浅野智彦 編
『検証・若者の変貌』
頸草書房
2006年2月15日
12.17 社会学系の論文集です。アカデミックなものであるからか、少々読み辛い(面白くない)部分もありました。若者をネガティブに捉えるのは、古今東西変わりがないわけですが、その語り口に対し、統計データをもとに一石投じようという内容です。今日の情報社会において「親密さ」について多元的な要素のうえに成り立っているのは確かだと思います。それは、友人関係の多様性であり、ネットが介在するからといって希薄化しているとは一概に言えないものです。むしろ、様々な状況ごとに、関係を柔軟に使い分けながらサバイバルせざるを得ないという状況があると思います。関係の多様化、流動化によって、求められるコミュニケーション・スキルはむしろ過去よりも上昇しているのではないかと。また、他者への配慮の欠如、公共性の衰退は、統計的に昔と変わらないと結論付けています。確かに、街で見かけるマナー違反は若者に目が向きがちですが、大の大人のものもかなり目にします。自分らしさを追及することが、自分らしさを確定することを妨げているというのも頷ける内容でした。ほぼ若者擁護論ですね。