2009年11月

悩む力

姜尚中
『悩む力』
集英社
2008年5月11日
DSC05384 売れてるらしいし、面白そうなので読んでみました。かなり共感するところが多かったです。科学的な合理化は、人間の行為の持っていた大切な意味をどんどん奪っていくというのは、確かにそうとも言えます。あと、知ってる、知らないで頭の良し悪しを決めるのも、違う気がしますね。つまりは、「物知り」「情報通」と「知性」は違うし、「know」と「think」も「information」と「intelligence」も違います。学識、教養も大事ですが、協調性や道徳観も含めた総合的なものが知性と呼べるものでしょう。余計なことを考えている暇があったらスキルを身につけ、専門知識を身につけ、なんて言ってると、何か足りない人になりそうです。人間の知性は、「真」「善」「美」にかかわっているというのは、簿記学会のときの井尻先生の講演みたいでした。

「論語」に帰ろう

守屋淳
『「論語」に帰ろう』
平凡社
2009年10月15日
DSC05368 やっぱ古典はいいですね。そこら辺の自己啓発本とはわけが違います。偏りなくすべてが凝縮されています。儒教は宗教ではないという解説部分で、夢見物語ではない常に現実を見た『論語』の内容にグッときました。孔子の普通っぷりも面白く読めました。「人柄や品性を磨くのが学問」と考えた場合、今現在の研究者としての自分はどうだろうか。知のあり方を考えさせられます。専門を極めるのは、もちろんですが、教養を深めて人柄や品性を磨いていくことも共に重要です。

「文系・大卒・30歳以上」がクビになる 大失業時代を生き抜く発想法

深田和範
『「文系・大卒・30歳以上」がクビになる 大失業時代を生き抜く発想法』
新潮社
2009年10月20日
DSC05361 酷いタイトルですが、内容もかなりのものです。世のホワイトカラーは能無しと、コテンパンに扱き下ろされています。著者ご本人は、悪意はないとのことです。具体的なところでは、「監査部のためのコンプライアンス」、「システム部のためのシステム導入」などを例に挙げられています。まあ、確かにそうとも言えますが、やはり少々言い過ぎか、とも思います。ただ、必要以上に見栄え良く、半端ないページ数の書類は必要ないですね。コイン・ポリッシャーには、ならないように気を付けないといけません。一言でいうと、「意味のあるいい仕事をしましょう」ということですね。

就活って何だ 人事部長から学生へ

森健
『就活って何だ 人事部長から学生へ』
文藝春秋
2009年9月20日
DSC05312 いろいろな企業の人事担当者のインタビュー集です。私自身、長いこと就活中ですが、相手の視点というのは本当に大事です。そして、自分の心からの熱意も。付け焼刃的に美辞麗句を並べ立てても、相手に思いは届きません。ましてや、自分が話したいこと、自分が用意したことを延々と話すなんて、コミュニケーション無視もいいところでしょう。面接は、いかに素の自分を出せるかであり、いかに素の自分を伸ばしておくか(鍛えておくか)だと思います。と、言うは易し。私自身、面接は大の苦手です。読んでいて“金太郎飴”という単語が幾度となく出てきた気がします。マニュアル通りに淡々と面接をこなす人に魅力を感じないということの表れでしょう。何かを語れる人になることが肝要ですね。

幸福の方程式 新しい消費のカタチを探る

山田昌弘、電通チームハピネス
『幸福の方程式 新しい消費のカタチを探る』
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2009年9月10日
DSC05303 久々に山田先生の本です。この不安定な世の中で、安定してそこそこの暮らしができればいいと願うのは私だけではないと思います。ロスジェネ世代の幸福の形って、そんなとこだったりするのかなぁと思います。あと、明らかに志向が細分化されていて、クルマにせよ服にせよ、「○○したい人」、「○○できさえすればいい人」の差が大きいのも若い人たちの特徴だと思います。“電車では座ることが大きな幸福だと思っている”のは、内発的な動機ではなく動かされているだけというのには、ハッとさせられました。空いた座席が希少資源だから座らないと損と奪い合うだけで、確かに座らなきゃならないわけでもないですね。立って景色を眺めたいときもあるかもしれないわけで。

図で考えるとすべてまとまる

村井瑞枝
『図で考えるとすべてまとまる』
クロスメディア・パブリッシング
2009年9月11日
DSC05291 私もタイトルの通りだと思います。頭で考えても始まりません。なんでも図にしましょう。解決の糸口が必ず見つかるはずです。本書は、図のパターンから、資料の作成のポイントまで、ビジネスパーソンが身につけておくべき基本が、わかりやすく説明されています。仕事でドキュメントのチェックをしてもらっていたときの話がそのまんま載っているような内容でした。デキる人は、ここに書いてあることは必ずできていると思います。
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