太田肇
『日本人の承認欲求 テレワークがさらした深層』
新潮社
2022年4月18日
20230430 太田先生積読シリーズです。大分⇔山口にて。コロナのテレワークネタを切り口にした、十八番の承認欲求の考察です。コロナ禍では、授業はオンデマンドやオンラインだったものの、田舎にいたこともあり、毎日出勤して研究室で作業していたので、特にテレワークらしいことはしていませんでした。学会がすべてオンラインだったことが、もっともテレワーク的な体験でした。承認欲求のないドライな仕事であれば、テレワークは目的遂行に特化した利便性のかたまりだと思います。ただ、仕事に付随した様々な刺激を求めるのであれば、それらを削ぎ落とした形が利便性の正体なのでトレードオフの関係にあります。それはそうと、組織における承認を得るために、なにかと滅私奉公する日本社会においては、慣習からの解放であり、その慣習で承認を得ていた人にとっては切ない働き方なのだと思います。GW明けからコロナも5類移行で、いよいよ日常が戻りつつありますが、コロナで本格化したテレワークも、組織文化によっては元に戻りそうな感じです。組織文化によっては。個人的には、裁量労働の世界に戻ってまいりまして、場所や時間にとらわれず仕事ができる環境になったのが、テレワーク云々より大きな変化です。本書にもあるのですが、週5のうち、2日出社、2日在宅、1日はサードプレイスで仕事するくらいが、最も良いのではないかと思いました。「コスモポリタン」と「ローカル」という分類は興味深かったです。日本はもっと「コスモポリタン」が増えるとよいと思います。いろんな選択肢がある世の中がいいですね。