尽くそうとしているのだから、君子が物質的に困窮するのは、むしろ当然。)」、「子曰はく、古の学者は己の為にし、今の学者は人の為にす。(同じく道理を探求しようとしているとしても、昔の学者は、自分を高めたいという内発的な志でそれをしていたのに対して、今の学者は他人から称賛されたいという気持ちから、行っている。)」、「子曰はく、君子は言に訥にして行ひに敏ならんことを欲す。(立派な人間は、言葉は朴訥であってもよく(むしろ口数は控えめを心掛けるべき)、行動は敏捷であろうと努めるもの)」、「子曰はく、古者言をこれ出ださざるは躬の逮ばざるを恥づればなり。(古人が言葉を軽々しく用いなかったのは、自身の行動がそれに及ばないことを恥じる気持ちが強かったため)」、「子曰はく、其の之を言ふや怍ぢざれば、則ち之を為すや難し。(大言することを恥じる気持ちのない人間は(そもそも、それがいかに難しいかを慎重に検討していないので)実行するのは難しい)」、「子曰はく、君子は其の言を恥ぢて、其の行ひを過ごす。(立派な人間は、口先ばかりになりはしないかと恥じて、大言壮語や美辞麗句を控え、実際の行動のほうが少しでも言葉を上回るように努めるもの)」、「子貢君子を問ふ。子曰はく、先づ其の言を行うて而して後之に従ふ。(子貢が君子とはどんな人かを尋ねた。先生は言った。「まずその言わんとすることを実行して見せてから、後でものを言う人である」と。)」

名ばかり大学生 日本型教育制度の終焉

河本敏浩
『名ばかり大学生 日本型教育制度の終焉』
光文社
2009年12月20日
DSC05562 下世話な本だと思っていたのですが、読んでみると結構“なるほど”でした。「ゆとり教育」とはよく言いますが、東大入試は、30年前から比較すると量も圧倒的に増え、質も圧倒的に上がっていて、ゆとり教育どころではないようです。つまりは、学力低下ではなく学力格差が問題なんだと。中学受験で地方国立大の入試より難易度の高い問題を解くという昨今、昔は浪人1年で逆転できた学力が、今や小学・中学の段階で絶望的な学力格差が広がっているようです。そこには構造的な問題があると思います。勉強=競争であり、競争のないところからは勉強が消え、競争を離脱した瞬間に勉強から離脱するという考え方。受験能力(一定の問題を効率よく解くこと)と偏差値のみにしか意識がいかず、自分で探求する学習なんてそっちのけです。受験能力の高い学生が、大学入学後に凄まじい勢いで勉強をやめていくとか。ちなみに、大学の専門教育の成績は、高校成績や入試成績に相関関係はなく、初年次教育との相関関係が強いそうです(学問は探究心、知的好奇心の賜物ですね)。受験に使わないから、この科目は勉強しないという論理に、違和感をもって高校生活を送った覚えがあります。

偶然ベタの若者たち

関沢英彦
『偶然ベタの若者たち』
亜紀書房
2010年1月10日
DSC05546 なかなか面白いタイトルだと思い購入。上手く言ったもんです。確かに、育った時代背景もあり、若い人たちは不確定なことは避け、リスクは最小限に減らす傾向があると思います。あと、医学等の発達した今日では、親は選べませんが、自分が望めば、大抵のことは実現可能で、「どうしようもない偶然」を甘受することが、なかなか難しいと思います。つまり、偶然に遇わないような生活をするとともに、偶然を受け入れづらい状態にあると。ちなみに、本書に偶然ベタの3タイプ(ぼんやりタイプ(気がつかない人)、かたくなタイプ(拒んでしまう人)、うじうじタイプ(迷い続ける人))を診断する偶然ベタ度チェックがあるのですが、私は“かたくなタイプ”でした。頑固な性格がモロに出ました。

仕事で使える!Twitter超入門

小川浩
『仕事で使える!Twitter超入門』
青春出版社
2009年10月5日
DSC05521 登録こそしているものの、全く使用していないTwitter。140文字のつぶやきにどんな可能性があるのか、興味あって読んでみました。Twitterの長所は、やはりリアルタイムとシンプルに尽きるのだと思います。まだ、儲ける仕組みは確立されていないようですが。それにしても、Facebookもまだ赤字状態なんですね。個人的に、コミュニケーションツールの選択には、気軽さ、他のコンテンツとの連携、公開性を重視したいです。基本的に、積極的に人と関わろうとしない性格なので、一方的な記述の自己満足が多いですが、提供するに値する情報を発信できるよう努力したいものです。

35歳までに身につけておくべきプロの経理力

児玉尚彦
『35歳までに身につけておくべきプロの経理力』
日本実業出版社
2009年7月1日
DSC05506 経理を仕事にしているわけではありませんが、どんなことが書いてあるのか、ちょっと興味あって読んでみました。オーソドックスな啓発や数字の見方が主な内容だと思います。経理は、IT化によって仕事内容がガラリと変わった職種の一つだと思います。日々の取引を仕訳し、試算表を作成するのは、人がやる仕事ではありません。会計仕訳の入力もアウトソーシングの的です。ルーチンワークに拘泥せず、いかに「帳簿をつけて集計する人」から「業績を確認してわかりやすく伝える人」になるか、誰にでもできる仕事ではなく、緊急でないが重要な仕事をやっていけるか、ということでしょう。何事も一朝一夕にはいきませんから、日々経験を積み重ね、実力をつけていくことが大切ですね。

脳に悪い7つの習慣

林成之
『脳に悪い7つの習慣』
幻冬舎
2009年9月30日
DSC05464 最近よく売れている本のひとつです。面白そうなので読んでみました。私、常日頃から何かを行うときには気分を大事にするのですが、いい意味でも悪い意味でも、その効用を垣間見たような気がします。損得勘定で動いてもいい方向に向かわないのは、脳科学的にもそうですが、やはり気持ちがない分だけ広がりに欠けます。「だいたいできた」で詰めが甘いという自身の欠点も「まだできていない部分」「完成するまでに残された工程」へのこだわりを突き詰める習慣をしっかりつけていきたいものです。“忙しい”の一言で片付けるには、あまりにももったいない。ひとつ、とてもいいなぁと思ったのが、「一人ひとりをえこひいき」という著者の小学校の時の先生のお話。平等に接しないといけないと思い、あまり個人的に優遇するような対応をしない私ですが、それぞれに違った形でみんなにえこひいきというのは、アリだなと思いました。

戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか

菊澤研宗
『戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか』
光文社
2009年10月20日
DSC05447 非常に面白い本でドックイヤー満載でした。お薦めです。“戦略の不条理”とは、特定の世界では極めて適合的で合理的な行動していても、別の世界では全く不適合となり淘汰されてしまう合理的不適合といった不条理な現象のことを指し、本書では、ポパーの言う、物理的世界、心理的世界、知性的世界の三次元的な世界観に基づいて、戦略論が展開されています。3つの世界の多元的損益計算には、自らの行動特性や日頃の人間観察でも非常に納得のいく内容でした。それにしても、『孫子』の完成度はやっぱ高いなぁと思わされます。

悩む力

姜尚中
『悩む力』
集英社
2008年5月11日
DSC05384 売れてるらしいし、面白そうなので読んでみました。かなり共感するところが多かったです。科学的な合理化は、人間の行為の持っていた大切な意味をどんどん奪っていくというのは、確かにそうとも言えます。あと、知ってる、知らないで頭の良し悪しを決めるのも、違う気がしますね。つまりは、「物知り」「情報通」と「知性」は違うし、「know」と「think」も「information」と「intelligence」も違います。学識、教養も大事ですが、協調性や道徳観も含めた総合的なものが知性と呼べるものでしょう。余計なことを考えている暇があったらスキルを身につけ、専門知識を身につけ、なんて言ってると、何か足りない人になりそうです。人間の知性は、「真」「善」「美」にかかわっているというのは、簿記学会のときの井尻先生の講演みたいでした。

「論語」に帰ろう

守屋淳
『「論語」に帰ろう』
平凡社
2009年10月15日
DSC05368 やっぱ古典はいいですね。そこら辺の自己啓発本とはわけが違います。偏りなくすべてが凝縮されています。儒教は宗教ではないという解説部分で、夢見物語ではない常に現実を見た『論語』の内容にグッときました。孔子の普通っぷりも面白く読めました。「人柄や品性を磨くのが学問」と考えた場合、今現在の研究者としての自分はどうだろうか。知のあり方を考えさせられます。専門を極めるのは、もちろんですが、教養を深めて人柄や品性を磨いていくことも共に重要です。

「文系・大卒・30歳以上」がクビになる 大失業時代を生き抜く発想法

深田和範
『「文系・大卒・30歳以上」がクビになる 大失業時代を生き抜く発想法』
新潮社
2009年10月20日
DSC05361 酷いタイトルですが、内容もかなりのものです。世のホワイトカラーは能無しと、コテンパンに扱き下ろされています。著者ご本人は、悪意はないとのことです。具体的なところでは、「監査部のためのコンプライアンス」、「システム部のためのシステム導入」などを例に挙げられています。まあ、確かにそうとも言えますが、やはり少々言い過ぎか、とも思います。ただ、必要以上に見栄え良く、半端ないページ数の書類は必要ないですね。コイン・ポリッシャーには、ならないように気を付けないといけません。一言でいうと、「意味のあるいい仕事をしましょう」ということですね。

就活って何だ 人事部長から学生へ

森健
『就活って何だ 人事部長から学生へ』
文藝春秋
2009年9月20日
DSC05312 いろいろな企業の人事担当者のインタビュー集です。私自身、長いこと就活中ですが、相手の視点というのは本当に大事です。そして、自分の心からの熱意も。付け焼刃的に美辞麗句を並べ立てても、相手に思いは届きません。ましてや、自分が話したいこと、自分が用意したことを延々と話すなんて、コミュニケーション無視もいいところでしょう。面接は、いかに素の自分を出せるかであり、いかに素の自分を伸ばしておくか(鍛えておくか)だと思います。と、言うは易し。私自身、面接は大の苦手です。読んでいて“金太郎飴”という単語が幾度となく出てきた気がします。マニュアル通りに淡々と面接をこなす人に魅力を感じないということの表れでしょう。何かを語れる人になることが肝要ですね。
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