すべての経済はバブルに通じる

小幡績
『すべての経済はバブルに通じる』
光文社
2008年8月15日
10.25 バブルの本質を論理的に解説した良書です。リスクに変質を起こし、膨張する金融資本主義を支える“証券化”の功罪を考えさせられる内容でした。これまでのバブルとは異なり、構造的な必然性を持って生じるリスクテイクバブル、そしてキャンサーキャピタリズム。合成の誤謬が支配する市場は、やはり常軌を逸してると思います。本書では、2007年2月末の上海発世界同時株安からサブプライムショック、そしてそこから続く世界同時株安スパイラルを2008年3月くらいまで詳細に分析検討されています。今思えば、リーマン破綻以前の暴落はかわいいもんだと思わされます。

下流大学が日本を滅ぼす!

三浦展
『下流大学が日本を滅ぼす!』
KKベストセラーズ
2008年8月20日
10.22 このベスト新書という新書は、どうも品がありません。新書yと同様に、週刊誌的なものを感じます。また、文章のなかで“バカ”という単語を連呼するんですよね、読んでいてあまりいい気がしません。と、そんな内容なのですが、当を得ている部分も少なくありません。大学の危機的状況は、かなり切実なものです。「今の大学教員はファミレスの店員みたいなもの」というのも関係者として笑えません。私大の入学者のうち一般入試が49.6%という数字には、少々驚かされました。今時、受験勉強して大学に入るというのは少数派なのですね…。個人的に、大学進学率は2割程度でいいと思ってます。大学の数も今の1/3でいいんじゃないかと…。

座右のニーチェ

齋藤孝
『座右のニーチェ』
光文社
2008年6月20日
10.18 Book Diaryちょうど500冊目。30までに1,000冊読もうと目論んでましたが、ムリっぽいです。さて、齊藤先生の本は久々でした。世間のくだらない文化に染まらず、自分をしっかり持って創造的に生きるヒントがいっぱいでした。ネットや週刊誌における嫉妬心や復讐心を露にすることを恥じない文化は、確かにどーしたものかと思うところです。ニーチェの言う「小さな人間」が多いのは確かです。まあ、人間とはそもそもそういうものだとも言えますが。あと、全く新しいアイデアなりを発表してもなかなか評価を受けず、予定調和のあるある感に満ちたものがウケるというのには、確かに頷けました。才能より意欲のほうが本質的な力という意見も同感です。

だれかに話したくなる小さな会社

浜口隆則、村尾隆介
『だれかに話したくなる小さな会社』
かんき出版
2008年9月19日
10.16 企業のブランド構築についての本です。現実は厳しいですが、いい内容でした。ブランドを持つと顧客、人材、情報、お金などが向こうからやってきてくれるのに対し、ブランドを持たないと顧客、人材、情報、お金などの獲得にいつも必死になっていなければならないと(しかもすぐ逃げられる)。ブランドを作るというのは「誠実であること」。誠実に、当たり前のことを、当たり前にこなすことだとするのは、大共感です。そして、ファンを作ることだとするのも大いに頷けます。誠実を忘れた“ズル賢い会社”なんて絶対大成しません。必ずしっぺ返しを食らうこと請け合いです。あとがきにある「大人という名札と交換に、捨てられる無邪気さ」も忘れたくないものだと思いました。

プロフェッショナルプレゼン。

小沢正光
『プロフェッショナルプレゼン。』
インプレスジャパン
2008年9月21日
10.13 ちょっと心に余裕がなくなってきたのか、読書量がガクンと減ってしまいました。字数も少なく、読みやすい本でした。プレゼンは説得ではなく、理解してもらう場というのは確かに的を射ています。あと、あくまでライブであるから、その場の空気にあわせた臨機応変な対応が必要というのもまさにそのとおりだと。そういう意味では、講義はまさにライブです。学生の理解を無視して計画通り進めても何も意味ないですからね。プレゼン同様、用意周到な準備が必要です。あと、謙虚に質問や意見に耳を傾けることは重要ですね。大抵、こちらの説明不足ですから。相手に反論しても意味はないです。

シンプリティの法則

ジョン・マエダ著/鬼澤忍訳
『シンプリティの法則』
東洋経済新報社
2008年4月24日
9.28 複雑なものを間違のない状態でシンプルにするのは至難の業です。本書では、シンプリティについて、10の法則と3つの鍵を用意してくれています。たった100ページの本ですが、かなり奥が深いです。この本は洋書なのに、なにかと日本の話が多かったです。日本文化は、シンプリティを体現していると言えるのかもしれません。あと、“マエダ”って言うくらいだから、著者は少なからず日系なのでしょう。教育について、人生について、少し考えさせられた1冊でした。

[非公認]Googleの入社試験

竹内薫
『[非公認]Googleの入社試験』
徳間書店
2008年7月31日
9.25 ホンモノかどうかはわからないわけですが、まあほとんど実際に使用されたものなんだと思います。フェルミ推定のような問題やユーモアを求める問題もありますが、ほとんどが超理数系の問題で、模範解答を読むのも投げ出す始末でした。さすがGoogleといったところです。この問題を楽しんで取り組める素養がある人はスゴイです。それにしても、企業側が求めている人材像が明確で受ける側にとっても納得のいく内容だと思います。この本を読んで数学の素養のなさをつくづく感じました。ある程度できないといけないよね…。

ひらめきの導火線

茂木健一郎
『ひらめきの導火線』
PHP研究所
2008年9月2日
9.22 新書が続いてます。やっぱ、新書は読みやすくていいです。日本人には、創造性・個性・独創性がないということろから始まり、そんなことはないよ、でも課題はいっぱいあるね、という本でした。日本のサブカルチャーは世界的にも戦えるようになってきてますが、ハイカルチャーはめっきりという指摘は頷けました。知性の試される総合科学・学問というものが、“専門”という名の下に等閑にされていると思います。あと、人文科学での閉鎖的な雰囲気と日本語という壁は厚いですね。ボクも英語が苦手なのでなんとも言えませんが…。

続ける力

伊藤真
『続ける力』
幻冬舎
2008年3月30日
9.20 司法試験の“伊藤塾”の塾長さんです。私にとって受験勉強は最も不得意とするものです。未だかつて勝利を手にしたことがありません。さて、受験勉強に限らず、「継続は力なり」です。ムリをせず、自分のペースで十分なモチベーションを保ちながら、生活に取り込んでいくことが秘訣だと思います。そういう意味では、カメさんペースながらも研究もこのBook Diaryも無理なくマイペースに続けているかもしれません。わかりやすい成功という結果に繋がるかはわかりませんが、自分にしか出来ないことができるようになるための何らかの肥しになっていると思います。本書では、伊藤さんの熱い志に触れられたことが一番よかったです。

凡人として生きるということ

押井守
『凡人として生きるということ』
幻冬舎
2008年7月30日
9.19 「イノセンス」や最近では「スカイ・クロラ」なんかを撮っていらっしゃる映画監督さんです。全体を通して、現代の日本の有様を批判的に語られています。共感する部分も多いですが、少し違和感のある主張もちらほら。基本的に、押井さん自身の経験をもとに人生観を述べられていると思います。ボクは、今の若者はサービスに徹した便利で楽しい「娯楽」と昔ながらの人としての「倫理」という大人が提供する二重基準に翻弄されていると思いました。映画監督という職業を通して、自分の表現したい、主張したいことを貫いている姿は、スゴイなぁと思います。

日本人の精神と資本主義の倫理

波頭亮、茂木健一郎
『日本人の精神と資本主義の倫理』
幻冬舎
2007年9月30日
9.17 いつも温厚に見える茂木さんが、怒れる人として語ってます。憂うべき日本の現状を遺憾なく批判されているように感じました。「サンダル突っかけているオバサンも100億円稼いだ資産家も、精神性において違いなどまるでないのが今の日本」であって、「ピアプレッシャー」+「大衆というバケモノ」が世の中をおかしな方向に導いているのだと思います。やはり今の日本人は、あまりに享楽的過ぎるのでしょう。「ノーブレス・オブリージュ」を持ちえた人を育むためには、何が欠如しているのか。ボクは↓の本なども含めて、ストーリーの欠如だと思います。行動の起点に、倫理感や信念が足りないのだと。

企業力とデザイン

ピエ・ブックス
『企業力とデザイン』
2008年7月20日
ピエ・ブックス
9.15 また、デザイン系です。日頃なんとなしに使ってるカフェや知ってる人なんかが出てきて、思いのほか楽しめました。↓も含めて、なにごとにもストーリーが大切だなぁと思わされました。形や結果だけでは、まだまだだと。もっと濃い思考で、ものごとに取り組む必要性を感じました。それにしてもこういう写真入りのキレイな本は高いです。↓もこれも¥2,500以上でした。専門書並みだ。

60VISION ロクマルビジョン 企業の原点を売り続けるブランディング

ナガオカケンメイ
『60VISION ロクマルビジョン 企業の原点を売り続けるブランディング』
美術出版社
2008年7月25日
9.13 主として60年代の廃番商品を「復刻し、販売し続ける」ということを事業としているのが“60VISION”です。単に復刻ということではなく、ブランドの整理・確認という過程を重視していらっしゃいます。本のなかで紹介されている商品は、どれも魅力的でステキなモノばかりです。そして、必ずどこかで見たことがある。マーケティングを起点とした既存の商品開発について、いろいろと考えさせられた1冊でした。ちなみに、本書を手に取るまで “60VISION”自体知らなかったです。

ウチのシステムはなぜ使えない

岡嶋裕史
『ウチのシステムはなぜ使えない』
光文社
2008年3月20日
9.11 正直、ヒドイ言われ様だと思いました。真面目にきちんと業務をこなしている方にしてみれば、許し難い内容でしょう。でも、それなりに思い当たる節もあるのは事実だと思います。まあ、その分改善していかなくてはならない問題が、余すことなく書き連ねられている気がしました。システム開発は本当に大変なものです。ましてや運用・保守は、もう…ね。筆者は“あとがき”で「自身がSEもどきだったから」と書かれています。きっと、現場で思うことが沢山あったのでしょう。

ゆらぐ脳

池谷裕二、木村俊介
『ゆらぐ脳』
文藝春秋
2008年8月10日
9.5 脳のこと、研究のこと、とても示唆に富んだいい本でした。特に研究に関しては、池谷さんの思っていることがありのままに書かれてあり、非常に勇気付けられました。また、「系統のなかの派生」だとか、「合理主義は非効率的」だとか、共感する部分が多かったです。所属していた研究室では、学部、修士、博士で研究テーマを変えなければならないとされていたということには、正直驚きました。普通は一貫したテーマでの研究を強いられますからね。でも、私はその方が様々な観点からモノを捉えることができるようになるし、何より発想の幅が広がるので、その後の研究にとって有用だと思います。研究には、幅広い知識(専門以外の知識)と俯瞰する力が必要です。

中国人のビジネス・ルール 兵法三十六計

梁増美
『中国人のビジネス・ルール 兵法三十六計』
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2008年6月15日
9.2 中国人の強かさは、筋金入りです。ましてや、ビジネスにおいては言うまでもありません。生き残るためには何でもありです。生ぬるい島国ニッポンと大陸の違いを感じます。本書は、そんな中国大陸の歴史から生まれた『兵法三十六計』が紹介されています。生き残るための術がわずか136字でまとめられています。私は『孫子』の“彼れを知り己を知らば、百戦殆うからず”を座右の銘にしていますが、『兵法三十六計』はそんな哲学的な内容ではなく、もっと生々しい処世術です。確かに的を射ていますが、倫理的にどうも受け付けないといった感じです。でも、そんな甘っちょろいことを言っていては、世の中渡っていけないんで、必要に応じて使うべきでしょう。

なぜ、仕事ができる人は「効率」を無視するのか?

夏川賀央
『なぜ、仕事ができる人は「効率」を無視するのか?』
アスペクト
2008年6月6日
8.30 常々、非効率な急がば回れ的な判断のなか生きてます。そんな自分のために購入。世の中には、受験勉強のように効率を追及し、自分を殺して成果を手にする方がいらっしゃいます。元来、ワガママかつ頑固なボクには土台ムリなことなので、そういう努力ができる人のことを本当にスゴイと思ってます。でも、好き勝手回り道しながら生きているボクも、思いのほか楽しく生きています。非効率なほうが、毎日の活力や想像力、そして経験を得られ、何より自分らしく生きれます。セオリー通りやみんなと同じでは面白味がないのです(なんと自分勝手かつ無責任な発言)。非効率、お勧めします(もちろん意味のある非効率を)。

A4一枚勉強法

三木雄信
『A4一枚勉強法』
日本実業出版社
2008年4月20日
8.27 タイトルに共感して購入。日頃からスケジューリング(タスクの整理)や情報の整理には、ノート見開き等、A4程度の大きさでちょちょいとメモ程度にまとめることが多いです。なにせ、自分の脳に最適かつ最大のサイズなので。どんなに難しいことや大量の文章・資料も、結局はこのサイズで考えたものの積み重ねと言えます。本書では、A4シートを使って、全40の活用法が紹介されています。よくできたシートなので、すぐに活用可能だと思います。こういう知識整理法は、自分が他人に説明するときにも大いに役立つと思います。やたら量が多くてわかりづらい資料は嫌気がさすものです。

会計制度の経済学

山本昌弘
『会計制度の経済学』
日本評論社
2006年3月10日
8.24 ということで、買ってみました。連載されていたのが4年前ですから、当時を懐かしみながら読みました。当時は、経済セミナーに会計の連載があるってだけで驚きでした。内容もそこら辺にはコロがってない経済学との関連を基調にしたもので、今読んでも非常に興味深いです。ただ、数式が出るとついつい飛ばしてしまうのは、今も昔も変わらないというか…。このザマでは、時代に取り残されてしまいます。さて、この大きさの会計学の本(↓の本や田中先生、中村先生の本なんかも)は、読み物として書かれてあるので、通常のテキストよりは数段に読みやすくて面白いです。会計学がつまらないと思う人は、読み物から入るといいかもしれません。

会計とは何か 進化する経営と企業統治

山本昌弘
『会計とは何か 進化する経営と企業統治』
講談社
2008年6月10日
8.16 アカウンタビリティを土台として、会計の歴史と現在、そして経営と管理会計とタイトルの“会計とは何か”を非常にわかりやすく説明されています。読み物としても面白く読めると思います。会計学の系譜もよくわかりますし、↓に続いて会計学を学ぶ学生さんには是非読んでもらいたい1冊です。さて、↓にも書きましたが、山本先生は経済セミナーでの連載も非常に面白い内容でした。その連載は↓と同様に書籍になってるんで、近々買ってまた読んでみようかな。

変貌する現代会計

石川純治
『変貌する現代会計』
日本評論社
2008年7月20日
8.12 経済セミナーで連載されていた「現代会計を読み解く」がベースになっている本です。経済セミナーの連載は、山本先生の「会計制度の経済学」もそうですが、会計の専門雑誌でもないのに非常に読み応えのある内容のものが多いです。複雑に絡み合った現代会計の問題をここまでわかりやすく、理路整然に、そして何より読みやすく書かれている先生にはホントに脱帽です。こんな本を書ける研究者になりたいものだと思わされます。ちょっと難しい部分もあるかもしれませんが、会計学を学ぶ学生さんには、是非読んでもらいたい1冊ですね。

情報は1冊のノートにまとめなさい

奥野宣之
『情報は1冊のノートにまとめなさい』
ナナ・コーポレート・コミュニケーション
2008年3月20日
8.5 本屋に行けば必ず平積みされている本書を見たときに、そうだよねーなんて思っていました。いちいちノートを別にしてたら欲しいときに情報がなかったり、メモとるのに躊躇したり、なにかと損することが多いです。昔からいつでもメモできるメモ帳は持ち歩いていたのですが、ここ2年は完全ではないにせよ基本ノート一冊です。東屋のプロ.ノート(A5版)は、320ページと容量もあって、何はともあれ装丁が気に入ってるので愛用してます。高いけど。スケジュール帳と持ち歩きメモ帳は、MOLESKINE。本書は100円ノートを勧めていますが、そういう意味では、完全に逆らってますね。

会津藩VS薩摩藩

星亮一
『会津藩VS薩摩藩』
KKベストセラーズ
2008年7月15日
7.30 会津の方にお会いすると、いつも腰が引けてしまいます。そして、謝ります。残念な長州人です。会津の方の真面目さは、本当に素晴らしいモノです。そして、正しいものが勝つと信じている私にとって、会津の運命は衝撃的でもあります。ただ、旧態依然としたままでは、やはり生きていけぬのもまた事実。ある程度の頭の柔らかさは必要です。バランスのとり方でしょうね。私の歴史好きは、小3のときの年末時代劇「白虎隊」から。このドラマで悪役である長州が地元だと知ったときの衝撃といっちゃーないです。

知っておきたい日本の神様

武光誠
『知っておきたい日本の神様』
角川書店
2005年11月25日
7.27 引き続き武光さんの本を買ってみました。お次は“日本の神様”です。生まてすぐからお宮参りしてるくせに、ちゃんと知ってる人は少ないですよね。近所の氏神様さえ、誰が祭られているのか知らないとか。日本という国の成り立ちを知るうえでも知っておいて損のない話だと思います。特に戒律もなく、「自分の良心で判断して正しいと思ったことを行なえ」と説く神道も悪くないです。

知っておきたい日本の名字と家紋

武光誠
『知っておきたい日本の名字と家紋』
角川書店
2007年7月25日
7.24 名字や家紋を調べるのは、小さい頃から好きでした。ほんと、読んでいて飽きません。著者の武光さんは同郷の方です。なので、本を読み進めているといつも“防府”が何度か出てきます。武光さんの本は『県民性の日本地図』『藩から読む幕末維新』に続き3冊目だと思います。実に興味をそそられるものばかり。しかし、名字と姓が別物で、姓が出自を表すものとは知りませんでした。そういえば、昔、ウチの姓は“藤原”だと聞いたような気がします。家紋は日本の伝統美です。だいすき

働くということ

日本経済新聞社 編
『働くということ』
日本経済新聞社
2006年9月1日
7.23 2005年に日経で連載されていた「働くということ2005」は、「ジェネレーションY」とともに非常に興味深く読ませてもらった特集でした。日経から出版されていた『働くということ』も本屋で見ながら前々から読みたいなぁなんて思っていたら、文庫本であったので買ってみました。就社していた昔と違って、今は働き方も様々、自分で何をしたいか考え、挑戦していくほかありません。本書はいろんな人のいろんな人生が垣間見れます。読んで損はない1冊です。それにしても覇気のない表紙です。暗っ

SEのためのうつ回避マニュアル 〜壊れていくSE

(株)ピースマインド
『SEのためのうつ回避マニュアル 〜壊れていくSE』
翔泳社
2008年5月20日
7.19 年間労働時間が全産業平均より300時間多い情報処理産業。そのうえ、多種多様な職種×スキルの進歩の速さ×不安という苦しい環境がSEを”うつ”にさせるのでしょう。良くも悪くもボクは「過酷さを自覚するとやってられないので、気付かないふりをして働き続ける」のは得意です。そんなノー天気なボクは“うつ”とは無縁だとは思いますが、SE時代はストレス&過労で免疫力が下がって身体に異変が起きていたものです。そんなSEの過酷な環境をどーしたもんかと思って書いたのが一昨年の論文であり、いろいろと思うところは少なくありません。しかし、システム構築というのは、現場の担当者以上に業務を知らないとできない芸当です。いろんな業種でいろんな業務を最新技術でシステム化していくSEはやはりスゴイです。

世界をつくった八大聖人 人類の教師たちのメッセージ

一条真也
『世界をつくった八大聖人 人類の教師たちのメッセージ』
PHP研究所
2008年4月30日
7.12 数千年にわたり語り継がれている古典には、あらゆる物事の本質が実にうまく記されているものです。タイトルを見て、これはなにか得るものがありそうだと思い読んでみました。ちなみに本書の八大聖人とは、ブッダ、孔子、老子、ソクラテス、モーセ、イエス、ムハンマド、聖徳太子の8人で、まさに人類の教師と呼ぶに相応しい人たちです。内容は、この200〜300字のコメントでは言い表せない濃さです。そして、著者が大手冠婚葬祭会社の社長さんということろがなんとも意外。憲法17条で「和を以て貴しと為し〜」と説いた聖徳太子。儒教によって社会制度の調停を図り、仏教によって人心の内的平安を実現するという、心の部分を仏教が、社会の部分を儒教が、自然と人間の循環調停を神道が担う世界に二つとない素晴らしい制度を作ったもんだというのが私なりの本書の要約です。この大いなる和の国(大和の国)に生まれてよかったと思います。

人事はどこまで知っているのか

岩瀬達哉
『人事はどこまで知っているのか』
講談社
2008年4月25日
7.4-2 下世話な人事ネタかと思いきや、意外とまともなことが多く書いてある本でした。人事というのは、究極的には好き嫌いだと思います。好きになる人(=できる人、信頼できる人)は、「当たり前のことを継続して実践できる人」、「つまらない仕事を完璧にやる人」だと思います。本書のなかで紹介されていた「時間・約束厳守度」「連絡・連携度」「異論上申度」「泥かぶり度」「情報支援度」は、シンプルに本質をついたものだと感服しました。それにしても、自分も含めて平凡な仕事を完璧にやれる人は実に少ないものです。

メゲナイ人は「単純」に考える!

ポジティブ久保
『メゲナイ人は「単純」に考える!』
すばる舎
2008年6月22日
7.4-1 無休も4ヶ月目に差し掛かり、少々弱ってます。疲れるとついついサクっと読める本に走りがちです。しかしこの本、タイトルはいいとしても、著者の名前はどうでしょう。ポジティブ久保って。ボクなら“ポジティブ山根”といったところでしょうか。ウケる。メゲテル人用の本なのか「そんなことを考えているキミは素晴らしいね」という言い回しが多いです。褒めているのか貶しているのか、わからない感想ですが、前向きに考えるコツがシンプルに書かれてある本であることは確かです。メゲテル方はどうぞ。

アカウンティング

山本和隆、伊藤良二
『アカウンティング』
ファーストプレス
2008年4月14日
6.27 会計の本はどれもこれも面白くありません。表紙のシンプルさと「実務家と学者のシナジーが発揮できたのではないか」なんて書いてあったので、手にとってみたのですが、やはり面白さには欠けますね。ここまで簡略化しても。会計本の宿命なのでしょうか。個人的には、あえて言うとすると“連結”の部分はシンプルでわかりやすかったように感じました。本の内容とは関係ないですけど、この本、どうやらシリーズもので「アカウンティング」のほかにも「経営戦略」「リーダーシップ」「クリティカル・シンキング」「コーチング」「ファシリテーション」「仮説思考」「マーケティング」といろいろあるみたいです。

リーダーシップが身につく本

嶋田有孝
『リーダーシップが身につく本』
PHP研究所
2008年3月7日
6.21 リーダーシップについては、カーネギーの『人を動かす』をまず読むべきだと思いますが、かる〜く1時間くらいで読むなら本書もいいと思います。リーダーシップは、“言行一致”、“率先垂範”に尽きます。山本五十六曰く「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」、カーネギー曰く「世の中である人にあることをさせるように説得する方法はひとつしかない。それは相手がそのことを自発的に実行したくなるように、上手に道案内してやることだ」、まことにもってその通り。本書では二宮尊徳の「可愛くば、五つ教えて、三つ褒め、二つ叱って、よき人とせよ」という言葉に始めて出会いました。簡単に読める本にしては収穫が多かったです。

チーズはどこへ消えた?

スペンサー・ジョンソン
『チーズはどこへ消えた?』
扶桑社
2000年11月30日
6.18 かなり前に話題になった本です。軽〜く読めそうなので買ってみました。確かにシンプルに物事の「単純さ」と「複雑さ」を表していると思いましたが、言われているほど“これはスゴイ”とは感じませんでした。ちょっと内容が限定されているような気もしたので。まあ、あくまで私の感想。個人的には↓の本のほうがよっぽどよかったです。言い得て妙なものは、言い古された諺なんかが一番しっくりくるし、物事の本質は、古典と呼ばれるもののなかにこそ、シンプルに真理が説かれていると思います。特に東洋のものが。

働く理由 ―99の名言に学ぶシゴト論

戸田智弘
『働く理由 ―99の名言に学ぶシゴト論』
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2007年7月15日
6.16 特に何も考えずに手に取ったのですが、思いのほかよかったです。99の名言が紹介されているのですが、的を射たものが少なくありません。「才能とは、誰かに見つけてもらうものでもないし、何もしないでそこにあるものでもない。手間と時間とお金をかけるのが全く苦にならないこと、果てしなく続くくりかえしに耐えられること。」「才能とは継続する情熱のことである。」「愚か者は、幸福がどこか遠いところにあると思い込んでいる。賢い者は、幸福を足元で育てている。」「下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。そうしたら、誰も君を下足番にしておかぬ。」「やりたいことがある程度、具体的に見えているからといって、そこにむかってまっしぐらに進むことが、必ずしも最善の方法であるとはかぎらない。それよりもやりたいこととは違う分野で、意識してキャリアの幅を広げておくほうが、多くの場合本当にやりたい仕事に就いたときにうまくいくのである。」んだんだ。

世界を不幸にするアメリカの戦争経済

ジョセフ・E・スティグリッツ著/楡井浩一訳
『世界を不幸にするアメリカの戦争経済』
徳間書店
2008年5月31日
6.7 スティグリッツの本は、訳本が出ると読んでます。『世界を不幸にしたグローバリズムの正体』『人間が幸福になる経済とは何か』『世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す』に続いて、こないだ出版されたのが本書。これまでが、グローバリズム批判。そして、本書はタイトルのとおり、イラク戦争批判です。邦題は、これまでの流れを汲んで『世界を不幸にする〜』ですが、タイトルを直訳すると『3兆ドルの戦争 ―イラク戦争の真実のコスト―』といったところです。今回も実体をみた良書なのですが、如何せん批判につぐ批判だらけで、内容がネガティブ過ぎて読んでて気が滅入ります。少し、ジャーナリズムっぽくなっていて、少し期待はずれだったような感じもしました。もう少し学者的なところも欲しかったな、なんて。

「自分」から自由になる沈黙入門

小池龍之介
『「自分」から自由になる沈黙入門』
幻冬舎
2008年3月25日
5.29 新聞広告でオモシロそうだなと思い購入。筆者が1978年生と若かったのも興味が沸きました。かる〜い仏教本です。宗教の教えは、良い生きかたの指標をとてもシンプルにあらわしてくれますが、宗教のなかでも仏教はとても優れていると思います。普段、仏教の教えを聞くのは、法事でのお坊さんの説教くらいしかないですが、そのときに“なるほど”と思うことがコンパクトにまとまっていました。わかりやすく。私の腐りきった根性を改めるのによい刺激となりました。

勝間和代のインディペンデントな生き方 実践ガイド

勝間和代
『勝間和代のインディペンデントな生き方 実践ガイド』
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2008年3月1日
5.25 巷には、勝間さんの本が溢れてます。少し胡散臭さを感じていたので、手に取ることはなかったのですが、今回初めて買ってみました。書いてある内容は非常に共感できて、「そう、そのとおり!」と思ったのですが、「男性で年収1,000万円以上、女性で600万円以上」など、みんながみんなというわけではない内容なので少し引っかかる部分もあります(結婚観についても)。でも、世の中で生き生きと活躍していくためには、本書に書いてあることを実践していくことがとても大切なことだと思います。ただ、もっとスローな生き方もありますし、人それぞれでしょうね。

できる人の直感力

佐々木正吾
『できる人の直感力』
ビジネス社
2008年4月14日
5.22 ある程度、肯けるのですが、イマイチ自分の感覚とフィットしない部分が多かったです。“直感ハック”として、30のメソッドが紹介してあるのですが、「iPodのシャッフル機能は使ってはいけない」「株を売買するとカンがつかめる」など、ちょっと微妙です。私は、当てずっぽも含めて、自分の直感を過度に信じて生きてる人間です。本書を読んで、当てずっぽの部分を反省させられたことは大いに意味がありました。それにしても、直感は経験のタマモノです。

案本 「ユニーク」な「アイディア」の「提案」のための「脳内経験」

山本高史
『案本 「ユニーク」な「アイディア」の「提案」のための「脳内経験」』
インプレスジャパン
2008年4月11日
5.17-2 日々、案に飢えています。タイトル買いです。なにをするにも経験が大事で、経験にはリアルとバーチャルがあり、バーチャルによる脳内経験を駆使することによって、いろいろ案を膨らませることができるよー、という内容でした。個人的には読みづらいと感じました。なんか文章が自分に合わないというかなんというか。毎ページにわたり書かれてある( )書きがくどく感じたというか。たまにあると好感触なんですが。ああ多いと・・・。“脳内経験”はそれなりの実体験と知識に裏付けられたものでないと、結局、単なる思い込みになってしまうので、そこは気を付けるべきだと思いました。閃きや発見というのは、相当量のインプットがないと土台ムリなわけで。

12歳からはじめる賢い大人になるためのビジネスレッスン 「会計」ってなに?

友岡賛
『12歳からはじめる賢い大人になるためのビジネスレッスン 「会計」ってなに?』
税務経理協会
2007年10月8日
5.17 こないだ読んだ『なぜ「会計」本が売れているのか? 「会計」本の正しい読み方』の姉妹本?なのでしょうか(発行日が1日違い)。タイトルのとおり、お子ちゃま用の会計本です。小学生が知ってる漢字以外は使用していませんし、ふりがなもきちんとふってあります。内容は至って簡単。会計とは何かが、お子ちゃま用に書かれてあります。ただ、この子供用と書かれてある本を子供が読むのは想像できません。面白くないし。学校で簿記・会計を学んでいる学生で、授業で何をやってるのかサッパリわからんという生徒に読んでもらうのが、一番対象としてしっくりきます。しかし、相変わらずダサい。税務経理協会には、もう少しセンスを磨いてもらわなければ。

謎の会社、世界を変える。 エニグモの挑戦

須田将啓、田中禎人
『謎の会社、世界を変える。 エニグモの挑戦』
ミシマ社
2008年3月31日
5.10 久々にベンチャー経営者の本を読みました。やっぱり面白い。そして、何より勇気がわいてきます。まあ、なかには本を読んだ後に不祥事を起こしてしまうような会社もあるんですけど。残念です。さて、私、恥ずかしながらこの本を読むまで“エニグモ”の存在を知りませんでした。メディアを通して見たことはあるような気はするんですけど。個人的には“フィルモ”が好きですね。素人の作るCMは非常に臨場感があっていいです。“シェアモ”のコンセプトも素晴らしい。しかし、本当にやる人は、それまでの積み重ねと、なにより努力と根性が並じゃないです。

有価証券報告書を使った決算書速読術

望月実/花房幸範
『有価証券報告書を使った決算書速読術』
阪急コミュニケーションズ
2008年2月11日
5.3 “有報”と聞くだけで、わけのわからん大量文書と思いがちですが、企業を分析するには、やはり“有報”が一番手っ取り早い。とはいっても、やはり、あの分量には気分が滅入ります。本書は“有報”の読み方を一般の人が興味を持ちそうな(馴染みのある)企業を例にわかりやすく説明されています。読みやすくてとてもよかったです。お勧めお勧め。仕事や就活にすぐ活かせるのではないでしょうか。この情報社会、大量の情報を短時間で正確に分析する能力と、その情報を活かす(新しく何かを創出する)力が必要です。くれぐれも情報に流されなきよう

人を見る目がない人

植木理恵
『人を見る目がない人』
講談社
2008年4月7日
4.27 オモシロイ本でした。↓の本が地頭力なら、本書は対人感性力を磨くためには最適な内容だと思います。人の心理について、科学的な根拠をもとにうまく説明されています。著者が1975年生まれということには、とても驚きました。こういう誰にでも読める本が書ける専門家って、いいなぁと思います。さて、良くも悪くも(見誤らせようとするか、見誤らないようにするか)人を見誤らせる心理術が30ほど紹介されています。人を客観的に見るって難しいですよね(不可能か)。くれぐれも騙されぬように。

地頭力を鍛える

細谷功
『地頭力を鍛える』
東洋経済新報社
2007年12月20日
4.26 久々にマトモな本を読みました。いい本です。検索機能によって知識力が無力化してきている昨今において、対人感性力や地頭力はとても重要な能力です。理屈というよりは感情に訴えて生きてきた私には、地頭力について体系的に説明されている本書は非常に有用でした。研究や仕事を通してフレームワーク的な思考や一貫性、合理性というものを少しずつ身に付けてはきたものの、現実はヒドイもんで。本書を読んだことで少しでも前進できていればいいです。

人生のプロジェクト

山崎拓巳
『人生のプロジェクト』
サンクチュアリ・パブリッシング
2007年11月20日
4.18 個人的にはあまりこういうの好きじゃないんですけど、字少ないし、写真多いし、ストレス感じずに読めそうということで購入。非常にシンプルでわかりやすくて、著者みたいな人をリスペクトする人もいるんでしょうけど、私はどーも好きになれない。なんか胡散臭い感じがするんですよね。意図的で。いかにも“売るぞ”的な匂いがぷんぷんするんです。山崎さんゴメンナサイ。

新版 28歳からのリアル

人生戦略会議
『新版 28歳からのリアル』
WAVE出版
2008年3月23日
4.17 はい、リアルに28歳です。あまりマジメな本ではないですけど、マジメに考えるべき8項目(仕事、結婚、お金、住まい、健康、親、趣味、常識)について、マジメっぽくなくリアルに解説しています。28歳を前提に。すでに、好きなことを仕事にするとかいう甘ったれたフリーターの私については、最初の仕事の項目で論外と切り捨てられています。あーあ。しかし、切実な歳になってきました。大学に行くと自分がオッサンであることに嫌というほど気付かされます。大学生は若い

財務3表一体理解法

國貞克則
『財務3表一体理解法』
朝日新聞社
2007年5月30日
4.14 おそらく、この本を開いたら即拒否反応を起こす人が多いと思います。なんか小難しそうに見えるから。でも、内容はよくまとまっています。一通り読めば、財務諸表(簿記)の構造が理解できるのではないでしょうか。簿記を学習する前に、これがわかっていると仕訳の意味がよ〜くわかって、簿記ってすげーなってことになると思うんだけど…。

女性の品格

坂東眞理子
『女性の品格』
PHP研究所
2006年10月3日
4.9 「〜の品格」という本が多く出版されています。本書は、“国家の〜”の後ではありますが、話題となった品格本ですよね。女性ではないですけど、人としての心構えというか、今後、品格ある人間として振舞うために喝を入れてもらおうと読んでみました。今、目次を見返しただけで、いかに自分が貧相な品格であるかがわかってしまい反省してしまいます。特に、マナー、言葉遣いについては品格の欠片もありません。正義感、責任感、倫理観、勇気、誠実、友情、忍耐力、持続力、節制心、判断力、決断力、優しさ、思いやり。品格のある人間になるにはまだほど遠いようです。

なぜ「会計」本が売れているのか? 「会計」本の正しい読み方

友岡賛
『なぜ「会計」本が売れているのか? 「会計」本の正しい読み方』
税務経理協会
2007年10月9日
4.4 友岡先生の本はこれまでにもよく手にしていましたが、こんな本も出されてるんですね。『12歳からはじめる賢い大人になるためのビジネス・レッスン 「会計」ってなに?』なんて本も出されているようです。さて、私も常々、会計本と呼ばれる巷の本には、釈然としない違和感を持っていました。いや、会計じゃないでしょって。そういう意味では、本書は「会計とは何か」ということを解説してくれる本だと思います。巷の“会計”のイメージが漠然とし過ぎてるんですよね。会計が専門というだけで、管理会計から財務分析、そして税務や会社法までなんでも知ってると思われますから。しかし、表紙のセンスのなさや税務経理協会からってとこが、なんかニクいです。

大喜利猿 優勝

小林賢太郎、升野英知
『大喜利猿 優勝』
河出書房新社
2008年3月30日
4.3-2 いや〜、実にくだらない。
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