成長するティップス先生 −授業デザインのための秘訣集

池田輝政、戸田山和久、近田政博、中井俊樹
『成長するティップス先生 −授業デザインのための秘訣集』
玉川大学出版部
2001年4月15日
DSC05700 余裕がないせいか、BookDiaryの更新が止まっている今日この頃。読んでおきましょうと送付されてきた本を早速読んでみました。表紙、タイトルともに微妙ですが(ティップス先生は、もぐらでしょうか?)、中身はとても良かったです。大学教員向けに、こんなにわかりやすくて良質の本があるなんて正直思いもしませんでした。堅苦しくなく、簡易でわかりやすい上、構成もよく、非常に洗練された内容だと思います。まるで自分の心のつぶやきを見ているようでした。授業を受ける学生も大変ですが、講義する教員もなかなか苦労が絶えません。新年度から心を新たにして臨もうと思います。

ご冗談でしょう、ファインマンさん(上)

R.P.ファインマン 著/大貫昌子 訳
『ご冗談でしょう、ファインマンさん(上)』
岩波書店
2000年1月14日
DSC05678 ↓にお勧めとあった1冊。1965年にノーベル物理学賞を受賞したリチャード・ファインマンの自叙伝です。かなり面白く読めました。興味のあることにトコトンな姿勢は、科学者に必要不可欠の素養だとつくづく思いました。知識をきちんと理解して、実際にあてはめて使うことの少なさ。「知っていること」を知らないということが、どれだけ多いことか、考えさせられました。あと、「教える」ことは、少しでも世の中に役に立っているという心の支えというのは、共感です。ただ、社会に役立つ発明を、と言われても途方に暮れますし、進まないときには罪悪感にかられるものです。

大人げない大人になれ!

成毛眞
『大人げない大人になれ!』
ダイヤモンド社
2009年11月19日
DSC05653 MSの元社長さんです。結構、独りよがりな持論だと思いますが、これも“大人げない”の一例なのでしょうか。あまりに自由奔放過ぎるのも困りものですが、人が子供っぽさに魅力を感じるのは確かにそうだと思います。得てして、オトナはつまらない。とか言っている自分は、かなり保守的な人間です。でも、生来大人げない人です。そんな自分を抑え続けて生きています(みんなそうか)。何かを起こすためには、偶然の力を引き寄せるざっくばらんさが必要です。良いも悪いも含めて個性であり、いいとこだけの人間なんて胡散臭過ぎる。もっと自由に生きたほうがいいのかなって思いました。最後に、昔からの強く憤っているんですけど(世の中の仕組みとしてはしょうがないのですが)、他人と同じ尺度で評価されるのは、我慢なりません。

幕末維新を「本当に」動かした10人

松平定知
『幕末維新を「本当に」動かした10人』
小学館
2010年2月6日
DSC05646 「その時歴史は動いた」を模したタイトルだと、松平さん。坂本龍馬、高杉晋作、小栗上野介、近藤勇、土方歳三、大村益次郎、榎本武揚、篤姫、和宮、岡倉天心の10人のエピソードです。岡倉天心は?ですが、まさに幕末維新の魅力ある人物が並んでいます。長州人でもある私は、もちろん幕末維新に熱いです。非常に楽しく読ませて頂きました。30を目前にして、30前後の短い生涯のなかで、維新を成し遂げた志士の姿をみると勇気と共に焦りさえ感じてしまいます。いい大人が言うことではありませんが、自分は何がしたいのか、自分は何をするべきなのか、自分は何ができるのか、考えさせられます。

会計探偵クラブ

山田真哉
『会計探偵クラブ』
東洋経済新報社
2010年2月11日
DSC05628 2年ぶり?「女子大生会計士の事件簿」が「会計探偵クラブ」になって帰ってきました。今回のシリーズのテーマは税金。財務会計や管理会計のような、企業が主たる対象となるものではなく、誰もが関わっている会計領域です。私自身、税金について考えるのは確定申告のときくらいです。でも、重要過ぎるほど重要。しかし、体系的に学ぶには、あまりに膨大な領域でもあります。ちょっと税金について知りたい方には、とてもいいと思います。いつも通り、サクッと楽しく読める内容となっています(相変わらず多分にベタですが)。続編を気長に待ちます。

近頃の若者はなぜダメなのか 携帯世代と「新村社会」

原田曜平
『近頃の若者はなぜダメなのか 携帯世代と「新村社会」』
光文社
2010年1月20日
DSC05608 若ぶるつもりはありませんが、少なからず自らの感覚にかなり近いと思いました。“新村社会”とは、よく言ったもので、確かに一昔前と違って、今の若者はものすごく日本的です。空気がすべてと言っても過言ではありません。しかも、情報通信の発達によって、巨大なネットワークに組み込まれ、コミュニケーション能力も明らかに上がっています。しかし、調べものは検索で済ませ、図書館などでの魅力的な本との出会いを失っているというのは、先日読んだ『偶然ベタな若者たち』そのものです。体験もせず、情報を鵜呑みにして、わかった気になって行動しないといった、本書で言うところの既視感は、かなり危うい気がします。あと、下流化する上流も。それにしても、PCよりも携帯で打つ方が、速いしラクというのは、かなりカルチャーショックでした。

『論語』でまともな親になる 世渡りよりも人の道

長山靖生
『『論語』でまともな親になる 世渡りよりも人の道』
光文社
2009年12月20日
DSC05583 最近、『論語』の本が多い気がします。昨今の強欲資本主義に対して、道徳を大事にしようというアンチテーゼなのでしょうか。自らを省みるのには、最適の教材です。ちょっと長いですけど、戒めにメモしておきます。「君子固より窮す。(大志を抱いて、自分のことよりも天下万民のことを思い、真実のために尽くそうとしているのだから、君子が物質的に困窮するのは、むしろ当然。)」、「子曰はく、古の学者は己の為にし、今の学者は人の為にす。(同じく道理を探求しようとしているとしても、昔の学者は、自分を高めたいという内発的な志でそれをしていたのに対して、今の学者は他人から称賛されたいという気持ちから、行っている。)」、「子曰はく、君子は言に訥にして行ひに敏ならんことを欲す。(立派な人間は、言葉は朴訥であってもよく(むしろ口数は控えめを心掛けるべき)、行動は敏捷であろうと努めるもの)」、「子曰はく、古者言をこれ出ださざるは躬の逮ばざるを恥づればなり。(古人が言葉を軽々しく用いなかったのは、自身の行動がそれに及ばないことを恥じる気持ちが強かったため)」、「子曰はく、其の之を言ふや怍ぢざれば、則ち之を為すや難し。(大言することを恥じる気持ちのない人間は(そもそも、それがいかに難しいかを慎重に検討していないので)実行するのは難しい)」、「子曰はく、君子は其の言を恥ぢて、其の行ひを過ごす。(立派な人間は、口先ばかりになりはしないかと恥じて、大言壮語や美辞麗句を控え、実際の行動のほうが少しでも言葉を上回るように努めるもの)」、「子貢君子を問ふ。子曰はく、先づ其の言を行うて而して後之に従ふ。(子貢が君子とはどんな人かを尋ねた。先生は言った。「まずその言わんとすることを実行して見せてから、後でものを言う人である」と。)」

名ばかり大学生 日本型教育制度の終焉

河本敏浩
『名ばかり大学生 日本型教育制度の終焉』
光文社
2009年12月20日
DSC05562 下世話な本だと思っていたのですが、読んでみると結構“なるほど”でした。「ゆとり教育」とはよく言いますが、東大入試は、30年前から比較すると量も圧倒的に増え、質も圧倒的に上がっていて、ゆとり教育どころではないようです。つまりは、学力低下ではなく学力格差が問題なんだと。中学受験で地方国立大の入試より難易度の高い問題を解くという昨今、昔は浪人1年で逆転できた学力が、今や小学・中学の段階で絶望的な学力格差が広がっているようです。そこには構造的な問題があると思います。勉強=競争であり、競争のないところからは勉強が消え、競争を離脱した瞬間に勉強から離脱するという考え方。受験能力(一定の問題を効率よく解くこと)と偏差値のみにしか意識がいかず、自分で探求する学習なんてそっちのけです。受験能力の高い学生が、大学入学後に凄まじい勢いで勉強をやめていくとか。ちなみに、大学の専門教育の成績は、高校成績や入試成績に相関関係はなく、初年次教育との相関関係が強いそうです(学問は探究心、知的好奇心の賜物ですね)。受験に使わないから、この科目は勉強しないという論理に、違和感をもって高校生活を送った覚えがあります。

偶然ベタの若者たち

関沢英彦
『偶然ベタの若者たち』
亜紀書房
2010年1月10日
DSC05546 なかなか面白いタイトルだと思い購入。上手く言ったもんです。確かに、育った時代背景もあり、若い人たちは不確定なことは避け、リスクは最小限に減らす傾向があると思います。あと、医学等の発達した今日では、親は選べませんが、自分が望めば、大抵のことは実現可能で、「どうしようもない偶然」を甘受することが、なかなか難しいと思います。つまり、偶然に遇わないような生活をするとともに、偶然を受け入れづらい状態にあると。ちなみに、本書に偶然ベタの3タイプ(ぼんやりタイプ(気がつかない人)、かたくなタイプ(拒んでしまう人)、うじうじタイプ(迷い続ける人))を診断する偶然ベタ度チェックがあるのですが、私は“かたくなタイプ”でした。頑固な性格がモロに出ました。

仕事で使える!Twitter超入門

小川浩
『仕事で使える!Twitter超入門』
青春出版社
2009年10月5日
DSC05521 登録こそしているものの、全く使用していないTwitter。140文字のつぶやきにどんな可能性があるのか、興味あって読んでみました。Twitterの長所は、やはりリアルタイムとシンプルに尽きるのだと思います。まだ、儲ける仕組みは確立されていないようですが。それにしても、Facebookもまだ赤字状態なんですね。個人的に、コミュニケーションツールの選択には、気軽さ、他のコンテンツとの連携、公開性を重視したいです。基本的に、積極的に人と関わろうとしない性格なので、一方的な記述の自己満足が多いですが、提供するに値する情報を発信できるよう努力したいものです。

35歳までに身につけておくべきプロの経理力

児玉尚彦
『35歳までに身につけておくべきプロの経理力』
日本実業出版社
2009年7月1日
DSC05506 経理を仕事にしているわけではありませんが、どんなことが書いてあるのか、ちょっと興味あって読んでみました。オーソドックスな啓発や数字の見方が主な内容だと思います。経理は、IT化によって仕事内容がガラリと変わった職種の一つだと思います。日々の取引を仕訳し、試算表を作成するのは、人がやる仕事ではありません。会計仕訳の入力もアウトソーシングの的です。ルーチンワークに拘泥せず、いかに「帳簿をつけて集計する人」から「業績を確認してわかりやすく伝える人」になるか、誰にでもできる仕事ではなく、緊急でないが重要な仕事をやっていけるか、ということでしょう。何事も一朝一夕にはいきませんから、日々経験を積み重ね、実力をつけていくことが大切ですね。

脳に悪い7つの習慣

林成之
『脳に悪い7つの習慣』
幻冬舎
2009年9月30日
DSC05464 最近よく売れている本のひとつです。面白そうなので読んでみました。私、常日頃から何かを行うときには気分を大事にするのですが、いい意味でも悪い意味でも、その効用を垣間見たような気がします。損得勘定で動いてもいい方向に向かわないのは、脳科学的にもそうですが、やはり気持ちがない分だけ広がりに欠けます。「だいたいできた」で詰めが甘いという自身の欠点も「まだできていない部分」「完成するまでに残された工程」へのこだわりを突き詰める習慣をしっかりつけていきたいものです。“忙しい”の一言で片付けるには、あまりにももったいない。ひとつ、とてもいいなぁと思ったのが、「一人ひとりをえこひいき」という著者の小学校の時の先生のお話。平等に接しないといけないと思い、あまり個人的に優遇するような対応をしない私ですが、それぞれに違った形でみんなにえこひいきというのは、アリだなと思いました。

戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか

菊澤研宗
『戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか』
光文社
2009年10月20日
DSC05447 非常に面白い本でドックイヤー満載でした。お薦めです。“戦略の不条理”とは、特定の世界では極めて適合的で合理的な行動していても、別の世界では全く不適合となり淘汰されてしまう合理的不適合といった不条理な現象のことを指し、本書では、ポパーの言う、物理的世界、心理的世界、知性的世界の三次元的な世界観に基づいて、戦略論が展開されています。3つの世界の多元的損益計算には、自らの行動特性や日頃の人間観察でも非常に納得のいく内容でした。それにしても、『孫子』の完成度はやっぱ高いなぁと思わされます。

悩む力

姜尚中
『悩む力』
集英社
2008年5月11日
DSC05384 売れてるらしいし、面白そうなので読んでみました。かなり共感するところが多かったです。科学的な合理化は、人間の行為の持っていた大切な意味をどんどん奪っていくというのは、確かにそうとも言えます。あと、知ってる、知らないで頭の良し悪しを決めるのも、違う気がしますね。つまりは、「物知り」「情報通」と「知性」は違うし、「know」と「think」も「information」と「intelligence」も違います。学識、教養も大事ですが、協調性や道徳観も含めた総合的なものが知性と呼べるものでしょう。余計なことを考えている暇があったらスキルを身につけ、専門知識を身につけ、なんて言ってると、何か足りない人になりそうです。人間の知性は、「真」「善」「美」にかかわっているというのは、簿記学会のときの井尻先生の講演みたいでした。

「論語」に帰ろう

守屋淳
『「論語」に帰ろう』
平凡社
2009年10月15日
DSC05368 やっぱ古典はいいですね。そこら辺の自己啓発本とはわけが違います。偏りなくすべてが凝縮されています。儒教は宗教ではないという解説部分で、夢見物語ではない常に現実を見た『論語』の内容にグッときました。孔子の普通っぷりも面白く読めました。「人柄や品性を磨くのが学問」と考えた場合、今現在の研究者としての自分はどうだろうか。知のあり方を考えさせられます。専門を極めるのは、もちろんですが、教養を深めて人柄や品性を磨いていくことも共に重要です。

「文系・大卒・30歳以上」がクビになる 大失業時代を生き抜く発想法

深田和範
『「文系・大卒・30歳以上」がクビになる 大失業時代を生き抜く発想法』
新潮社
2009年10月20日
DSC05361 酷いタイトルですが、内容もかなりのものです。世のホワイトカラーは能無しと、コテンパンに扱き下ろされています。著者ご本人は、悪意はないとのことです。具体的なところでは、「監査部のためのコンプライアンス」、「システム部のためのシステム導入」などを例に挙げられています。まあ、確かにそうとも言えますが、やはり少々言い過ぎか、とも思います。ただ、必要以上に見栄え良く、半端ないページ数の書類は必要ないですね。コイン・ポリッシャーには、ならないように気を付けないといけません。一言でいうと、「意味のあるいい仕事をしましょう」ということですね。

就活って何だ 人事部長から学生へ

森健
『就活って何だ 人事部長から学生へ』
文藝春秋
2009年9月20日
DSC05312 いろいろな企業の人事担当者のインタビュー集です。私自身、長いこと就活中ですが、相手の視点というのは本当に大事です。そして、自分の心からの熱意も。付け焼刃的に美辞麗句を並べ立てても、相手に思いは届きません。ましてや、自分が話したいこと、自分が用意したことを延々と話すなんて、コミュニケーション無視もいいところでしょう。面接は、いかに素の自分を出せるかであり、いかに素の自分を伸ばしておくか(鍛えておくか)だと思います。と、言うは易し。私自身、面接は大の苦手です。読んでいて“金太郎飴”という単語が幾度となく出てきた気がします。マニュアル通りに淡々と面接をこなす人に魅力を感じないということの表れでしょう。何かを語れる人になることが肝要ですね。

幸福の方程式 新しい消費のカタチを探る

山田昌弘、電通チームハピネス
『幸福の方程式 新しい消費のカタチを探る』
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2009年9月10日
DSC05303 久々に山田先生の本です。この不安定な世の中で、安定してそこそこの暮らしができればいいと願うのは私だけではないと思います。ロスジェネ世代の幸福の形って、そんなとこだったりするのかなぁと思います。あと、明らかに志向が細分化されていて、クルマにせよ服にせよ、「○○したい人」、「○○できさえすればいい人」の差が大きいのも若い人たちの特徴だと思います。“電車では座ることが大きな幸福だと思っている”のは、内発的な動機ではなく動かされているだけというのには、ハッとさせられました。空いた座席が希少資源だから座らないと損と奪い合うだけで、確かに座らなきゃならないわけでもないですね。立って景色を眺めたいときもあるかもしれないわけで。

図で考えるとすべてまとまる

村井瑞枝
『図で考えるとすべてまとまる』
クロスメディア・パブリッシング
2009年9月11日
DSC05291 私もタイトルの通りだと思います。頭で考えても始まりません。なんでも図にしましょう。解決の糸口が必ず見つかるはずです。本書は、図のパターンから、資料の作成のポイントまで、ビジネスパーソンが身につけておくべき基本が、わかりやすく説明されています。仕事でドキュメントのチェックをしてもらっていたときの話がそのまんま載っているような内容でした。デキる人は、ここに書いてあることは必ずできていると思います。

宵山万華鏡

森見登美彦
『宵山万華鏡』
集英社
2009年7月10日
DSC05258 多忙につき現実逃避。久々に小説です。しかも、森見さん。いつも通り、京都を舞台に繰り広げられるファンタジーな物語でした。鯉やらゲリラ演劇やら、相変わらずのヘンテコな登場人物とお馴染みの内容です。森見さんの描く世界は、私にとてもフィットしているのでよいです。

成功したければ前頭葉を鍛えなさい

篠原菊紀
『成功したければ前頭葉を鍛えなさい』
株式会社アスコム
2009年10月13日
DSC05145 本書内の“脳のクセチェック”というやつで、脳のクセAB型「理想の高い完璧主義」タイプという結果。実際の血液型であるO型度が一番低かったです。さて、本書は、脳の使い方、鍛え方が書かれてあります。PC、ネット、携帯などのメディア使用時には、脳活動は低下するそうで、美しくノートをとっている時、ただ写している時、PCを使用したノート書きの脳活動を見ると、一目瞭然で美しくノート→書き写し→PCの順となっているのには、「へぇー」でした。PCは、さも脳を活動させないのかと。プロローグが17ページというのは、なかなかの長さです。あと、誤字脱字が目立ったような…。

頭がいい人の「すごいひと言」

田村仁
『頭がいい人の「すごいひと言」』
秀和システム
2009年1月26日
DSC05137 秀和システムっていうとIT系書籍やビジネス系解説本を連想しますが、こういう本も出しているのですね。本書はコミュニケーションを円滑に行うための一言を紹介するという内容。“相手にマイナスな言葉をかけないように”が基本コンセプトだと思います。個人的には、ばつの悪い受け答えをするときってのは、緊張してるとか、テンションが低いときとか、自分の精神状態に左右されているように思います。単純に相性が悪いということも多々ありますが。。。癖でもある回りくどい言動は、なおしたいものです。本書は、挨拶や雑談の重要性にも触れています。雑談は良くも悪くもコミュニケーションの潤滑油であることは確かです。

山田商店街

山田マチ
『山田商店街』
幻冬舎
2009年3月30日
DSC05133 オビのコメントが賢太郎さんだったので買いました。アシスタントの方の本だそうですが、ラーメンズワールドと言えます。得られるものは何もないでしょうが、ラーメンズがお好きな方にはお薦めです。おもしろいよ

最高学府はバカだらけ 全入時代の大学「崖っぷち」事情

石渡嶺司
『最高学府はバカだらけ 全入時代の大学「崖っぷち」事情』
光文社
2007年9月20日
DSC05113 “とりあえず大学”という感覚で大学進学率が高まり、入学者が減少するなかで大学は増え続け、限界にきている大学行政。かなり下世話な本ですが、ついつい手に取ってしまいました。一部の例を一般化する批判合戦は、世の中の常ですが、的を射ていることもあるわけで。面倒見もよく素晴らしい教職員もいらっしゃいますが、やはり全体としては官僚的で腐った部分が目立つ世界です。大学パンフの数字のカラクリは、ホントに酷いと常日頃から感じます。就職率が全国平均を下回っている大学・短大を見たことがないですし…。それにしても、通常の講義やゼミ、学生の相談に自分の研究、学会の準備にカリキュラムやら入試やら各種委員会、休日はオープンキャンパスに高校営業、大学教員も大変なご時世です。

12日間速習プログラム決算書トレーニング

田中靖浩
『12日間速習プログラム決算書トレーニング』
日本経済新聞出版社
2009年8月25日
DSC05108 いくつか会計本を出版されているようですが、ちょうど3年前に著者の本を読んでいるようです。巷に会計本はホントに多くありますが、そのなかでは読みやすくてわかり易い本だと思います。数字の見方がわからない方には、特にお奨めです。B/SやP/L、C/Fのイメージがつくはずです。12日間となっていますが、1時間で読める量です。今度の経営分析の授業のヒントにもなりました。

人生が開ける禅の言葉

高田明和
『人生が開ける禅の言葉』
PHP研究所
2008年12月29日
DSC05104 本書は、身近な悩みをもとに、その対処を示されていて、とても読みやすい内容でした。苦渋に満ちた世の中で、自分を見失わないためにも悟りを得たいものです。「実力がつかないうちに人を救おうなどとすると、その争いに巻き込まれ、自分も一緒に沈んでしまう」、「体を動かしている最中に悩むことはできない」など、とても頷けました。“自分に一体何ができるか”なんて考えてしまうこともありますが、ものごとを客観的に見て判断したり、感情にとらわれずに善悪を判断できないうちは、人を救うことなどできず、かえってその人を不幸にするだけでなく、自分も不幸になるのは確かにその通りです。また、ちょっと時間があって一人で家にいると、いろいろ考えてぐるぐるしてしまうことはよくありますが、得てしていい方向にはいきません。体を動かすことで、そういう悪い流れを絶つのは良い方法だと思います。

会計心得

金児昭
『会計心得』
日本経済新聞社
2004年11月1日
DSC05019 こないだのSAP IFRS Conferenceで金児さんご本人から参加者全員に配られたものです。ご講演もとても面白かったので、早速読んでみました。もちろん実務の方ですから、実務(経理・財務)における会計のお話です。常にコスト意識を持つことが大切ということが語られています。基本的に、実務家は深い理論について知る必要はないというスタンスだと思うのですが、その逆は通じないよな・・・と実務系のものに接すると感じるとともに、どこまで実務を意識して研究しているかを考えさせられます。

論より詭弁 反論理的思考のすすめ

香西秀信
『論より詭弁 反論理的思考のすすめ』
光文社
2007年2月20日
DSC04979 少々ひねくれていますが、なかなか面白い内容だと思いました。完全な論理的な議論というのは、存在しないのではないかというくらい、日常的な会話や議論のなかでは、相手との人間関係や肩書き、議論のすり替えのような、うまく言い包められているようなもの(信じさせられているようなもの)が少なくないです。詭弁の代表格として「人に訴える議論」について5つの型(「悪罵」型、「事情」型、「偏向」型、「お前も同じ」型、「源泉汚染」型)が紹介されていますが、なかなか興味深いものがあります。相手の議論にではなく、相手そのものに対して関係のない攻撃を仕掛けるなんてのは、メディアの常套手段ですよね。

キラークエスチョン 会話は「何を聞くか」で決まる

山田玲司
『キラークエスチョン 会話は「何を聞くか」で決まる』
光文社
2009年8月20日
DSC04930 人と話すのは元来大の苦手です。聞きたいことがあっても、正直に感じたことでも、いろいろと考えてしまって声を掛けられない、これが日常です。億劫な人間ですから。さて、本書は26のキラークエスチョンが紹介されています。何気ないものばかりですが、唐突過ぎる質問は違和感を覚えます。あと、会話って相手の心理が自然と伝わるものですよね。聞く気がなかったり、テキトーだったりってのは、恐ろしいほどバレるものです。本のなかで「話ができないのは、話ができないと思い込んでいるその「心」に問題があるだけ」とありますが、そうだと思います。自分から壁をつくりがちです。

会計学はこう考える

友岡賛
『会計学はこう考える』
筑摩書房
2009年8月10日
DSC04904 会計というのは、何かとよくわからない、難しいイメージがあり、会計学って何をしているの?という素朴な疑問が付き纏います。本書は、そこら辺の会計How to本ではなく、会計学とはどういう学問なのかというコンセプトの本です。一般の方向けということですが、少しハードルが高い気もします。会計学を学ぶ学生には、本書や石川先生の『変貌する現代会計』なんかを読んで、しっかり会計学について考えてみて欲しいなと思います。背表紙に「会計にもいろいろ「問題」がある」とあります。いろいろあるんです(笑)

今度こそ苦手な数字が克服できる ザックリ会計力

西山昌彦
『今度こそ苦手な数字が克服できる ザックリ会計力』
幻冬舎
2009年7月28日
DSC04871 背表紙に「だいたいで、ええやん。」なんて書いてあります。会計本というよりは、数字に関して全体を俯瞰する力を養う内容と言えそうです。決算書をつぶさに詳細まで見る人(または見れる人)なんて確かに存在しません。あの大量な情報をすべて読みこなすというのは、不可能に近いとさえ言えます。だからこそ、全体像をザックリ見る俯瞰力、そして詳細について仮説検証を繰り返すことが大切となります。そして、それは会計だけに言えることではなく一般的なセオリーです。会計本挫折者の方や会計入門として本書を読まれるのもよいですが、本書は会計数値に対する接し方、考え方を説明されているだけなので、本書を読み終わっても分析はできないと思います。詳細を必要に応じて、もうちょっと詳しい本で学んでいく必要がありますね。

センスのいい脳

山口真美
『センスのいい脳』
新潮社
2009年8月20日
20090831 なんだか意味深なタイトルに躍らされて購入。著者は、赤ん坊を対象にした実験心理学を中心に研究されている認知心理学者さんです。なるほどと思う部分もありましたが、想定の範囲内というか、そこまで胸の躍る内容でもなかったというのが正直な感想です。小さい頃から2ヶ国語、という環境の危うさ(どっちつかずになってしまう)を指摘されているのは確かにそんな気がします。自然に両方ペラペラって人に、正直会ったことないですし。まず、一つの言語をきちんと使いこなせることが第一歩なんだと思います。話は変わりますが、巷の人は、英会話に通うより、きちんとした日本語を使えるレッスンをしたほうが確実に役立つと思っています。

複雑性の科学の原理 企業や社会を劇的に変える方法論

唐沢昌敬
『複雑性の科学の原理 企業や社会を劇的に変える方法論』
慶應義塾大学出版会
2009年6月30日
20090827 とても示唆に富んだ内容でした。アノミーな感がある現代を、複雑性の観点から説得力のある説明がされている気がします。カオスから好ましい秩序を構築していくには、東洋が蓄積してきた人知を超えた気や理という上位の法則を意識した考え方に利があると思います。そして、西洋的な科学万能の合理主義の限界も示唆しているのかと。実験に基づく法則の発見、モデルを組んで将来を予測するような統計的分析は、物事の一部分を見ているに過ぎないわけで、自然科学においては有用なこの技法も、社会なり自然全体を対象とすると自ずと限界があるのは直感として誰もが思うでしょう。原理とメカニズムの解明を、上位の法則の存在を意識して進めていくことは重要と言えます。実態からかけ離れた金融経済の膨張は、上位の法則に反する典型的な行動と指摘されています。仏教・神道・道教・儒教を基礎とした基本的価値の体系の存在が、日本の優位性であると思います。

コハダは大トロより、なぜ儲かるのか?

林總
『コハダは大トロより、なぜ儲かるのか?』
ダイヤモンド社
2009年8月6日
20090814 『餃子屋とフレンチでは〜』『美容院と1000円カットでは〜』でお馴染みの林先生の最新書籍です。例のごとく、安曇先生と由紀さんのやり取りに学ぶ管理会計です。物語形式なので非常に読みやすくて、会計が嫌いという方にはいい本だと思います。簡易なテキストの事例や問題に慣れると、数字を鵜呑みにしてしまいがちです。会計数値に騙されず、本当の実態をつかむためには、数字の背景をきちんと押さえておかなければならないことを痛感させられます。普段は財務会計専門なので、管理会計は研究対象からは外れてしまいますが、授業では扱う内容ですから、興味を持ってもらえるように、また使える知識を養ってもらうために、こういった本を参考に工夫が必要です。

なぜ正直者は得をするのか 「損」と「得」のジレンマ

藤井聡
『なぜ正直者は得をするのか 「損」と「得」のジレンマ』
幻冬舎
2009年7月30日
20090811 本書のテーマは、利己主義者は最終的に損をし、非利己主義者は最終的に得をするというものです。正直者はバカをみないという道徳的なテーマを、心理学、進化論、経済学や倫理学をもとに実証されています。中身は、新古典派(ミクロ経済学)における合理的選択理論の批判であり、規制緩和、民営化に対する批判です。合理的選択理論なんてあり得ない前提であることは、誰にでも明白ですが(昨今の暴利を貪って経済危機を招いた証券マンには当て嵌まりますが)、教科書的にはこれが基本です。後者については、極度な利己主義に陥らないための規制をなくし、利己主義が跋扈した。公に資するための職務である公務員、もしくは公務を利己的な利益を追うシステムに改造し、必要な無駄を排除し、公共の利益を社会から削ぐ結果になった、と。昨今の経済至上主義は、一部の裏切り者(利己主義者)に歩調を合わせた“腐ったリンゴ効果”によって社会が退廃していく様を見ているようでした。でも、やはり正直者が勝つのが自然の摂理です。

「鳥の目・虫の目」発想読本

高橋宣行
『「鳥の目・虫の目」発想読本』
PHP研究所
2009年7月17日
20090806-1 巷の多くの本でも書かれてあることですが、俯瞰力とディテールを読む力の両方が大切だよ、というコンセプトの本です。理性&感性、伝統&革新といった対になるキーワード20個を挙げて、クリエイティブに考えるヒントが書かれてあります。発想するために、複眼的な視点は、重要過ぎるほど重要です。様々な情報を集め、様々な視点から考察することでしか創造は生まれません。理性や合理性を追求するのもよいですが、感性や非合理性も必ず必要なものです。今の時代、知識ではなく知恵だ、考える力だ、応用力だ、と言われますが、やはり土台は豊富な知識です。

なまけもののあなたがうまくいく57の法則

本田直之
『なまけもののあなたがうまくいく57の法則』
大和書房
2009年7月30日
20090806-2 『レバレッジ〜』の本田さんの本です。生来の怠け者の私は、夏休みの宿題をきちんとやったり、通信教育をきちんとこなしたりするようなしっかり者の対極にあるような人間です。ウチにゲームもマンガもないのは、やり始めると時間を忘れて没頭する堕落型の自分をよーく知ってるからであり、家ではなくカフェなどの外で作業するのも、テレビ観たり、昼寝したり、怠けて集中できないことをよーく知ってるからです。本書は、怠け者がダメ人間にならず、うまくいく環境を作るための考え方が紹介されています。まるで自分の日々の生活が解説されているような内容でした(ホントに)。

手塚治虫「戦争漫画」傑作選

手塚治虫
『手塚治虫「戦争漫画」傑作選』
祥伝社
2007年8月5日
20090806-3 祥伝社新書という新書です。初めて買いました。そして、タイトル通り漫画です。↑でマンガは家にないと公言しておきながら購入。内容は短編が7作。考えさせられます。それにしても手塚治虫は60歳で亡くなるも、生涯で15万ページ、全集にして全400巻もの漫画を描いたんですから、とんでもない人物ですね。

共産党宣言

マルクス=エンゲルス、浜林正夫 解説、村田陽一 訳
『共産党宣言』
大月書店
2009年7月21日
20090731 この時期に“マルクス・フォー・ビギナー”なんてシリーズが出されるなんて、時代ですね。『蟹工船』に続けということでしょうか。ワーキングプアに代表される現代的貧困を搾取される労働者という視点で考えるのが、流行りのようです。「共産主義者に対する中傷とそれへの反論」や「社会変革の基本路線と課題」といった部分は、The 共産主義的でかなり偏ってるなぁと思わざるを得なかったですが、大局観はさすがだと思いました。基本的人権も保障されて、民主主義の今の世で、真面目な経営者が力を発揮できることは間違いなくいいことだと思います。ここで言う打倒ブルジョアは、昨今の金融危機で暴利をむさぼった人には当て嵌まるかもしれません(彼らは搾取者と言えます)。最後に一言。私、アカじゃないですよ。

進化倫理学入門 「利己的」なのが結局、正しい

内藤淳
『進化倫理学入門 「利己的」なのが結局、正しい』
光文社
2009年2月20日
20090730 非常にいい本でした。複雑な社会や多様な価値観を背景に、倫理や道徳がわかりにくくなっている現代社会において、非常にわかりやすく「善/悪」「正しい/正しくない」ということについて解説されています。利他行動が返ってくるという正のスパイラルを意識して行動することの大切さを確信しました。みんなが幸せに暮らせる社会の基本を「利益獲得機会の配分」と主張されていることにも共感。何かと個別事例と原則論を混同した議論が多い世の中で、冷静に(かつ合理的に)物事の善悪を判断できる資質が問われていると思います。気がつけば最近、読みやすさと経費削減のため新書が続いています。

小林賢太郎戯曲集 STUDY ALICE TEXT

小林賢太郎
『小林賢太郎戯曲集 STUDY ALICE TEXT』
幻冬舎
2009年3月30日
20090727 『大喜利猿』を買ったついでに、3月に出た戯曲集も買ってみました。ラーメンズの公演は、暗記してしまうほど観ていますが、文字で読むとまた違った感じがします。ALICEも好きですが、やはりTEXTの完成度が高いです。

大喜利猿 北海道

小林賢太郎、升野英知
『大喜利猿 北海道』
河出書房新社
2009年6月30日
20090726 私としたことが、、6月末に出てるの忘れていました。例によって15分で完読。相変わらずくだらないです。

「説明責任」とは何か メディア戦略の観点から考える

井之上喬
『「説明責任」とは何か メディア戦略の観点から考える』
PHP研究所
2009年7月31日
20090723 説明責任(アカウンタビリティ)と言えば、その原点は会計です。ということで、タイトルがアンテナに引っ掛かり、購入してみました。ただ、本書は説明責任をPR(パブリック・リレーション)の観点から論じることを主眼としています。世間に言われる「説明責任」を解剖する部分や実例は、面白く読めたのですが、PRの観点からの部分は、あまりピンときませんでした。共感したのは、自己修正がきかない日本の社会は、本当の意味で責任を取りづらい社会だというところです。責任を追及するとき、相手の首をとることが目的となるのは、メディアも含め反省の余地があります。

資本主義崩壊の首謀者たち

広瀬隆
『資本主義崩壊の首謀者たち』
集英社
2099年4月22日
20090717 金融資本主義の実体を垣間見れる内容です。読めば読むほど憤ってしまいます。少し穿った見方という気もしますが、それなりに真実に近い内容だと思います。いたるところで紹介されている風刺漫画は、よくできています。封建的な不平等や闘争、または植民地主義などは、教科書のなかでの話で、現代において起こらないと考えがちですが、経済的支配、知的支配といった形で再現されているんだと思います。日々のジャーナリズムに流され、冷静かつ的確な判断ができない日本人の平和ボケも極まっているなぁとつくづく感じました。愚行が繰り返され、庶民が疲弊していく構造をどこかで断ち切らなければなりません。

偶然のチカラ

植島啓司
『偶然のチカラ』
集英社
2007年10月22日
20090714 偶然とか運とか物事の因果関係っていうのは、小さい頃から、悪いことをすれば自分の身に返ってくるし、逆も然りだと思っていましたし、歳をとるにつれて、経験則でもって、そういうもんだなって思います。本書では、いい流れには黙って従うべきで、何か流れを変えようとしたり、自分で選択したりしないよう心掛けるべきだとアドバイスされています。確かに、自分で選択するときっていうのは、何かとぐるぐる考えて、素直な答えとはちょっと曲がった選択をしてしまうのが常で、そのズレでおかしくなってしまうことが多い気がします。言い得て妙です。あと、南方熊楠の話は、なかなか含蓄がありました。そして、我らがルカ・パチオリが文中で出てきたのには、ちょっと驚きました。

人が壊れてゆく職場 自分を守るために何が必要か

笹山尚人
『人が壊れてゆく職場 自分を守るために何が必要か』
光文社
2008年7月20日
20090710 景気悪化でボーナスも激減な世の中。それはそれで、非正規の環境は輪をかけたように劣悪だと思います。今の日本は、ワーキングプアに見られるように労働云々というより貧困の様相をみせています。改めて、労働組合の重要性について考えさせられます。本書に出てくる首都圏青年ユニオンの存在は知っていましたが、こうして活動をみると頑張っていますね。労働環境という意味では、特に権利主張することもなく、働かしてもらっているという状態の私は、諭吉さんに愚民と言われてしまいそうです。誰もが納得した形での公正な職場というのは、なかなか難しいものです。

現代語訳 学問のすすめ

福澤諭吉、齋藤孝 訳
『現代語訳 学問のすすめ』
筑摩書房
2009年2月10日
20090701 言わずと知れた名著ですが、実際手に取ったのは初めてでした。book diary600冊中ベスト3に入る名著です。福澤諭吉が一万円札の顔になるわけです。偉大な啓蒙家ですね。齋藤先生がせっかく文語体から口語体に訳されたわけですし、日本人は改めて読んでおくべきだと思いました。現代社会は、複雑なので言行一致した啓蒙というのが、なかなか難しいところですが、こういった見識を持った人物が現代にいれば、腐った日本も良い国になっていけるかもしれません。それにしても、冒頭の「天は人の上に人を造らず〜」は知っていながら、意外と中身を知らない人が多いし(私もその一人でしたが・・・)、小中高と国語や道徳なんかで読む機会があってもいいものなのに、、、と思います。

一日一生

酒井雄哉
『一日一生』
朝日新聞出版
2008年10月30日
20090622 疲労困憊なので、明日を頑張れそうな本を選択。天台宗の大阿闍梨という称号を持っていらっしゃる酒井さんが、自らの人生を振り返りながら生き方について指南されています。人生において大切なことというのは、こういう方のお話を聞くのもいいですが、やはり古典(や経典)を開くのが一番いいなと思います。行から得られる悟りは、忙しい都会の生活からはなかなか得られないものです。僧侶の修行なんてものは、経済的になんら価値を生まない意味のない行為に見えますが、そうだからこそ、世間の固定観念から離れ、自然を相手に極限状態のなかで悟りを得られるのだと思います。とか何とか、最近、とかく頭でっかちになりがちなので、もうちょっと実践できる人間になりたいものです。

世界経済はこう変わる

神谷秀樹、小幡績
『世界経済はこう変わる』
光文社
2009年5月20日
20090615 去年の秋に、同じく光文社新書から出ている小幡さんの『すべての経済はバブルに通じる』を読んで、わかりやすくていい本だなぁと感じていたので、その痛快さを求めて手に取りました。内容は期待通りで、非常に共感する部分が多かったです。「今日の得は僕のもの。明日の損は株主と納税者のもの」と言わんばかりの有限責任会社という名の無責任会社の経営者たちへの批判は、ごもっともです。モラルの低下を招いた昨今の金融経済は、ホントにタチの悪いものだったと思います。地道にコツコツ頑張っている正直者がバカを見る社会、もしくは、真面目にやっているのがバカバカしくなる社会なんて、ロクなものじゃありません。モラルの低下は、大きな社会的損失をもたらすものだとつくづく感じました。対談にあるような良い方向へ世界が向かえばいいのですが、いろいろ問題は山積みですよね。

化粧する脳

茂木健一郎、恩蔵絢子
『化粧する脳』
集英社
2009年3月22日
20090610 最近、電車で寝ているせいか読書量が減っています。ということで、サクっと読めそうな新書を買ってみました。私たちの意識を科学的に解明する脳科学は、やっぱおもしろいですね。改めて脳の処理能力の凄さに気付かされます。本書のキーワードは、自意識を象徴的にあらわしている“鏡”。平均顔(=美男美女)は、極めて感情がわかりやすく表現されるから、俳優には美男美女が多いというのには、なるほどなぁと思いました。俳優さんは、やはり感情表現がうまくできる人が、それぞれの個性で配役されていると考えると、さらに納得です。論文を寄稿している恩蔵さんは、ボクとタメなようです。頑張っている同年代の科学者さんを見ると勇気が沸くとともに正直焦りも感じます。
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