2021年04月

マクロ実証会計研究

中野誠、吉永裕登
『マクロ実証会計研究』
日本経済新聞出版
2020年6月19日
20210328 最近、中野先生の記事や論文を読んでいたので手に取りました。「最先端の研究を一般読者にもわかりやすく」ということですが、会計・ファイナンス・経済の初心者にはさすがに難しいかな、とは思います。結構な数のドッグイヤーになっているので、何を紹介するか迷うところですが、実証研究のいろはや、(くだけた感じの)研究者界隈の話は、この本ならではでおもしろかったです。一般の人からすると、当たり前の話を、難しそうな検証を通して、難しく説明しているように思われかねないですが、私は新しい領域の開拓というのは読んでいてテンションが上がりました。ガチガチの学術書は眠くなるし根気がいるのですが、こういう読みやすい専門書は貴重です。そういう意味では『企業会計』の連載記事はいいですね。Python、ニュートン、数学、5月号からは本書のテーマでの連載も始まりました。いつの間にか、データ解析なしには会計は語れない時代になってしまいました。理屈をこねくり回していた頃が懐かしい。

今日から使える行動経済学

山根承子、黒川博文、佐々木周作、高阪勇毅
『今日から使える行動経済学』
ナツメ社
2019年4月1日
20210411 6,7年前くらいから実証系に移行していかないと、、と思いながら計量を勉強しないとなぁと本を買ったりしてきましたが、手付かずのまま。そうこうしているうちに行動経済学がおもしろそうだと『経済セミナー』なんかをチラ見しているうちに、いつの間にかサラッと読むように手元に置いていた本です。目次よりも索引を見た方が、扱っている内容がわかりやすいです。ざっと読んだ感じでは、プロスペクト理論の価値関数(左右非対称な傾きのS字型の曲線)がキーだと感じました。状況によって差がわかりにくくなる心理、見せ方・言い方で印象が変わることを使用して詐欺師まがいのことをする人たちの手法に通ずるところがありますね。役立つのは、モチベーション管理かな。ナッジに関連づけて、研究テーマ考えるとおもしろくなりそうなんですが、本格的に勉強しないと先に進めませんね。

会計の世界史

田中靖浩
『会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ――500年の物語』
日本経済新聞出版
2018年9月26日
8B99E619-ED17-4115-ACF4-546D6EF1238F 『会計の世界史』読み終えました。↓の本は簿記・会計、ファイナンスの繋がりを理解する良本でしたが、本書は簿記、財務会計、管理会計、ファイナンスの違いを歴史から学ぶのにもってこいです。どうしても大学等の授業では、別々に学ぶので別物に感じてしまうのですが、同じ対象物を違う観点から捉えているに過ぎません。この間に感じたのは、教科書的な内容+αで、歴史から学ぶと無味乾燥な公式にも少し人間味が出てくるのかな、ということです。ビジネスを学ぶ際に必ず出てくる人や会社も会計の歴史にはもれなく登場してきます。会計=経済の歴史でもあるので。話は変わりますが、改めて歴史から学ぶっていうのは、重要だなぁと感じました(失敗や過ちを繰り返さないために)。JGAAP、USGAAP、IFRSをのび太基準、ジャイアン基準、スネ夫基準と呼んでいるのはおもしろかったです。
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