2009年08月

センスのいい脳

山口真美
『センスのいい脳』
新潮社
2009年8月20日
20090831 なんだか意味深なタイトルに躍らされて購入。著者は、赤ん坊を対象にした実験心理学を中心に研究されている認知心理学者さんです。なるほどと思う部分もありましたが、想定の範囲内というか、そこまで胸の躍る内容でもなかったというのが正直な感想です。小さい頃から2ヶ国語、という環境の危うさ(どっちつかずになってしまう)を指摘されているのは確かにそんな気がします。自然に両方ペラペラって人に、正直会ったことないですし。まず、一つの言語をきちんと使いこなせることが第一歩なんだと思います。話は変わりますが、巷の人は、英会話に通うより、きちんとした日本語を使えるレッスンをしたほうが確実に役立つと思っています。

複雑性の科学の原理 企業や社会を劇的に変える方法論

唐沢昌敬
『複雑性の科学の原理 企業や社会を劇的に変える方法論』
慶應義塾大学出版会
2009年6月30日
20090827 とても示唆に富んだ内容でした。アノミーな感がある現代を、複雑性の観点から説得力のある説明がされている気がします。カオスから好ましい秩序を構築していくには、東洋が蓄積してきた人知を超えた気や理という上位の法則を意識した考え方に利があると思います。そして、西洋的な科学万能の合理主義の限界も示唆しているのかと。実験に基づく法則の発見、モデルを組んで将来を予測するような統計的分析は、物事の一部分を見ているに過ぎないわけで、自然科学においては有用なこの技法も、社会なり自然全体を対象とすると自ずと限界があるのは直感として誰もが思うでしょう。原理とメカニズムの解明を、上位の法則の存在を意識して進めていくことは重要と言えます。実態からかけ離れた金融経済の膨張は、上位の法則に反する典型的な行動と指摘されています。仏教・神道・道教・儒教を基礎とした基本的価値の体系の存在が、日本の優位性であると思います。

コハダは大トロより、なぜ儲かるのか?

林總
『コハダは大トロより、なぜ儲かるのか?』
ダイヤモンド社
2009年8月6日
20090814 『餃子屋とフレンチでは〜』『美容院と1000円カットでは〜』でお馴染みの林先生の最新書籍です。例のごとく、安曇先生と由紀さんのやり取りに学ぶ管理会計です。物語形式なので非常に読みやすくて、会計が嫌いという方にはいい本だと思います。簡易なテキストの事例や問題に慣れると、数字を鵜呑みにしてしまいがちです。会計数値に騙されず、本当の実態をつかむためには、数字の背景をきちんと押さえておかなければならないことを痛感させられます。普段は財務会計専門なので、管理会計は研究対象からは外れてしまいますが、授業では扱う内容ですから、興味を持ってもらえるように、また使える知識を養ってもらうために、こういった本を参考に工夫が必要です。

なぜ正直者は得をするのか 「損」と「得」のジレンマ

藤井聡
『なぜ正直者は得をするのか 「損」と「得」のジレンマ』
幻冬舎
2009年7月30日
20090811 本書のテーマは、利己主義者は最終的に損をし、非利己主義者は最終的に得をするというものです。正直者はバカをみないという道徳的なテーマを、心理学、進化論、経済学や倫理学をもとに実証されています。中身は、新古典派(ミクロ経済学)における合理的選択理論の批判であり、規制緩和、民営化に対する批判です。合理的選択理論なんてあり得ない前提であることは、誰にでも明白ですが(昨今の暴利を貪って経済危機を招いた証券マンには当て嵌まりますが)、教科書的にはこれが基本です。後者については、極度な利己主義に陥らないための規制をなくし、利己主義が跋扈した。公に資するための職務である公務員、もしくは公務を利己的な利益を追うシステムに改造し、必要な無駄を排除し、公共の利益を社会から削ぐ結果になった、と。昨今の経済至上主義は、一部の裏切り者(利己主義者)に歩調を合わせた“腐ったリンゴ効果”によって社会が退廃していく様を見ているようでした。でも、やはり正直者が勝つのが自然の摂理です。

「鳥の目・虫の目」発想読本

高橋宣行
『「鳥の目・虫の目」発想読本』
PHP研究所
2009年7月17日
20090806-1 巷の多くの本でも書かれてあることですが、俯瞰力とディテールを読む力の両方が大切だよ、というコンセプトの本です。理性&感性、伝統&革新といった対になるキーワード20個を挙げて、クリエイティブに考えるヒントが書かれてあります。発想するために、複眼的な視点は、重要過ぎるほど重要です。様々な情報を集め、様々な視点から考察することでしか創造は生まれません。理性や合理性を追求するのもよいですが、感性や非合理性も必ず必要なものです。今の時代、知識ではなく知恵だ、考える力だ、応用力だ、と言われますが、やはり土台は豊富な知識です。

なまけもののあなたがうまくいく57の法則

本田直之
『なまけもののあなたがうまくいく57の法則』
大和書房
2009年7月30日
20090806-2 『レバレッジ〜』の本田さんの本です。生来の怠け者の私は、夏休みの宿題をきちんとやったり、通信教育をきちんとこなしたりするようなしっかり者の対極にあるような人間です。ウチにゲームもマンガもないのは、やり始めると時間を忘れて没頭する堕落型の自分をよーく知ってるからであり、家ではなくカフェなどの外で作業するのも、テレビ観たり、昼寝したり、怠けて集中できないことをよーく知ってるからです。本書は、怠け者がダメ人間にならず、うまくいく環境を作るための考え方が紹介されています。まるで自分の日々の生活が解説されているような内容でした(ホントに)。

手塚治虫「戦争漫画」傑作選

手塚治虫
『手塚治虫「戦争漫画」傑作選』
祥伝社
2007年8月5日
20090806-3 祥伝社新書という新書です。初めて買いました。そして、タイトル通り漫画です。↑でマンガは家にないと公言しておきながら購入。内容は短編が7作。考えさせられます。それにしても手塚治虫は60歳で亡くなるも、生涯で15万ページ、全集にして全400巻もの漫画を描いたんですから、とんでもない人物ですね。
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