バランスシートで読みとく世界経済史

ジェーン・グリーソン・ホワイト著、川添節子訳
『バランスシートで読みとく世界経済史』
日経BP社
2014年10月20日
IMG_5502 book diary初の研究費による購入本(大学の管理バーコードが付いています)です。紀元前7000年から現代における、簿記・会計の歴史、そしてそれを取り巻く文化・経済を非常にわかりやすく、そして何より面白く書かれた本です。会計の専門家ではない著者と訳者だからこその作品ではないかと思います。複式簿記の素晴らしさやその限界を知るには、大変よくできていると思います。印象に残った箇所は多過ぎて紹介はできませんが、本書の主張はGDPという指標や現在の決算報告書の欠陥(限界)です。現在の物質的な価値に偏った資本主義経済は、新しい会計で進化する必要があると思います。経済に関わる全ての方にお勧めします。

面白くて眠れなくなる社会学

橋爪大三郎
『面白くて眠れなくなる社会学』
PHP研究所
2014年12月4日
IMG_4949 少し本を読む時間が取れたので、社会学について読みやすそうなものを1冊。少し興味があって、専門的に勉強していない方には、とてもいいと思います。社会がどのように成り立っているのか、非常にわかりやすく書いてあります。普段、当たり前のように過ごしていて、いざ説明するとなると言葉に詰まるような事柄ばかりです。言語の性質について、否定、仮定、執行、命令、宣告、約束、告白で説明されている部分で、もう虜になりました。戦争、資本主義、リバタリアニズム(自由市場主義)と現代社会を読み解くうえで、重要な概念についても易しく触れられています。人類の文化の中心である宗教について、死はたまた幸福とは何か、言語化された客観的な解説は、豊かな社会生活に必ず役に立つと思います。自由を重んじ、誰でもない自分の幸せを追求することこそ、良い人生を歩む基礎となるでしょう。

東大合格生のノートはどうして美しいのか?

太田あや
『東大合格生のノートはどうして美しいのか?』
文藝春秋
2009年4月15日
IMG_4897 『東大合格生のノートはかならず美しい』の続編に位置付けられる本です。ノートって、なんでこんなに面白いのかと思わされますね。主として勉強するときにノートテイキングをするわけですが、美しい(ただきれいに書くというのではない)ノートを作るというのは、その背景には“学び”があるのだと思いますし、“勉強を楽しむ”という要素が大きいように感じました。私も昔からノートにまとめるのは好きです。勉強するって、やっぱ楽しいんですよ、きっと。気分の浮き沈みや継続性というのが、ノートを取り続ける上での難しさなのですが、そういう意味で東大生のノートは、やはりスゴイですね。自身の大学受験時代のノートや大学時代の講義ノートも手許にありますが、機械的な部分が多くて、これじゃダメだと思ったりします。今でも講義ノート、研究ノート、日々のメモ帳とノートは必須アイテムで、日々書き込んでいますが、本書でいうテンションの乱れ全開だと思います。あと、研究ノートがある日を境に、プツンと切れたように白紙になっているのが…。

無頼のススメ

伊集院静
『無頼のススメ』
新潮社
2015年2月1日
IMG_3884 同郷の伊集院さんです。私とは柄の異なる方なので、ストレートな物言いに少し嫌悪感があったりするのですが、嫌いにはなれない方です。嫌いにはなれないのは、考えていることは案外同じだったりするからでして、本書もそうでした。自分の正体を見極める、というのはすごく大事なことで、ありのままの自分を知り、それを認めることです。自分がいかにダメな人間であるかを知り認めることで、生き易くなると思います。あと、中庸を求めることもとても大事で、特に昨今の世界情勢をみていると、極端な論調が目立ち、争いの火種となっているように感じます。人の直感を侮るなかれという趣旨の話がけっこうあるのですが、人間に生来備わっている危機管理能力は侮れないと思います。便利なものには毒があり、手間暇かかるものに良薬は隠れていることをしっかり見定めて過ごしていきたいものです。

じぶんの学びの見つけ方

フィルムアート社編集部
『じぶんの学びの見つけ方』
(株)フィルムアート社
2014年7月24日
IMG_3699 めっきり読書量が減ってしまっている今日この頃。ようやくの更新です。本書は、いろんな分野で活躍されている26名の方の自分なりの学び方が紹介されています。本当に多岐にわたる面々で、思うところもいろいろありました。私なりに共感した部分としては、“自分の役割を最大限に引き受けてつとめること”、“「ぶれない」より「ぶれる」人間でありたい”、“失敗するとわかっていても、本当に失敗するまで納得できない”、“コンプレックスは「克服」ではなく「共存」する”、“「真似び」からの「学び」”、“ゆったりとした自然な流れの中で起きる「?」と「!」の双発による学び”といった、学校で授業で学ぶものとはかなり距離感のあるものでした。教えるというより、相手が自ら変わっていくような場を与えること、相手に「面白い」と思ってもらうかが大切であろうと思います。“新宿アルタ前で授業をする覚悟”というフレーズがあったのですが、毎回この気持ちを忘れずに教壇に立ちたいものです。

「もう疲れたよ…」にきく8つの習慣 働く人のためのアドラー心理学

岩井俊憲
『「もう疲れたよ…」にきく8つの習慣 働く人のためのアドラー心理学』
朝日新聞出版社
2014年7月30日
IMG_1826 夏にABC本店によったときに購入した本です。そんなに疲れ果てているわけではありません。副題にあるアドラー心理学についての本で、要はものごとは捉え方次第だという話です。「人間の行動には、【原因】があるのではなく、未来の【目的】がある」という考え方は、その通りで結局は皆、自分で思っているようにしか行動していないものです。あと、主観というのは本当にコワイもので、人間関係が拗れる場合、大抵は事実に対して歪んだ捉え方をすることが多いものです。なんだかうまくいかないときには、まわりとズレていることが多く、極端な場合なんかはまわりと合せていったほうがよいとするアドラー心理学には共感しました。何はともあれ、楽観的で建設的な心の持ちようで、すべてはうまくいくと思います。

今、ここを真剣に生きていますか?

長谷部葉子
『今、ここを真剣に生きていますか? −やりたいことを見つけたいあなたへ』
講談社
2012年12月10日
IMG_1216 SBSでふと目に留まった本です。特にやりたいことを見つけたいとか思っているわけではありません。帯に「慶應大学SFCビッグママの人生が変わる授業」とあったので、どんな授業なのか興味が湧いて読んでみました。私には到底できない芸当ですが、語られていることは本質をついていると思いました。特に「社会貢献」や「ボランティア」という言葉の危うさについて、ボランティアの押し売りや美化し過ぎて本質を失っている様子を指摘されているのは、実践されているだけあって説得力があります。「交流筋」を鍛える、という部分があるのですが、コミュニケーションをとり慣れている人から始めるのは、定石ですね。相手との距離感がとれずに負荷をかけてくる方や反応しない方だと、鍛えられるどころか萎えてしまいます。私のようなコミュニケーション下手には、あと数が必要でしょう。生活のリズムの大切さは、事を成す人の共通項だと思います。規則正しい生活こそ、力を発揮する基礎です。

考え方のコツ

松浦弥太郎
『考え方のコツ』
朝日新聞出版
2012年9月30日
IMG_1127 去年『日々の100』を読んでから、たまに読むようになった松浦さんの本です。SBSで見かけて購入しました。こないだ読んだ『100の基本』で十分だったな、というのが率直な感想です。よくある自己啓発系ハウツー本とあまりかわらない印象です。「「なりたい自分」を想像し、きちんと計画してコツコツやっていくより、今、目の前にあることをしっかりと務めて、流れに身を任せたほうがうまくいくと僕は思っています。」というのは、私もそう思っています。その人の経験なのでしょうが。あと、はっきり注意するのは大事だと言われるけど、性格に起因しているものであれば難しいというのも同感です。人間どれだけ失敗して、どれだけ気付きを得るかですね。

中国化する日本 増補版 日中「文明衝突」一千年史

與那覇潤
『中国化する日本 増補版 日中「文明衝突」一千年史』
2014年4月10日
文藝春秋
IMG_1072 ↓で読んだ『国家』に通ずるものがあるように感じました。人間の思考とは単純なものです。TVでたまに見かける與那覇さん、発言はいかにも東大卒な雰囲気で、本書もそうなのですが、内容はとても面白かったです。内心違和感のあった部分を、わかりやすく解明されているように感じました。抽象化こそ学者の仕事ですね。最後の宇野さんとの対談にあるのですが「平家・海軍・外務省、都市・リベラル・インテリが負け組になる理由」というのが、本書の内容だと思います。形状記憶合金が入っている「江戸時代化」の日本人気質は、そうは変わりそうにありません。言いようによっては、社会全体でうまくバランスをとっているようにも見えます。ただ、弱肉強食の時代をこのままでどこまで生きていけるのか、なかなか答えは見えてきません。

娘と話す 国家のしくみってなに?

レジス・ドブレ
『娘と話す 国家のしくみってなに?』
現代企画室
2002年7月10日
IMG_1016 去年の6月に姉妹本の『娘たちと話す 左翼ってなに?』を読みました。SBSで目にしたので購入。前述の本と同様、フランスが前提です。原書のタイトルは『娘に語る共和国』だそうで、共和制国家とは、という内容になっています。日本人は、国家とは何かということをあまり意識していないと思います。無理やりイメージするとしても天皇万歳的な国粋主義者を浮かべるのがやっとな気がします。あくまで私のイメージですが。社会の仕組みを理解して、責任ある大人(市民)として生活を送るには必須の教養と言えるでしょうね。

会計学のススメ −一度は読んでおきたい会計学の名著−

山下壽文
『会計学のススメ −一度は読んでおきたい会計学の名著−』
創成社
2013年10月20日
IMG_0852 読もう読もうと思って約1年眠っていた本です。会計学を本格的に学ぼうとする方には、打って付けの本ではないでしょうか。洋書も含め、古典から現代に至るまで主要文献が紹介されています。多くが前書きの紹介になっていますが、おおよその内容を把握するには十分だと思います。私の研究室にある本も多く、その多くが院生時代のものなので懐かしく感じました。手元の専門書は、多くが積読になってしまっているので、なんとか時間を作って、こなしていきたいものです。手元にないものは早速amazonで注文してしまいました(すごい広告効果)。あと、誤字脱字が多かったです。以下、今後の研究に向けて。会計基準の設定については、Concept(理論)+利害関係者間のCompromise(妥協)とConsensus(合意)+会社や社会一般に対するConsequence(影響・結果)の4C説を考慮して考えていく必要があります。また、会計基準は、時空を超えた普遍性があるわけではなく、体系的な秩序とその変化の経路を分析し、将来の方向を展望することが研究の課題という斎藤先生の言もまた然りで、その難しさを感じました。

困っている人のためのアイデアとプレゼンの本

福里真一
『困っている人のためのアイデアとプレゼンの本』
日本実業出版社
2014年6月20日
IMG_0731 最近、自分が思っていることが文章化された書籍ばかり手に取っています。思考が偏りそうです。さて、本書は、「宇宙人ジョーンズ」や「エネゴリくん」を作成されたCMプランナーの方が著者で、“電信柱の陰から見てるタイプの企画術”というコンセプトで書かれています。生来、リーダーシップ、積極性といったものが苦手なので、共感しまくりな内容でした。物事はSimple is bestで、説明はプロセスをすべて順番通りに話すことでうまく伝わるし、ひと言でいえるような企画は高い確率でいいものです。表現したいかことがある!というクリエイタータイプと受注体質のノンクリエイタータイプという表現が出てくるのですが、私も後者であると思います(経験則)。また、ひとりの人が整合性をもって考えたものよりも、他の人の違う意見を無理矢理取り込んでみるのも、ふくらみや広がりが出てくるというのも同感です。「人は、自分にできることしか、できない」というのは的確な表現だと思います。あと、一番働いているのは白紙の時間ということです。スケジュールの中の空白ほど重要なものはなく、そこで考えたり、作ったりしているわけで、決して空いているわけではないというのは、なぜか世の中では通じない…。なかなか面白かったです。根暗な人にオススメ。

僕がコントや演劇のために考えていること

小林賢太郎
『僕がコントや演劇のために考えていること』
幻冬舎
2014年9月10日
IMG_0177 私は小林賢太郎作品のファンです。舞台は可能な限り観に行っています。さて、ここのところ説教くさい本が続いているのですが、この本もそういった感があるのは否めないところです。ここに書かれてあることは、コントや演劇に関わらず、すべての職業に通じる話だと思います。賢太郎氏の考えていることは、基本的に私のスタンスと一致していると感じました。「うちはうち、よそはよそ」であるとか「「ウケる」と「売れる」と「有名になる」を分けて考える」というのは、絶対そうだと思うし、基本を忘れずにズレた行動を律しながら、自分の道を楽しみながら極めていきたいなぁと思う次第です。こういう話は(とくに芸事に関しては)、『風姿花伝』のような古典にしっかり書かれてあることでしょう。

100の基本 松浦弥太郎のベーシックノート

松浦弥太郎
『100の基本 松浦弥太郎のベーシックノート』
マガジンハウス
2012年9月25日
IMG_9941 松浦さんの日々の100の基本と“COW BOOKS”という本屋での100の基本(チェック項目)が短文解説付きで紹介されている本です。仕事場でのチェック項目は、かなり説教臭く感じると思います。まあ、大人になると誰も指摘してくれないので、よかったのではないかと。「100冊の本を読むよりも、よい本を100回読む。」わかってはいても、本については多読の方針をとってしまうのですが、100人と付き合うより、好きな人に100回会った方が相手と自分の本質がわかってくるというのは、なるほどです。古典をしっかり読めば、道徳については言うことないと常日頃から思います。ただ、「本は読むもの、飾るものではない。読んだら処分」蔵書という感覚はないというのは、相容れません(笑)「面倒くさいを楽しむ」“面倒くさい”という言葉は、本当にネガティブに働きます。日頃から気をつけるに越したことはないです。「健康管理が一番の仕事」病気で休むのが、健康管理という仕事を疎かにしたことの結末と捉えるのはその通りです。仕事を通して社会のために何ができるか、これなしに仕事はできませんよね。

センスは知識からはじまる

水野学
『センスは知識からはじまる』
朝日新聞出版
2014年4月30日
IMG_9855 タイトルを見たとき個人的にはセンスをアイディアに変換しました。水野さんの作品はとても好きで、著書もかれこれ6年くらい前ですが『グッドデザインカンパニーの仕事』を読んだことがあります。「センスのよさ」を数値化できない事象のよし悪しを判断し、最適化する能力と定義されています。社内説得の道具となりがちな市場調査の功罪についても触れられていました。人の感覚はとても敏感なもので、理由はわからないけど、高い精度で丁寧につくられたものであることは鋭く感じ取れるものです(言葉を巧みに使って騙すものは除きますよ)。相手を小手先で欺いても通用しない(続かない)のは自明で、相手を欺かないための精度が必要というのは共感せざるを得ないです。

揺れる現代会計 ―ハイブリッド構造とその矛盾

石川純治
『揺れる現代会計 ―ハイブリッド構造とその矛盾』
日本評論社
2014年8月20日
IMG_9643 前期に会計学特別演習で使用していた『経営財務』の記事が書籍になっていたので改めて読みました。『経営財務』にはなかったシャム・サンダー先生と井尻先生との対談は、最高に面白かったです。会計アカデミズムがどう貢献できるかということについて、相対化を軸に話は進んでいきます。対談では、better accounting、better market、better societyと、何が「より良い」のか、どう繋がっているのかという、難しいですが重要な話が多く出てきます。会計基準について、初期のいくつかのパラグラフのものから、今日数千ページの細則ができて改善したのかという問いは鋭いです。教育についても面白いことが書いてありました。容易な「なに」から「なぜ」へ。そして「なぜそうでないのか」という問い。最後の問いは、すごく重要ですね。本文中にもありますが、大抵2度、3度のなぜで自分の知識の限界に行き詰まってしまいます。日本の研究スタイルを華道や茶道や能に例えられているのは、なるほどでした。

明誠 会計・監査トピックス vol.01

明誠監査法人
『明誠 会計・監査トピックス vol.01』
明誠グループ
2010年10月15日(電子版)
20140827 Kindleストア > Kindle本 > ビジネス・経済 > 経理・アカウンティングのなかを彷徨っていたら、たどり着いたKindle本です。明誠監査法人のニュースレター(メルマガ?ブログ?)のバックナンバーをKindle化したもののようで、vol.08まで(8ヶ月分)あります。ちなみに価格は¥99。↑にアクセスすれば、タダで読めます。なぜKindleで有料で販売しているのかは謎です。内容は、〔トピック解説〕として“事業再生ADRについて”と“グループ法人税制”、〔連載記事〕として“IFRS(国際財務報告基準)”の概要と現状、“不正な財務報告”の架空収益の計上の事例でした。あえて、おカネを落としてKindleで読む必要もなく、巷のWebサイトで十分な内容でしょう。花岡C⇄八尾Cの片道で十分読めます。

他人を攻撃せずにはいられない人

片田珠美
『他人を攻撃せずにはいられない人』
PHP研究所
2013年12月2日
IMG_9642 久々に本を手に取りました。学会シーズンに入って、移動が多いので売店でふと購入。社会生活を送る以上、必ず他人との関わりは避けられません。攻撃欲・支配欲の強い人は確かにいます。好感を与える仮面の下に破壊衝動を隠して、そっと忍び寄ってくる、うわべは優しくて善良そうなのに相手の弱点を繰り返し指摘して傷つけるような人です。自信がなく、自責の念が強い人は、操られてしまいがちです。SATCの言葉らしいのですが、フレネミー(フレンド+エネミー)というのは言い得て妙ですね。本書のスタンスは、そういう人は、基本的に変わらないので自分が変わるしかない(対策をする)というものです。読んでいて思ったのは、要はヤクザですよね。真の意図は隠しながら、心理的負担を与えながら相手を追い込んでいく。気を付けたいものです。こういうのを読んでいると世の中世知辛いなぁと思ってしまいます。

ゼロからの現在価値計算とDCF法(入門編)

ふくしままさゆき
『ゼロからの現在価値計算とDCF法(入門編)』
花嶋生花
2014年2月13日(電子版)
20140818 昨日に引き続き、¥99の電子書籍です。経法大→瓢箪山の15分で読めます。簿記や原価計算の授業をしていて、学生が躓きやすいのが割引現在価値です(おそらく経済学でも同じでしょう)。ゆっくり考えればわかるはずなのですが、慣れないとどうしても頭がこんがらがる代物です。どんな解説なのか興味があったので読んでみました。読んでいて特になるほど!という内容はないのですが、簡潔に説明されているので、根気がなくても読みこなせるというのがいいところでしょうか。敢えて挙げるとすれば、棒グラフは視覚的にわかりやすいし、“年金”の意味(あの年金ではないこと)は、意外と教科書には書いてないかもしれません。思いつきですが、数学が苦手な人のために、数式の解説も含めた説明がある本があるとわかりやすいかもしれませんね。

連結がわかる人はコレを食べている

石王丸周夫
『連結がわかる人はコレを食べている』
Amazon Services International, Inc.
2014年1月20日
20140817 なんとなくKindleで落としてみました。¥99です。連結に苦手意識のある方は、是非読んでみてはいかがでしょうか。わかりやすい例えで連結の仕組みが解説されています。個人的には、ビッグマック、車両間移動、最後の将棋は「なるほど」と思いました。こういった個人で執筆されてKindleから発行されている電子書籍は、編集者付きの出版社から発行されている書籍に比べれば、体裁等で質的には劣りますが、気持ちが伝わってくるし、何より安いので気軽に読めるのではないかと思います。過去記事を見ると、大型連休になると時間があるのか、会計系のモノを検索して物色している形跡があります。電子書籍ではありませんが、iTunesUでは早稲田等の会計系の授業もアップされていて、無料で視聴できて、面白いですよ。

35歳のチェックリスト

齋藤孝
『35歳のチェックリスト』
光文社
2014年7月11日(電子版)
20140816 気付けば光文社新書が続いていますね。帰省する直前に、iBooksで見つけて購入。MBA上でも読めるのがいいです(Kindle早く対応して)。現在34歳、来年の3月で35歳になります。ここのところ日々に追われて自分を失いかけているので、ちょうど良さそうと手に取りました。本書では35歳での棚卸しを勧めています。本書の受売りですが、私が普段気を付けていることはストレス管理ですね。忙しくなる=ストレスが増えるではないことがポイントです。仕事は、受動的か能動的かでストレスはかなり違います。車酔い、船酔いのように揺れに翻弄されて無駄にエネルギーを使って疲労するより、主体的に仕事することで、忙しくなってもストレスは格段に減ります。私はビジネス体力がないので、とにかくコントロールしないとすぐにダウンしてしまうので。あと、自分のためより誰かのためのほうが、本質的な生き方ができると思います。そして、人はオファーで成長するということ。自分がどんなにやってみたいと思っても、場を与えられないことにはできないのが仕事です。人格が安定している、システム思考ができる、これらは信頼の基準です。齋藤先生の言う通り「ミッション・パッション・ハイテンション」は大事ですね。

税務署の正体

大村大次郎
『税務署の正体』
光文社
2014年2月14日(電子版)
IMG_8533 税務署で働く人たちが読んだら、その通りと思うのか、そんなことはないと激怒するのか、とにかく税務行政をネガティブに表現した本なのは確かです。税務署員の自腹を切るほどの徴税ノルマとそれに伴う重箱の隅をつつくような指導、強きを助け弱きをくじくような税務行政が語られています。あわせて、筆記試験で幹部候補になってしまう公務員制度に対する批判(民間では入社時の筆記試験で将来が保証されるなんて確かにありえません)、国税OB税理士制度への批判が綴られています。国税に限らずですが、昭和の日本の悪習(コネや恫喝がまかり通る組織)は、この情報化社会で少なくなってきたとはいうものの、閉鎖的であったり旧世代の力が強かったりする組織では、まだまだ残っています。泣いている赤ん坊の哺乳瓶に差し押さえの赤札を貼ることができないと、この仕事はできないという例え(国が雇っているヤクザ)がありましたが、国税を志す学生がこれを読んだら、どう思うのか…。

教室内カースト

鈴木翔
『教室内カースト』
光文社
2013年3月1日(電子版)
20140621 読書本を持ち歩かなくなって久しくなりますが、すっかり電子書籍しか読むことがなくなってしまいました。誰もが感じる教室内でのあの感覚。上位グループ、中位グループ、下位グループ。そんなスクールカーストにスポットを当てた本です。あとがきと解説を読むまで知らなかったのですが、筆者は大学院生なのですね(84年生!)。修論を加筆修正したものが本書のようです。「自分の意見を押し通す」声の大きな生徒が中心となるのはよくあることですが、教室内で1軍となった場合には、権利も多いが義務も多いというのは、なるほどでした。確かに自分が何か言わなきゃという感じになることはあると思います。あと、社会というのは、どういう構成員であろうと、その場に応じた役割分担というか、位置づけがなされますよね。上(下)が抜けても残った者で、また同様の階層が生まれるという。こんな日常では、おそらく誰もが感じ取っているような目に見えない雰囲気を定義して分析しようとしている本書の試みは大変興味深かったです。

日本に殺されず幸せに生きる方法

谷本真由美
『日本に殺されず幸せに生きる方法』
あさ出版
2014年1月17日(電子版)
20140521 Kindleの大安売り(本人の宣伝)で手を出してしまいました。めいろまさんです。読めば読むほど、偏っていると思わざるを得ないのですが、内容は相変わらず面白いです。前半は、日本の労働について。協約上の時間外労働の上限で大日本印刷の1920時間には度肝を抜かれました。生活保護や刑務所生活がいわゆるブラック企業の社畜より楽で豊かな生活ができるというのも、世間体というものがなせる技なのかと思ったりしました。教育にかけるおカネと医療・介護にかけるおカネで、将来性がある(還元される)のは前者という現実にどう向き合えば明るい未来が切り開けるのでしょう。老人も減っていく状況になってきた日本の未来とは。後半は、相変わらずのイギリス賛美で、書かれている内容は(そうであれば)素晴らしいのですが、実際のところは見てみないとわかりません。どうなんでしょう。何にせよ、透明性の低い組織(社会)はいかんです。「コネ」で動く社会の未来のなさといったらね。アンチ既得権と権威。「諸君、狂いたまえ」by 吉田松陰です。日本の問題は、仕組みの問題です。能力があるのは間違いないはず。昭和的価値観を見直せば、いっきに開花すると思います(きっと)。もちろん、誰にとってもいい社会になるとは思いませんが。巻末に、本人がやる気になっていないのに、何を無理強いしても無駄だという話は、全く持ってその通りです。あと、多くの選択肢を持つことが人生を豊かになる秘訣です。

四畳半神話体系

森見登美彦
『四畳半神話体系』
角川書店
2012年9月1日(電子版)
20140505 遡ると約4年ぶりの森見作品。いつかの角川のKidleセール時に落としたのがiPhoneに入っていました。『四畳半神話体系』って、初版は2005年なんですね。ってことは、『夜は短し〜』よりも古いらしい。いつも通りの登場人物、団体、内容と思いながら読んでいましたが、比較的元祖な話なのね。アニメ化もされている作品です。昔、深夜に見かけた記憶があります。私、鈍いので3週目くらいでようやく意味がわかってきて、最後にはなるほどね、でした。たまには小説もいいものです。森見さんの京大を舞台にした作風は、相変わらずノスタルジックでした。

税理士試験 一度も落ちずに確実に短期間で合格する方法

片山康史
『税理士試験 一度も落ちずに確実に短期間で合格する方法』
Amazon Services International, Inc.
2013年12月10日
20140504 受験生を多く抱えている身として、たまにコレ系をネタとして読みます。「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」まさに格言です。「ウソを書くな」「白紙で出すな」「自分がわからない問題は他人もわからない」「簡単だと思ったら何か間違えているかもしれないと疑え」などは、試験に限らず重要なことですね。勉強法は参考で、自分に合う勉強法を確立するのが肝要です。理論暗記は漆塗りに例えられていました。暗記が先か理解が先かは、最終的には重要ではないかもしれません。税法科目が難しいのは、会計科目に合格した人たちが母集団であるからというのは、目から鱗でした。確かにそうです。難しいはずです。会計科目を3年で取得できなければ撤退すべき、5科目を8年で取得できなければ撤退すべき、というのはいい目安かもしれません。勉強時間と点数はある程度までは比例するにしても、やはり合格ラインという壁には関係なさそうです。税法1科目に1,000時間以上というのも納得。あと、院免除も5科目取得もスタートラインに立つまでの話で、そこからは実力であって、特にどちらに優劣があるわけではないと私も思います。人によりけりです。

君の働き方に未来はあるか?〜労働法の限界と、これからの雇用社会〜

大内伸哉
『君の働き方に未来はあるか?〜労働法の限界と、これからの雇用社会〜』
光文社新書
2014年2月14日(電子版)
20140428 「『自立』と『連帯』という人間社会の基本的な価値は普遍的」という文章で結んである本書は、労働(雇用)に関する本です。専門業務型裁量労働制で、特に労働時間がどうという職業ではない私ですが、雇用されています。自営や時間で労働を提供している方より、自由が利く形態です。基本的に自由であれば責任が求められ、安定を求めれば従属を強いられるものです。大義なきことをすれば、副作用が出てしまうのはモノの道理。本書では、そんなことがつらつらと書かれてあります。これから雇用社会が変わっていくことは確かでしょう。ITが進めば進むほど、私用と仕事を明確に分けることが難しくなるのは目に見えています。また、研究分野では、データ集めと分析くらいなら人工知能である程度できるかもしれません(?)。これからを生きる若者は、新たなルールのなかで生きていくわけで、親世代の伝統的制度論は役に立たないと思います。おもしろい考え方として、キャリア権というものが紹介されていました。労働者の転職力にマイナスになるのはキャリア権の侵害なのだとか。

普通の女性会計士のありえない日常

高柳融香
『普通の女性会計士のありえない日常』
幻冬舎
2013年3月20日
IMG_6119 あっという間に新年度目前です。いつ購入したのかは覚えていないですが、手許にあったので読んでみました。会計士(監査法人)の職場というもののリアル?が垣間見える1冊といったところでしょうか。どこにでもある職場の下世話ネタ(愚痴)ではありますが、面白く読めます(だからこそ?)。気分を害す方もいらっしゃることでしょう。まあ、公認会計士という夢を抱いている方は、ひとつの視点として読んでみてもいいかもしれません。士業というのは、無職でも自営業として、失業給付の対象にならないというのは、結構衝撃でした。

A GUIDE TO THE WORLD めぐれば始まる 世界一周

栗原良平・純子
『A GUIDE TO THE WORLDめぐれば始まる 世界一周』
リベラル社
2013年5月23日
IMG_4630 海外に行きたい気持ちが溢れ出て、瓢箪山TSUTAYAで購入。帰りの電車内で一読。実際に777日で世界一周旅行をした夫婦の旅行記です。まあ、ブログを読むような感覚でしょうか。世界82カ国の現地レポは、面白かったです。そもそも知識やイメージすらない国もあったので勉強にもなりました。知らない内容がでてきたら、すぐに検索して詳細を知れるのも時代ですよね。旅行雑誌や旅行本は、多くが特定の地域・場所についての観光案内ですが(それが目的だからですが)、全体を程よく搔い摘んだものというのは意外とありません。たまに、世界遺産や絶景を集めた写真メインのムックは買いますが。いや〜、こんなの読んだら、気持ちがますます高ぶってしまう。逆効果な1冊でした。

キャリアポルノは人生の無駄だ

谷本真由美
『キャリアポルノは人生の無駄だ』
朝日出版社
2013年6月30日
200140203 めいろまさんの意見は、過激なところが多いですが、そこが面白いところでしょう。本書は、自己啓発や日本の悪しき慣習を批判しまくっています。自己啓発本は、一種の高揚感を与えます。私もbook diaryに載せている本には自己啓発系が少なくありません。無気力なときのやる気を出すためのキッカケやちょっとしたヒントを求めて読むことが多いです。胡散臭いものは、極めて胡散臭いです。重要なのは、あくまで一意見として自分なりに解釈して取り込むことでしょう。自己啓発本に限らず。あと、知識がないと情報に踊らされることになるということ。「私も何かになることができる」とは、無条件に思わない方がいいと思います。日本人の集団の中でも細かい競争を繰り広げている(何でもランキング化)ひっそりとした、しかし激しい競争社会は、「やって当たり前」の滅私奉公的な文化や「できるのが当たり前」で人のあら探しばかりしている文化、他人は「私と同じでなくてはならない」という嫉妬の感情の根源と相まって、妙に同調圧力の強いお国柄を作っているのでしょう。出る杭は打たれてしまうから、出る杭は海外に行ってしまうのかな。あと、前例のないものや失敗を極度に忌避するところとか。

もしかして私、大人の発達障害かもしれない!?

田中康雄
『もしかして私、大人の発達障害かもしれない!?』
すばる舎
2011年2月25日
IMG_4428 今までなかなか表面化しなかった“周りの人からするとできて当たり前だけど、自分にはできなくて当たり前”といったことが少しずつ理解されてきています。現代社会を生きていくなかで、大事な視点だと思う今日この頃。誰にでもある性格上の凸凹(脳の発達のアンバランス)が生活に支障をきたすと障害となるわけですが、本人さえ気付けないことが多いようです。性格の凸凹程度に収まっていると思いますが、コミュニケーションは生来苦手(苦痛といったほうが近いか)ですし、几帳面な事務仕事は得意な方です(だと思っています)。毎日不安でいっぱいだし、思ったことを素直に言ってしまい失敗することもしばしばあります。誰にでも得意・不得意があるものです。最近は、情報技術の発達のお陰で、効率よく多くの情報処理や分析が可能になり、ホワイトカラーの仕事では、特定の仕事のみを行うのではなく、一通り何でもそつなくこなせるオールマイティな能力が求められるようになっています。なんでも普通にこなすというのは、実は普通ではなく、この普通ではない普通を求める傾向が、世の中を窮屈にさせている原因なのかもしれません。

ワーク・デザイン これからの<働き方の設計図>

長沼博之
『ワーク・デザイン これからの<働き方の設計図>』
阪急コミュニケーションズ
2013年10月7日(電子版)
20140129 何か読もうかとiPhone上に積読されているiBookとKindleの中からチョイス。結構おもしろかったです。著者は私よりも若いみたい。これから世の中はドラスティックに変わるでしょう。クラウドファンディングやクラウドソーシングが普及すれば、本当にあっという間に常識が覆りそうです。Google Glassのようなウェアラブルコンピュータがスマホのように普及するのもそう遠くないはずです。「地図を捨ててコンパスを頼りに進め」というのはその通りだと思いますね。価値観においても豊かさの指標や働く目的は、経済的な富ではなく貢献欲求や自己実現欲求を満たすことに重きが置かれるようになっていくと思います。知識や知恵といった外部化できる「知性」ではなく、「倫理の外部化」を解決するような人格を持つ「Good natured person」が求められることになるでしょう。生きる力は、やはり哲学にあります。問題解決や過去分析ではなく、機会発見や柔軟適応といった問題を定義することが重要です。学生さんには昭和的な常識ではなく、これからの社会を見据えた能力を身につけてもらいたいと強く思いますね。

大学のウソ―偏差値60以上の大学はいらない

山内太地
『大学のウソ―偏差値60以上の大学はいらない』
角川書店
2013年11月10日(電子版)

20131221 大学教育に関しては、考えることが多過ぎて錯乱なうです。本書は、主に海外大学の紹介で、日本の大学では勝負にならないという話。山内さんの現地取材レポは、少し割り引いて読まないといけないな、といつも思うのですが、大まかにはその通りだと思います。こういう話を聞くと、自分の留学熱が刺激されます。海外でもう1回、好きな勉強をしてみたいと(自分の能力の低さに辟易している日々)。日本の大学のカリキュラムは非常に硬直的で非効率であることは確かです。当事者である私もそう思います(現場で先生方は少ない時間の中でとても努力されているにも関わらず)。遅々として進まない大学改革には、小手先ではなく制度を根本から変えてしまうくらいの思い切った改変が必要でしょうね。そのとき自分が生き残れるのかはわかりませんが、変わらなくては変わりません。日本の型に嵌めようとする変な風習(いつからなんでしょう)が根っこにあるように思います。大局観をもたないといけませんね。高齢化がますます進み、20年、30年後の日本はどうなっているのか。

自分のアタマで考えよう―「知識」にだまされない「思考」の技術

ちきりん
『自分のアタマで考えよう―「知識」にだまされない「思考」の技術』
ダイヤモンド社
2012年7月1日(電子版)
20131212 引き続きiBooksで購読。ちきりんさんの本は2冊目。読みやすそうなのでチョイス。思考の整理術が紹介されています。最近、忙しいと思い込んでいるせいか、まったく頭の整理がつかなくて、ヒドく効率の悪い生活を送っています(整理がついていないから忙しいと感じているだけ)。効率よく成果に結びつけるには分析は不可欠。分析する際の要素分解と組合せの検討は、不可避な作業ですよね。ここが甘いとあとでしっぺ返しを食らうことになる。まさに、今の私がそういう状態。検討するほどの心の余裕がないのが失敗の元凶です。自他、時系列の縦横の比較を忘れて、わからないと唸っている自分を省みてしまいます。急がば回れ、きちんと現況把握には努めないと。階段グラフは参考になりました。使いこなしたい願望はあれど、やはり心の余裕度が邪魔しそう…。あと、本書の最初の方にあるのですが、確かに知識は思考の邪魔をします。なまじ知識があることから、思考停止に陥ることは多いです。

採用基準−地頭より論理的思考力より大切なもの

伊賀泰代
『採用基準−地頭より論理的思考力より大切なもの』
ダイヤモンド社
2013年1月28日(電子版)
20131125 相変わらず余裕がない日々が続いています。前回触れたのですが、早速iBooksで購入。基本的にKindleと変わらないですね(起動が遅いとか)。ただ、iBooksだとMBAなどと同期してくれているのでよいかも。読み捨てる本は電子版で十分そうです。さて、仕事にあっぷあっぷな日々を過ごすと同時に、自分の足らなさを痛感する今日この頃、本書はかなりヒントとなり得る内容が多かったように思います。書名こそ『採用基準』ですが、中身はリーダーシップ論で、典型的な日本人思考(極度に衝突を避ける性格)な私には極めて重要な示唆を与えてくれたように思います。日々の生活、仕事などでいつもどこかに感じている違和感は、ここにあるような気がします。「どうすればいいのか、みんなわかっているが、誰も何もやろうとしないために、解決できないまま放置されている問題」。コレです。「それを責務として割り当てられた役目の人の仕事」という思考。ひとつ壁を乗り越える必要がありそうです。

ネットがつながらなかったので仕方なく本を1000冊読んで考えた ―そしたら意外に役立った

堀江貴文
『ネットがつながらなかったので仕方なく本を1000冊読んで考えた ―そしたら意外に役立った』
角川書店
2013年9月30日(電子版)
IMG_2617 余裕がないときには、Kindle。OSがMavericksになってiBooksがMBA上でも読めるようになったので、ちょっと試してみたい今日この頃。さて、時間的余裕がない日々を送っているので、簡単に読めそうな堀江君の本をチョイス。私も収監されたら、ゆっくり本読んで文章でも書いていたいです。という冗談はさておき、ホリエモンは基本的に嫌いな方ではないんですよ、私。まあ、ちょっとと思うところもありますけどね。本書は、タイトルの通り、堀江氏が獄中で読んで、薦めたい本が紹介されている、という本です。内容はさておき、副題の「そしたら意外に役立った」ですが、読書に限らず、大抵の学習は絶対役立つということは言えないけど、やっていると意外と役立つものです。読書なんて(◯◯なんて)何の役に立つのか、と言っている人には一生わからないとは思いますが。秋になりました。本を読みましょう。

伸びる30代は、20代の頃より叱られる

千田琢哉
『伸びる30代は、20代の頃より叱られる』
きこ書房
2013年8月31日(電子版)
IMG_2297 典型的な自己啓発本です。書籍は2010年9月発行のものらしいです。全7章、伸びる30代と沈む30代の特徴を70ほど取り上げて、端的に書かれてあります。共感するところ、自分の感覚とは少し距離があるところ(解釈によっては)とありますが9割方は全くその通りだと思います。世の中、最終的には能力ではなく性格です。当事者意識と感謝の気持ちをもって、事にあたっていれば必ず道は拓かれています。付け届けをしないと仕事が与えられないなんて、実力がない証拠であり、組織が腐敗している証拠(先はない)。口が堅いというのは信用という意味において最重要事項であり、いつも愚痴っているのは信頼されない人の特徴でもある。ホント、口は災いのもとです。20代までは先天的な能力がモノを言うが、30代からは後天的な努力の差が一気に顕在化するというのは、ああ、そうだなぁと思いました。あと「人格なき有能者は犯罪者である。能力なき人格者は卑怯者である。人格と能力は二つではじめて一つのものなのだ」と。

最新版 大学院留学のすべて 入学後絶対後悔しないための10のステップ

佐藤庸善 著、大学院留学コンサルティング編
『最新版 大学院留学のすべて 入学後絶対後悔しないための10のステップ』
明日香出版社
2011年4月23日
IMG_2156 海外留学というのはいつになっても夢ですよね〜。とは言え、海外留学を考えている学生を対応するにも全く知識もないので、ちょっと知識をつけておこうと夢見がちな気持ちで読んでみました。本書はかなり現実的かつ丁寧に300頁という内容からは、かなり内容の詰まったものだと思います。まず最初に手に取る本としてよいのではないかと思いました。しかし、日本の大学院受験とはかなりシステムが違うのですね。あと、大学院の役割や制度についても知れて、かなり有益でした。恥ずかしながらIELTSやGMAT、GREといったテストを初めて知りました。ちょっと気になったので学部時代の成績を引っ張り出してGPAを計算してみたりしました(3.4でした)。それにしても自分の場合、大学院云々の前に博士号をなぁ…

未来の働き方を考えよう

ちきりん
『未来の働き方を考えよう』
文藝春秋
2013年7月20日(電子版)
IMG_2153 言わずと知れたちきりんさん(@InsideCHIKIRIN)の著書。移動の多い9月にKindleで読もうと落としていました。本質を突いた評論は素直に面白いです(フォローしてないけど)。副題の「人生は二回、生きられる」というのは一生一つの仕事を続ける限界についてなのですが、これから寿命が長くなり、年金受給も遅くなることを考えれば、これまでのワークスタイルでは生き辛いだろうというのは容易に想像できます。過去に築いた人的資産の質と量ではなく、何歳になっても新たな人的関係を構築していく能力が大事というのは、持たない生き方を指向する私にとっては激しく共感するところです。中大の竹内先生(@kentakeuchi2003)の5つのキャリアシナリオは職業選択の際、とても重要だと思いました。これはゼミ生なんかには話してあげたいと思います。市場価値を意識することが肝要ですね。

会計リテラシーが仕事も人生も変える!

久保憂希也
『会計リテラシーが仕事も人生も変える!』
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2012年9月15日
IMG_1438 一般向けの会計本を1冊。個人的には、とてもわかりやすい本だったという印象。タイトルの“会計リテラシー”は、あとがきのところに“会計感覚”とあるのですが、一般にわかりにくいとされる会計を、直観的にわかりやすい例えで解説されており、まさに感覚を掴むことに重点が置かれています。外部での一般向け講演会なんかで、本書のネタを少し借りようかとも考えてしまいます。高校生向けの模擬授業にも使えるかも。“会計”というものを掴みどころがわからない代物だと感じていらっしゃる方にお勧めです。「会計をマスターする方法は何ですか?」という質問は、自転車に乗れる人に「どうやったら自転車に乗れるようになるんですか?」と聞いているのと同じという表現は、なるほどです。

税理士試験の受験生日記

福田広文
『税理士試験の受験生日記』
Amazon Services International, Inc.
2013年3月13日
IMG_1421 またもKindle。税理士試験を受けたことはないのですが、ゼミ生には受験生もいますし、体験記を読むことで何かアドバイスできることでもあればとダウンロード。科目合格制度というものがなければ、日本において最も難しい国家試験が税理士試験ではないでしょうか(1回で5科目合格する方は、1年に1人か0人ですからね)。会計学科(しかも税務会計ゼミ)、そして科目免除系の大学院(会計学)だったこともあり、今となっては周りには多くの税理士先生(昔は受験生)がいらっしゃいます。そして、私の授業を受けた学生のなかにも5科目合格者が出始めています。みなさん、どんな苦労をされたのか…、改めて税理士試験の過酷さを痛感しました(なんて恐ろしい試験…)。そして、特に資格を持っていない私ごときが、受験生を前に教壇に立ってよいものか、と思わされました。ある程度、体系的な知識はつけておかなければ…

イメージでわかる簿記の本

伊平彰俊
『イメージでわかる簿記の本』
Amazon Services International, Inc.
2013年2月12日
IMG_1413 移動時間のKindle本として数冊ダウンロード。電子書籍は、通常の書籍では絶対に流通しないようなものまでありますよね(笑)。超初心者向けとして書かれてある簿記の基本です。簿記って、本当に最初のハードルが高くて、どうすれば理解できるかを追求した内容と言えます。ただ、本当にわかりやすいかについては初心者の方が読んで、どう思うかです。個人的には、仕訳が出てきたところあたりから、勘定科目が出てきたあたりから、雲行きが怪しくなっている(結局ハードル高くなっている)ような気がしました。導入部分、B/SとP/Lの仕組みくらいまでは、とてもわかりやすいと思いました。まあ、簿記の授業は、私もいろんな角度から毎年攻めていっているのですが、なかなか受講生の多くを簿記・会計の世界に引き込むことには成功していません。

さっさと不況を終わらせろ

ポール・クルーグマン
『さっさと不況を終わらせろ』
早川書房
2012年8月25日(電子版)
IMG_1364 久々のKindle本。クルーグマンの本は実は初めて(HBRの論文を読んだことはありますが)。スティグリッツの本は好んで読むので、感覚的にはその延長線上。内容は単純明快で、ケインズ的な財政出動の推進、金融緩和についての流動性の罠に嵌まっている現状分析、規制緩和批判(あと共和党批判)と、今の経済の仕組みのマズいところを大変わかりやすく説明しています。皮肉っぽい書き方が多いので、田中先生の時価会計(国際会計基準)批判を読んでいるようです。読みやすさとその言い回しも似ています。結局、行き着く先は“政治”なんですよね。どこぞのパワーバランスで政策(制度)というのは決まっているということ。富めるものがますます富んでいくという構造、欲望の歯止めが利かない仕組みに誰がどういう意図でしてしまったのか…。経済学を勉強したのは、12年以上前で、今では記憶から消えてしまっているのですが、経済学の面白さが伝わりますね。経済学部生には、読んでもらいたい1冊です。

論点思考

内田和成
『論点思考』
東洋経済新報社
2010年2月11日
IMG_1247 いつ購入したのかは定かではありませんが積読の1冊。姉妹書である『仮説思考』は読んでいたのですが、book diaryを検索すると読んだのは7年前のようです(驚)。日々、教学改革に携わっていて感じるのが、論点設定の重要さ。正しい問い、真の問題に気付く力が問題解決の肝であるということです。今回、なるほどだと戒めておきたいのが、現象か観察事実を論点と間違えないことです。これは多くの議論、特にビジネスの現場でありがちです。実行すれば成果が上がる「筋のよい」論点を設定したいものです。コンピュータのシステムダウンを例にした、症状から原因のあたりをつける難しさは言い得て妙ですね。

会計理論のアポリア

藤田昌也
『会計理論のアポリア』
2012年12月10日
同文舘
IMG_0850 そういえば、藤田先生の会計計算構造論は好んで読んでいた頃もありました。冒頭に「利益は存在しているのであろうか? 利益はどこからくるのであろうか?」という問いかけがあり、フロー計算、ストック計算の論理から包括利益や分配可能利益、引当金、資本と負債・資本と利益の区分について、会計学のアポリア(行き詰まり)を展開されています。おもしろいです。知的好奇心を刺激されまくり。会計学をしっかり学んで、卒論のテーマを考える時期にある学生さんなどには読んでもらいたいなぁと思う一冊です。試験寄りになりがちな授業でも、こんな話ができるといいなぁとか思ったり…。そう言えば、研究室には藤田先生編著の『会計利潤のトポロジー』があります。こういう言葉が好きなのかな

会計学はどこで道を間違えたのか

田中弘
『会計学はどこで道を間違えたのか』
税務経理協会
2013年3月31日
IMG_0652 3月末に発刊された田中先生の著書。『税経通信』2011年1月号から2012年12月号までの「会計学の黙示録」という連載を書籍化したものです。言わずと知れたIFRS&時価会計批判です。相変わらず読みやすいので、会計学を勉強している方には、気軽に手に取ってもらいたい一冊です。今回の特徴は企業会計審議会での議論を前面に押し出して、連単分離や公正価値会計の批判をされていることでしょうか。時価情報を欲している投資家とは誰?というのが重要な視点なのかなぁと思いました。取得原価か時価か、受託責任か情報提供か、という話はいつも自分の修論を思い出します。自分のスタンスは基本的にその時から変わっていないのですが、田中先生の本を好んで読んでしまうあたり、考えは近いのかもしれません。

日商簿記2級遠回り日記

Nishiyama Kazuhiro
『日商簿記2級遠回り日記』
Amazon Services International Sales, Inc.
2013年2月22日
IMG_0346 Kindleで会計系のいい電子書籍ないかなぁ〜と見ていたら出てきた一品。こういう個人体験記も販売されているんですね。こういった内容は、Blogで多くあることでしょう。ただ、間違いなく埋もれるでしょうし、読まれませんよね。こうやって99円で販売されていると目立ちます。そして、ポチッとする人がたまにいるという(私)。巷に溢れる合格体験記より、多くの方のリアルに近いのでしょうか。書いてあることはすべて正しいです。小学校で習う四則演算ができれば簿記学習にはまず困りません。著者が商学部会計学科というのは親近感湧きます。こういう文章に触れるのも電子書籍の醍醐味かもしれません(ネット上にタダでいくらでも転がっているんですけどね)。

あふれる情報からアイデアを生み出す「ものさし」のつくり方

吉川昌孝
『あふれる情報からアイデアを生み出す「ものさし」のつくり方』
日本実業出版社
2012年10月20日
IMG_0322 博報堂の生活総合研究所というところで考えられた情報をアイデアに加工する「INSIGHTOUT」という研究アプローチについて紹介されています。情報爆発のこの時代、情報に振り回されているなぁと日々感じ、どう情報を整理したらいいかを日々悩んでいます。最初に書かれてある「情報メタボ」「視野狭窄」「情報の運び屋」は気をつけなくてはならない視点です。「INSIGHTOUT」については、インプット部分がとても参考になりました。アイデアやプレゼンについては、同感といったところ。最後に付録として、実際の事例が紹介されています。私の研究スタイルもこんな感じですね。完全に滞っていますが…

娘たちと話す 左翼ってなに?

アンリ・ウェベール
『娘たちと話す 左翼ってなに?』
現代企画室
2004年11月15日
IMG_0285 なかなかゆっくり本を読めないので、手許にあった瞬殺で読めそうな本をチョイス。日常的に使用される右翼、左翼ですが、意外と言葉の定義は曖昧です。ちなみに本書では、右翼・左翼の語源は1789年8月のフランス国民会議における王の権限を決める議決で右に王の支持者、左に反対派(革命派)が集まったことに始まると解説しています。著者がフランスの方なので、ほぼフランスの話で解説されています。左翼、右翼の解説はもちろんですが、教養を身につけることの重要性を説いているように感じました。ちなみに私はどっちでしょう。これが結構難しい。自分の立ち位置さえ、わからない未熟者なのです。

日々の100

松浦弥太郎
『日々の100』
青山出版社
2009年3月29日
IMG_9550 「暮しの手帖」編集長の書き下ろしエッセイです。小物を中心に、身の回りにある愛着のあるモノ、大切にしているモノなどを100個取り上げて、写真とともに紹介されています。とても人間味のある内容で、忙しいなか息抜きに読んでいて、ほっこりした気持ちになれる1冊でした。自分でも身の回りにあるもので、ちょっとしたこだわりや大切なものを写真と文章でまとめてみるのもいいな、と思いました。いいモノに囲まれることは、人生を豊かにしてくれます。なんてことのない普段の生活ひとつひとつに、ちょっとしたエピソードが紹介できる人って素敵ですよね。最後に“僕のこと”ということで著者の経歴が載っているのですが、かなり変わった経歴の方で、それも魅力的だと感じました。
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