ポールR.クルーグマン著/北村行伸訳
『クルーグマンの視座 ―『ハーバード・ビジネス・レビュー』論考集』
ダイヤモンド社
2008年12月4日
1.22 昨年、ノーベル経済学賞を受賞したクルーグマンの考え方を知るには、薄くてお勧めです。論文3本とインタビューで構成されています。2番目に紹介されている“A Country is Not a Company”は、タイトル通り国の経済運営と企業経営は全く別物だという内容で、確かに的を射ています。よく民間からの起用とか何とか言って、優れた経営者が国の政策の策定に関わることが多いですが、世界一大きな企業も複雑性では国民経済の足元にも及ばないわけで、国の経済政策は経営戦略と相容れないものです。これをクルーグマンは、オープン・システムである企業とクローズド・システムである国民経済という対比によって、わかりやすく説明しています。そして、国民経済の運営にこそ、学究の成果である一般原理を使用するべきだと。他にも示唆に富んだ内容がいっぱいの本でした。読んでみると面白いと思います。